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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
131/488

成長

『4歳も年下の妹、茶々が憧れのお雪先生の膝に座り、巨大な胸を持ち上げたり。。。顔を埋めたり。。。まぁそれは良い 羨ましいが子供のすることだ大目に見なくては。。。

そんな事よりも、我が妹は数日前から我等、天武シューレンジャーの現在の最大の課題である

自分の気を体内で練り、可視化させ両の手の平から放出し胸の前で浮遊させるという

課題をいとも簡単に成功させ 今もまるでお手玉のように手の平で踊らせている

自分はと言うと、気が体のどこにあるかという事は、解るようになり 練った気を手の平まで移動させると指先がジンジンとするほどに熱を持っているが、茶々のように目に見えるほどの光の玉を作るに至らない。。。兄の面目丸つぶれである

もしも天女様が戻られるまでに、この課題を成功させる事が出来なければ、小谷城に帰らされるのだろうか!? 茶々だけが残り、兄である自分だけがお払い箱となるなど。。。

考えただけでも恐ろしい、父も義母であるお市様も罵りなどはしないだろう

しかし、これまで以上にお市様の実子である茶々やお初、まもなく生まれてくる弟か妹に父上が傾倒していくのが恐ろしいのだ これ以上の劣等感を抱えるなど。。。

父上は、私を産んでくれた母上の話をしてくれない 家中の誰に聞いても口を噤んでしまうのだ つまり私の母上は、口に出すのも憚られるような出自なのかと勘繰ってしまう

茶々の実母は、あの今は亡き織田信長の妹である お市の方様なのだ、子供心に劣等感を感じてしまっていた 私がおかしいのだろうか??

しかし、先日父上から天女様の元で茶々と共に、法術の修行をするようにと仰せつかった

嬉しかった! 浅井家の長男として期待されているという事が、ただ単純に嬉しかった

なんとしても期待に応えねばならない!!』


「満腹丸君、指先が光っていますよ!! やりましたね!!!」お雪先生の声が耳に飛び込む

「おおぉぉ!!」言葉にならない声が漏れる

「慎重に。。。丸く。。。念じる。。。」

アランや皆が注目している

「はい やってみます!!」

指先に灯る黄色い光が、消えないようにと祈りながら

両手を組んでみる

小さな光が集まり、組んだ両手が黄色く光る

そこに浮かんでいてくれと、さらに強く祈りながら

両手を慎重に離していく。。。離れた手の平の間に浮かんでいる光の玉 最後に左右の中指が離れた瞬間 ポッと音を立てて霧散する

「もう。。。少しだな。。。」

目の前で見守ってくれていた アラン先生

「はい!」 

『今日も自室で深夜まで練習しよう 天女様が戻られるまでに茶々に追いつかなくては。。。あの優しい天女様のがっかりとした顔を見たくない』

初めて会ったときの天女様の顔が脳裏に浮かぶ

“満腹丸、いい名前ですね 私は好きですよ

お腹が空いても満腹丸!! 皆を幸せにする名前です”



「もう少しだな 満腹丸! 頑張れよ!!」

『俺の笑顔は、引きつってはいなかっただろうか? 共に修行をしてきた仲間の成長を心から祝福している自分が居る

しかし自分だけが取り残されるのでは。。。? という不安が日に日に募っていく

俺はこの国でも最高の血統を持つ男だ、名門北条家の当主、北条氏政の次男として産まれ実母は黄梅院、征夷大将軍になられた武田信玄の娘だ そのような出自の俺が、このような修行で遅れを取るわけにはいかない 俺は北条氏直 北条家の名に泥を塗る訳にはいかんのだ』

「正直、焦りますね。。。」隣で修行に励む、井伊直政が小声で話し掛けてくる

「そうだな、しかし天女様も仰られていた、年少の者ほど覚えが早いだろうと。。。

思うに年長になるほど、あのような事を出来るはずが無いと思う込んでいるのだろう

幼い者たちは、自分もやってみたい、きっと出来るはずと自分を信じているのだと思う

言い方は悪いが、馬鹿になって取り組んで見ようと思う」

「そうですね 私も命を救ってくださった天女様の為にも頑張らねばなりません」

「直政殿、その気負いが枷になっていると思うぞ。。。肩の力を抜いて、共に頑張ろう」

そう言いながら、自分に言っているのだと言う事に気づく 北条氏直


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