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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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今更ですが、永田徳本上人

武田家2代にわたって侍医として使え

製薬会社トクホンの由来にもなった偉人なのです

このような扱いにしてしまって。。。まだ若い時の徳本上人ということで許してください

117歳まで生きられるのですから(史実)

「お館様に、伝令にございます」従者が告げる

「通せ」真田幸隆が答える

「山県昌景様より お館様への言伝でございます」一見 百姓のように見える

伝令部隊の若者が真田幸隆の前で片膝を就く

「申せ」やや身を乗り出しながら あたりに注意を払い斥候の言葉に耳を傾ける

「浜松城落城! 徳川家康降伏! 捕虜としております!!」存外に大きな声で知らせる斥候

武田信玄が軍配を高く掲げ 勝鬨を上げる

おおおぉぉぉぉぉ!!!! よっしゃあぁぁぁぁぁ!!!!!! 聞き耳を立てていた陣内の者たちが沸き立つ

その報は、陣外 すべての兵士たちに伝播していく まさしく熱狂である


片膝を付いたまま、その場から動かぬ伝令の若者 顔を伏せ軍師の言葉を待つ

「まだ有るのじゃな、申せ」熱狂に包まれた陣内でこちらを伺うものは居ない

朗報のあとには、悲報と真田幸隆も心得ていた 

「甘利信忠殿、討ち死にでございます」

「甘利が。。。この戦勝を、共に分かち合いたかったのう」天を仰ぐ 信玄

「幸隆よ 出立とするか 山県と馬場を労ってやらねば」

「本隊5000で浜松城に入る 残りは正福寺、鴨江寺などに割り振るよう任せる 布施は十分にな 

 乱取り(略奪行為)は、一切禁ずる 破った者は、厳罰に処す」

武田信玄は、元々乱取り否定派であったが軍の士気、糧食の不足、恩賞の代わりなど

様々な理由から乱取りを許す事もあった

しかし天女から貰った命に恥じぬよう 今後一切の乱取りを禁止する事を諏訪大明神に誓った


「これより浜松城へと向かいます 天女様も是非ご同行を」

永田徳本がエヴァに歩み寄る

「そこに、私の仲間でルイという者が居ると聞いております

 連れて行って頂けますか?」

「なんと! 天よりのお使い様が天女様ともうお一人!?

 すぐに馬を用意いたします」

「う〜ん 天のお使いというわけでは。。。どちらかと言うと

 地中から這い出して来たという感じ?

 実際によく地中に潜っていますし」

「それは面妖な そのルイ様も、天女様のように奇跡を起こされるのでしょうか?」徳本のキラキラとした視線が痛い

「いえ 回復系の魔法は使えません 攻撃に特化していますね

 戦闘狂です」

「それは頼もしい 陰陽氏の術は、今は魔法と言われるのですか、不勉強でお恥ずかしい限りです。。。では馬を用意してまいります」納得したように、頷く徳本

1人残されるエヴァ、周囲の者たちからの尊敬と感謝に満ち満ちた視線を一身に受ける 

『この国には、回復魔法が使える者は居ないようですね 

 陰陽氏と言われる方々は、どのような術を使えるのか

 楽しみですね』


陽も暮れ始め、松明が所々灯る5000人の大行進

「あの。。。私が歩きますけど」手綱を引く徳本に馬上より訴える この台詞は、すでに3度めだ

60歳になろうかという徳本を歩かせ、20代前半の自分が馬上というのが、どうにも居心地が悪い

「なりませぬ! 天女様を歩かせるなど もってのほかでございます」この台詞も3度めになる

「天女様のおかげで、足も腰も痛いところがございません このまま甲斐国まで歩けそうな程でございますホッホッホッ」

「その浜松城には、後どのくらいで到着するのでしょう?」

「あと1時間程でございますな ごゆるりとお休みください」

あと1時間も、この居心地の悪さを耐えねばならないのか。。。

「徳本!! 私は歩きたいのです!!! 貴方が馬に乗りなさい

 命令です!!!」もうヤケである

「はっはっ 直ちに」エヴァが降りると 慌てて馬によじ登る 徳本 冷や汗までかいている

『ちょっと気の毒だけど 言ってみるものだ』ご満悦である

少し前を歩いている、武田信玄を中心とした重臣の歴々から噛み殺した

笑い声が聞こえてくる

ずっとエヴァと徳本の会話に聞き耳を立てていたようだ


この方達と出逢って数時間ではあるが、なんとも言えない居心地の良さを感じていた アランやブルートの事など心配なことも沢山あるが、前向きな気持ちでいられるのも 超楽観的な彼女の特性であろう

何気なく、異国の空を仰ぐ

「あら!? 月が!?」






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