草薙剣
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「すぐに戻りますので、待っていて下さい」 耳の奥に木霊する
何が起こったのだろうか?。。。 天女様の温もりが。。。自分の唇を触ってみる
目の前に脱ぎ捨てられた 白い小袖と緋袴
天女様。。。なんて尊く なんて清らかで なんて美しく なんて愛おしいのだろう
独鈷杵に導かれ、光の届かぬ深い海の底へと身を沈めてく
400年もの永きに渡り、時の権力者の執念により封じ込められてきた 神器
その怨念から解き放たねばならない、この国に降りかかる厄災を払いのける為に
この神器を手にした時から、私の命の秒針が終へと向けて動き始める
伸ばした手が一瞬こわばる。。。
何を躊躇う??
私には、厄災を討つ責任がある、この国の民を、これ以上犠牲にする訳にはいかない
何を躊躇う??
自分の命が惜しいのだろうか? いやこの国の未来が見たい 私の大事な人達と共に
しかし贄となれるのは、私しか居ないのだから
手を伸ばす 柄に触れた瞬間 私の中から、私以外の力が剣へと流れる
漆黒の海底が紫色の光を反射し、海面へ向けて光の濁流が渦を巻き上昇する
昇り龍の如く 「これほどの力ですか。。。!?」
《こんなものではないぞ!! 我を振るう者に憑くことで、大地を切り裂くほどの力を与えようぞ》
「それは頼もしい限りです」
《女 忘れては、おらぬだろうな今日より毎日一樽の酒を供えるのを そして我の国を
白蟻の如く蝕む奴らを排除した暁には、お前の御霊を我の贄とする事を》
「もちろん忘れてなどいません 銘酒·鬼殺しを用意致しましょう ふっふっふ」
海面が泡立ち 船縁に細い指が掛かる 慌てて立ち上がり その手首を掴む
「遅いので心配しました 天女様」
胸に張り付いたさらしと、腰巻きから水が滴り 船縁に腰を下ろす姿が
あまりにも神々しく、あまりにも美しく 抱きしめたい衝動を必死に抑える
「忠勝殿、そこの風呂敷を取ってください」
「天女様。。。その剣は!?」
「あとでお話しますね 島に戻りましょう」剣を大事そうに風呂敷で包む
「皆さん お待たせしました帰りましょう バナナを積めるだけ積みますよ!!」
「。。。。忠勝殿、何かあったのですか?」忠勝の耳元に小声で尋ねる 山本管助
「い、いや。。。な。。。何も」
「そうですか? 何かお二人とも心ここにあらずといった感じなのですが。。。」
「早くバナナを積み込むぞ!!」
「猿さん、雉さん、岸に着きましたら、お二人が乗って来られた馬が居ますよね?」
「はい、預けておりますが」
「この護符を馬に貼って、一足先に吉田郡山城に戻っていただけますか? おそらく今日中には帰れると思います」
「この護符を馬に貼れば、数時間で走りきれるということですね!? はい!!!もう驚きません!!」
「バナナも持てるだけ持って、輝元様に献上して下さい それと一番大事な事なのですが、お酒を一樽用意しておいて頂けますか? 我々は、徒歩ですので夜明けまでには到着するとお伝えください」
「はい もう驚きません 確かにお伝えします」
「あっ!! 弥助の事も伝えてくださいね 驚かれるといけないので、私の従者ですと」
馬の尻の上に大量のバナナを結わえた2騎が街道を直走る
「何なのだ!? この護符は!? これほどの速度で走り続けているのに、馬がまったく疲れる様子もないぞ??」
「これを、人に貼ったらどうなるんだろうね〜」
「力が数倍も増して、まったく疲れないのか。。。絶対に将軍や朝廷に敵対しない事を殿に進言せねばならないな!!」
バナナの山が5つ、街道を移動している よく見ると巫女と3人の武士、半裸の黒人が
体のほとんどが隠れるほどのバナナを担いでいる事がわかるのだが
バナナと黒人を知らない人々の目には、一体どのように映っていたのだろう。。。
「荷車が必要ですね。。。」
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