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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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あやかしどもが夢の跡

「少し本気を出すか!」

両手を広げ 呼び出した突風に乗り、一気に中空へと浮かび上がる 大嶽丸

まるで、大凧が強風の中を駆け上がるように

ベヒーモスは、一瞬の間 追撃をするか、火球を練るかを迷うが その場で口内に

火球を溜めることを選択する 2秒溜めを作る時間があれば、周囲の地形を変えるほどの爆炎を吐ける あの黒鬼に、直撃させることが出来れば、やつもただでは済むまい

ベヒーモスの赤黒い体表が、次第に灼熱の朱に染まっていく

上空では、黒鬼の周囲に数百本の槍が浮かび穂先が、すべてこちらを向いている


「まずいな、力を溜めているようだな もう少し増やしたいが!」

大嶽丸が、広げていた腕で渾身の柏手を胸の前で打つ パンッッッッッ!!!!!!

一斉に地上のベヒーモスへと襲い掛かる300本を越える 雷撃を帯びた槍


口内で練り上げられた魔力が全身を巡る 1,2秒。。。。。1,3秒。あの槍の雨をすべて躱すことは無理か?。。1,4秒。。。

ごおっおおおぉっぉぉぉぉぉっーーーーーーー!!!

迎撃せんと放たれた爆炎が尾をひき蛇行しながら空を切り裂き駆け上る 交差する槍を数十本焼き尽くしながら 大嶽丸へと襲い掛かる

大嶽丸の差し出した右手から、数枚の形代が放たれ 分身を創り出し盾とするが

尾を引き、途切れぬ爆炎に分身すべてが焼失し、本体である大嶽丸にも猛火が襲う


素早く横へと移動しながら爆炎を吐き出し続けていたベヒーモスだが 射線上を飛来する槍は消失させたが、放たれた300本を越える槍をすべて焼き尽くす事など、到底叶わず

少なくない数の槍が、ベヒーモスの肉を抉っている 雷撃を帯びた槍が体内に数本残り

身体のあちらこちらが ピクッ!ピクッ!ピクッ!と痙攣しながらも大嶽丸を見上げる


前面の皮膚も髪も焼かれ煤だらけとなった大嶽丸が、火口を背に立つベヒーモスの前に

降り立つ「お前が、言葉を解するかは知らぬが、そのような状態でも我が子を守ろうとする姿は、あっぱれじゃ しかしおりんに災いを残す訳にいかん ごめん!」

氷で創り出した太刀を構え、ベヒーモスの首筋に振り下ろす その刹那

火口より、見えない何かが。。。それ以外に形容の出来ない何かが大嶽丸の頭部に触れ

ジュワッっと侵食してくる 振り上げた太刀が落ちる 必死の精神力で大嶽丸の意識に

侵食してしこようとする者を拒む

『これはいかん! 気を抜くと俺様が俺様でなくなる!!』

「俺様は!!天下の大嶽丸様だぁァァァァァァ!!!!!!」

己の身体に雷撃を落とし、取り憑こうとしていた何かを頭から弾き出す事には成功する

見えない何かが慌てふためき、退散していく

その瞬間 ドッスンッ!!と腹部に焼けるような痛みが爆ぜる

ベヒーモスが自由の効かぬ身体で、繰り出していた数打目の尻尾での刺突が大嶽丸の腹を貫く 尻尾で大嶽丸を引きずったまま ずるずると火口へと這って行くベヒーモス

なぜなら、この場に巨大な妖力と魔力を持った者が近づいて来ている事を察しており

この黒鬼にとどめを刺すべく、自由の効かぬ体を必死に火口へと這わせていた


「お玉様!!あそこです!!」

御嶽山の火口にベヒーモスの体が、半分ほど沈んでおり その長い尻尾の先で大嶽丸を引きずり込もうと 火口の縁に後ろ足をかけているのが見える

《しっかり捕まっているんだよ》

「いえ 行きます!」

降下体勢に入った妖狐の背を蹴り エヴァが頭から地表に飛ぶ

風魔法でさらなる加速をつけ、ベヒーモスに向け方向を定める

ベヒーモスの体が火口へと落ち、尾の先の大嶽丸の体が地面から浮く

独鈷杵を強く握りしめたエヴァが、ベヒーモスの尾の槍が刺さり、千切れかけた部分に風刃を放つ

「青龍!!力を貸してください!!」

青い輝きを放つ、三日月状の風刃が美しい弧を描き ベヒーモスの尾を切断する

ギャアアアアアオオオオォォォォォッッ!!!!!!!!!!!!

大嶽丸と尾を残し、火口へと落下していく ベヒーモス


火口の縁に無残な姿で、力無く横たわる 大嶽丸



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