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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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大嶽丸2

ブックマーク&星で評価&いいね ありがとうございます (≧∇≦)b


「まもなく鈴鹿山が見えてきます」

《そのようだね、随分と穏やかな妖力を感じるけど あ奴も、歳を取って丸くなったのかね?》


鈴鹿山の街道を外れ、獣道を分け入る 

立ち籠める霧や、迷い道で巧妙に隠蔽された 鬼ヶ城へと続く険しい道を妖力をたよりに登っていくと。。。

「この先は、人の立ち入る領域では、ございません お引取り頂けませんでしょうか?」

《古い知り合いに会いに行くんだよ 案内してもらえるかい?》

「あらっ お狐様ですか? これは、失礼しました もしや貴女様は、天竺の華陽様でしょうか?」

《あたしの声が聞こえるってことは、あんたも人外か。。。華陽ね、そんな名を名乗っていた事もあったね いい加減に姿をお見せ》

折り重なる木々の枝を縫い わずかに差し込む陽光と共に、声の主が姿を現す

少女のようにも、成人した女性にも見える 見目麗しい女性が羽衣を纏い 降り立つ

「大変失礼いたしました お初にお目にかかります華陽様 お話は、叔父上より常々伺っております 天竺では随分とお世話になったと」

《まさかとは思うが。。。あんたが鈴鹿御前かい?》


『まさかの本物天女登場!?』エヴァの頬に汗が伝う

「天女様。。。綺麗な方ですね。。。」  「そ、そうね。。。」

『お雪ちゃん! 今はその呼び名はやめて!!』と目で訴えるが、伝わる様子はない


「いえ 母は、お役目を終え 天へと帰られました 私は娘のおりんと申します」

《叔父上ってのは。。。大嶽丸だね?》

「はい 血の繋がりは、ありませんが 私の唯一の家族です」

《ようやく話が見えてきたよ、あんたの父親は、田村丸って事だね?》

「はい 父の事もご存知でしたか。。。私が幼い頃に他界されてしまいましたが」

《じゃあ、あんたらは、何百年もここに留まっていたのかい?》

「はい 叔父上と2人 街道を通る方々の安全を祈願などしておりました

ところでそちらに居られます巫女様は、どこか母上を思い出させます」

柔和なおりんの視線にどこか、鋭さが混じる

「はじめまして、おりん様」エヴァが頭を下げる

《現世で天女と言われている お方だよ》 エヴァの顔がひきつる『言うか〜!?』

「それは失礼しました 俗世とは、一線を画しているものですから。。。

それにしましても美しい方ですね お連れの方も可愛らしい」

「お雪と申します おりん様よろしくお願いします」

《挨拶は、それぐらいにして大嶽丸の所に案内してくれるかい?》

「はい 叔父上も喜ばれると思います 私も久し振りに人と話が出来て嬉しいです」

人の往来を拒むかのような様な、森を抜け 質素な荒屋あばらやが見えてくる


「やっぱり姉さんだよな 変わってないな〜 ちょっと小さくなっちまったけど」

弥助よりさらに一回り大きな、がっしりとした色の黒い大男が懐かしそうに顔を綻ばせる 《色々とあったからね〜 あんたも色々とあったようだね》

「ああ 立ち話もなんだから 入ってくれ ゆっくり出来るんだろう? さあそちらの

お嬢さんも」 荒屋の扉を開けると、石造りの立派な円形の広間が拡がり 

吹き抜けの上部に嵌め込まれた色付きのビードロの窓から、幻想的な光が差し込む

「うわ〜〜!」お雪が、上を見上げ感嘆の声を上げる

「ああ 外の荒屋は擬装してるんだ ここが俺達の居城·鬼ヶ城改め鈴鹿城だ」


淡々と語りだす 大嶽丸の話に全員で耳を傾ける

大嶽丸が天竺から戻り 鈴鹿御前を取り返すため田村丸らと激戦を繰り広げた事

実は、鈴鹿御前は、大嶽丸の悪行を止める為に天より遣わされた事

田村丸は、鈴鹿御前に害をなす意図はなく、それどころか愛し合いおりんを身籠っていった事 事実を知り、荒れに荒れた大嶽丸は、列島を巻き込み暴れ回る

数年に渡り暴虐の限りを尽くした大嶽丸だが、北の地でついに力尽き神々に組伏せられる

そこに鈴鹿御前が現れ、大嶽丸を騙し討とうとした事を侘び 共に罪を償う事を申し出る

数年に渡り鈴鹿御前を頑なに拒み続けた大嶽丸だが、田村丸が天寿を全うし

おりんの成長を見守り続ける中で ある日憑き物が落ちたかの様に恨みや、憎しみ、妬み

といった負の感情が霧散し、自分の愚かさに気づき、のたうち回る事となる

天女の成長は遅い数百年をかけて赤子から幼児、少女へと成長する様を、鈴鹿御前と共に見守ってきた大嶽丸は、おりんの側で生涯を仕えることを誓う 鈴鹿御前が天界へと戻り

落ち着いた時が流れていったが 最近になって急に現世の異変を感じ取り

成人したおりんと共に鈴鹿城から数百年ぶりに外へ出たとの事である


《この娘は現世で天女と呼ばれていてね この娘を見たあんたがトチ狂うんじゃないかと心配して付いてきたんだけどね いらぬ心配だったようだね》

ギロリッとエヴァを見る 大嶽丸

「鈴鹿御前は、もっとお淑やかで、慈悲深く、思慮に深く、慈愛に満ちたそれはそれは、素晴らしい女性だった」

ギュッと拳を強く握り締める エヴァ


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