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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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毘沙門天2

「おい 景勝を呼んでくれ」

額に大粒の汗を溜め 押し殺した声で隣を歩く従者に命じる 上杉謙信

「はっ!すぐに呼んでまいります」

ただならぬ気配に、脱兎のごとく駆け出す従者


「オン ベイシラ マンダヤ ソワカ オン ベイシラ マンダヤ ソワカ

オン ベイシラ マンダヤ ソワカ オン ベイシラ マンダヤ ソワカ オン ベイシラ マンダヤ ソワカ」景勝を待つ間も、武神·毘沙門天の真言マントラを唱え続ける 上杉謙信

ちょうど108回目の真言を唱え終えると、横に並ぶひづめの音に首を巡らす


横に居る、甥である上杉景勝を見る 子を持たぬ、己の後継にと二十歳にも満たぬ

この若武者に、内政や軍略、領主の心得などを叩き込んできた

己が引退した後には、横に並ぶ直江兼続と共に、越後を守り抜かねばならない

しかしそれも、武田信玄がこの日の本を平定し、戦のない世を作る事を前提とした話である どうやらそれも一筋縄では、いかぬと毘沙門天が我に告げてくる


「景勝、兼続 一度しか言わぬ心して聞け」

「「はっ! お館様」」

「我は、この場で越後へと引き返す しばらくの間、毘沙門堂に籠もる事となるだろう

人外の者が、我に取り憑こうと今も我の隙きを伺っておる

おそらく、これだけで将軍·武田信玄は、なんの話であるのか理解するであろう

そこでお主ら2人は、正親町天皇と武田信玄に謁見しこの事を伝えよ

越後は、朝廷にも新幕府にも叛意を翻す意志の無い事、新幕府が日の本すべてを平定したあかつきには、この上杉謙信その方らに家督を譲り引退する事

しかしその前に、片付けねばならぬ大きな障害がある事を、毘沙門天がお告げになっていると言う事を漏らさず伝えよ 途轍もない悪意がこの国を覆い尽くそうとしている

朝廷よりの書状にあった火竜とやらを冗談と思い一笑に伏したが、どうやら真の話のようだ。。。もしも我が、この人外の者に憑依され、この国に仇をなすような事があれば

その方らの手で、我を滅せよ。。。よいな!?」

「お館様、何を申されるのです!?」上杉景勝が顔を歪め 訴える

「案ずるな、毘沙門天が我をお護りくださる お主らは、兵の半数を連れ、このまま上洛するのだ」


鈴鹿城

「では、私達は京へと向かいます お玉様は、本当にここに残られるのですね?」

「ああ このデクの棒の妖力がもう少し回復するまでは、ここに居るよ

火竜共もしばらくは動けないだろうが、ここを知られている恐れがあるからね」

「姉さん 心配いらないぞ もしここに来やがったら、返り討ちにしてやる!!」

「あんたの心配をしているんじゃないよ! おりんを残していくのが心配なんだよ!!」

「あの天女様、お雪ちゃん道中くれぐれもお気をつけ下さい できる事ならば、私もお供をしたいのですが。。。鳴海城にお帰りの際は、必ずお寄りくださいませ」

「はい 必ず それでは、色々とお世話になりました」

頭を下げ、3人に背を向け歩き出す エヴァとお雪

寂しそうに2人の姿が見えなくなるまで見送る おりん

「おりんあんた、相当天女の事が気に入ったようだね?」

「はい それはもう。。。この世に母上のように美しく気高い方が居るなど、思ってもおりませんでした。。。天女様がお戻りになるのを一日千秋の思いで待たねばなりません」

「あんたも天女なんだけどね〜 だいぶ重症だね」


「お雪ちゃん 皆が、心配していると思います 少し急ぎますよ」

「天女様のお体は、もう大丈夫ですか? 私がおんぶして走りましょうか?」

「私は大丈夫です おりん様に通力を頂いたので。。。」なぜか赤くなる エヴァ


新二条城 執務室

エヴァを待ち侘び、室内を熊のように右往左往する武田信玄の姿に掛ける言葉も尽きた

浅井長政と真田幸隆が頭を抱える


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