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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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本多忠勝の純真

高速で越後への最短距離を移動していく2人 先程の真田幸隆との会話が、頭から離れない 本多忠勝

『幸隆殿も、突然なにを言い出されるのだ。。。思いのすべてを吐き出せなどと

そんなことを言って、嫌われでもしたら、どうすればいいのだ!?

しかし確かに、何も言い出さなければ、死ぬまでこのままと言われるのも一理ある。。。この2人だけの時間が、千載一遇の機会ではあるが!

男本多忠勝!! 好きだと言えば良いのだ!! 簡単な事ではないか!! よし言うぞ』


「て。。。天女様!」 

   『言え!好きだ!! 好きだと言うんだ!!俺!!!』

「はっ。。。ひゃいっ なんでしょう? 忠勝殿!」噛んだ!?

「あの。。。す、す、すてきなお天気ですね?」

自分の意気地の無さに深く落ち込む 忠勝

「まもなく、日が暮れますが。。。あの。。。行けるところまで行って 今夜は、適当な宿で休みましょう」   

   『宿って!? 私から誘っているように聞こえていませんよね!?』

「はい そうしましょう。。。」 


琵琶湖の西側 西近江路を高速で北上して行く2人 すっかり陽も落ち夕闇が迫る街道

すると前方の路肩の石に腰を掛ける、老婆とその孫だろうか? 年端もいかぬ男の子が

必死に老婆の足を擦っている 歩みを緩め、その2人に近づいていくエヴァ

「あの どうかされましたか?」老婆の前にしゃがみ込み 2人に視線を合わせる

「これは巫女様 どうやら足を挫いてしまったようなのです」

その間も、必死に足を擦り続ける 男の子

「暗くなってきて不安でしたでしょう 坊やは偉いですね、もう大丈夫ですよ」

安心したのか、目頭に涙を貯めるが、泣く事を必死に堪える 男の子

「お婆様、ちょっと失礼しますね【慈愛に満ちたる天の光 天使の息吹となり 傷つきし者を癒やし給え 天光治癒】」老婆の腫れ上がった足首に手を翳し 呪文を唱える

見る間に老婆の足の腫れが引いていく

「えっ? あれほど痛かったのに。。。なんともない! 巫女様、痛くないです ほれ、この通り」

「それは、良かったです」

「なんと、お礼をすればいいのやら 誠に有り難いことです」手を合わせて、エヴァを拝む

「婆ちゃん、杖。。。」男の子が、杖を差し出す

「ん?? いらんっ 見てみろ! 膝も腰も痛くないのじゃ ふぁはははっ」

「どちらまで行かれるのですか? すっかり陽も落ちてしまいましたお送りしますよ」

「この先の、日吉神社の門前町で宿屋を営んでおります 今夜の宿がお決まりでなければ 是非に休んでいって下され」

「では、お言葉に甘えましょうか?」忠勝と目を合わせる エヴァ


疲れ果てたのか、眠ってしまった男の子を忠勝が背負い 

止めるのも聞かずに、薪の束を老婆が背負う

「今夜の風呂を炊くための薪が、ちと足りなさそうでしたので、孫と取りに出かけたんですが 足を挫くとは、歳は取りたくないですな。。。」

「他に悪い所は無さそうですし まだまだお若いですよ」


日吉神社の参道に入る なにかの祭りでもあるのだろうか、提灯が参道を照らし

夜だというのに人出が目立つ しばらく歩みを進め参道のはずれの宿屋の前で足を止める 

「今帰ったよ!」ドタドタッと廊下を走ってくる足音が響き 中年の男が迎えに出てくる

「お袋、遅いんで心配したぞ!」エヴァと忠勝に目をやり、頭を下げる

「足を挫いちまってね こちらの巫女様とお侍様に助けて頂いた」

「それは、お袋が迷惑を掛けちまったようで、誠に申し訳ありません さっさ、お上がり下さい お茶でも用意しますんで  しかしお袋 出掛けた時よりも、ずっと元気そうだぞ!?」

「巫女様の呪文で治して頂いたんだよ! 茶じゃなくて、部屋を用意しな! 一番上等な部屋だよ 食事もね!」

「おぅ それはそうだな、夏祭りの人出で賑わっていたけど、最後の一部屋を空けておいてよかったよ」

「えっと 一部屋ですか?」

「はい 上等な部屋を空けてありますんで!」

「まぁ そんな気がしていましたが。。。」

忠勝を見ると、男の子を背負ったまま卒倒寸前なのか、青い顔で立ち尽くしている


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