エヴァの過去
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強化した聴力で、毘沙門堂の奥で上杉謙信が眠っている事を寝息で確かめる
そして、ぽつぽつと語り始めるエヴァ
「そうですね。。。どこから話せばいいでしょう 初めに言っておきますが
私は、忠勝殿よりも随分と年上ですよ ふっふっ」少し寂しそうに笑う エヴァ
「天女様のお年など気にした事もありませんし、これからも気にする事などありません」
「私の祖母の話からしなければなりませんね 会ったことはありませんが。。。
私の祖母は、マンダガル大森林という広大な森の住人でした
種族は、人間ではなくエルフと呼ばれる亜人種なのですが、人間よりも長命で魔力の操作に長け、魔力量も多い事で知られています そんな祖母が人間の男性と恋に落ち大森林を出る事になるのです エルフというのは封鎖的な種族ですから。。。
人間が大森林で暮らす事が許されなかったであろう事は、容易に想像できます
そんな祖母が、人間の暮らすマリアルバ王国の町で生活をし、私の父を授かります
エルフと人間の間で子を授かるという事は、とても珍しい事でした
父は、ハーフエルフという事で、祖母の遺伝を強く受け継ぎ 人間を遥かに凌ぐ魔力量で王国の魔導師として、長年に渡り軍隊を率いる事になります」
エヴァの目を見つめ 真剣に話に聞き入る 本多忠勝
「そんな父も、人間の女性と結ばれますが1度目、2度目の結婚で子供を授からず ようやく3度目の結婚で女の子を授かります それが私です
しかし隣国との戦争で、私の誕生を待たずに命を落としたそうです
しばらくして私が産まれることになるのですが、人間である母の寿命では、私を成人するまでは、育てられないだろうと父から聞かされていたそうです
そこで母は、父が遺してくれた遺産と国から頂いた報奨金等を元手に孤児院を始めたのです 自分が死んだ後も、私がいる場所を作るために」
ちらりっと忠勝を見る エヴァ
「聡明な、母上だったのですね。。。」
「そうですね 本当にそう思います ここからは、現在に至るまでの私の話を誤魔化さずにします」
「はい 是非ともお聞かせ下さい」
一息つくと また滔々と語りだす エヴァ
「孤児院を始めてから10数年で、マリアルバ王国からの支援もあり 王国でもっとも大きな孤児院となり、優秀な魔導師を何人も育てた孤児院として信頼を得るほどになります 母は、院長として長年頑張ってきましたが、父の言葉通り私の成人を待たずに他界します その後、母が信頼していた部下の方が院長を務められ 私も小さな子の面倒を見たり
年長の子供達に魔法を教えながら、今になって思えばもっとも平和な時を過ごします
そして私が魔法を教えた何人もの子供達が孤児院を巣立って行き 冒険者や王国の魔法使いとして活躍する事になります
アランと、ブルートもその中で特に優秀な冒険者となり 時々孤児院にも魔法や剣術を
教えに来てくれるようになり ルイが15歳となり冒険者登録をするとアラン、ブルート、ルイの3人でパーティーを組み 破竹の勢いで冒険者ランクを上げていくのです
数年して彼らがCランク冒険者となり、彼らより先に冒険者登録をしていて、教会などで治癒·回復魔法を使い活動しており、Bランクとなっていた私をパーティーに誘いに来てくれたのです
その時に私は、この4人なら冒険者の最高峰であるSランクになる事も可能であり
もしそうなれば、孤児院の名もさらに上がると考えました
私の予想通り、5年ほどでAランクとなり王国でも屈指のパーティーとして認められるようになりました そして王国の長い歴史の中でも2組しか存在しなかったSランクに挑戦することになるのです」
ここでなにか気になることでもあるのか 夫婦岩の上空に視線を向ける エヴァ
しかしすぐに興味を失ったように 忠勝に視線を戻す
「冒険者という職業がよく解りませんが、もしその王国に行ける事があれば、拙者も冒険者になってみたいですな」
「そうですね 忠勝殿なら向いていると思います 冒険者と言うのは国や民間の依頼で
魔獣や盗賊を退治したり、商人や貴族の護衛をしたりと仕事は多岐にわたります
そして、その実績により冒険者としてのランクが上がっていき、より高難度で高報酬の依頼を受ける事が出来るようになるわけです」
「それを聞いて益々、冒険者に興味が湧いてきました」
「続きを話してもいいですか? この世界の誰にも話していない事です これを聞いてしまうと 貴方は、私の事が許せなくなるかもしれませんが。。。」
「どのような事があっても貴女を許します、もし何かの罪を犯しているのなら共に償います 償えない罪なら半分を生涯をかけて背負い続けましょう」
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