鬼ヶ島
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「清水殿、あのようなお方が本当に居るのだな。。誠に天より遣わされた、天女様なのかもしれんのう」
「聞いた話が、すべて。。。いや半分でも真実であれば天女以外の何者でもありませんでしょう」
「猿、雉 天女様が、我が領土を出られるまで陰ながらお守りしてくれ」
「はっ 畏まりました」
子飼いの忍びの者2人を、護衛として後を追わせる 毛利輝元
「天女様!拙者の足なのですが!! 異様な速度で歩いているのですが!? しかもまったく疲れません。。。」
「はい 加護を授けましたので、予定より遅れていますので急ぎますよ!」
「すぐに慣れますよ。。。」なにかに悟りを開いた 山本管助
「馬で駆けても、追いつかれるわけだ。。。」
周防国を一気に抜け、長門国に入る
「天女様、壇ノ浦が見えてまいりました 船を手配致します」
漁船が集まっている集落へと入っていく 犬飼次郎
「天女様!! ここが源平合戦の最後の決戦地です!! この目で見れるとは感激です!!!」
「そうなのですか〜 それよりお腹が空きましたね」
「お侍さん方。。。海に出られるのですか?」日に焼けた老人が近づいてくる
「そのつもりですが。。。」
「あそこに島が見えますでしょう 最近あの島に鬼が出るなどと噂になっておりましてな。。。もともと名前などない島だったのですが 今では、鬼ヶ島などと呼ばれております 命が推しければ近づかない事です」
言われた方を見ると 海流が重なり合い渦を巻く海域に小さな島が、濃い霧の中に浮かぶ
確かに見るからに不気味な島である
「それは、ぜひ腕試しをしたいものですな!!」
「本多殿、あの流れでは、小舟では近づけません」
「お待たせ致しました そこの船着き場に係留されていますが、すぐに出しますか?」
「そうですね〜お腹も空きましたし、腹拵えをしてからにしましょうか」
「あの、恐れ入ります 私ども周防国で和菓子屋を営んでおります 新婚旅行で旅をしておるのですが、もし海に出られるのでしたら同乗させては頂けませんでしょうか?」
身なりの良い男女が声を掛けてくる
『海に出られては、護衛も出来んからな、なんとか同乗させて貰わねば。。。』
『猿〜 私ら怪しくない? 行き先も聞かずに乗せてくれって。。。』
『こ奴ら、殿の子飼いの忍びであったな確か猿と雉だったな、なるほど密かに護衛の任に就いておるのか。。。しかしいきなり乗せてくれとは、無理があるだろ』
「お礼と言っては何ですが、これを皆さんでお召し上がり下さい 当店自慢の吉備団子です」腰に下げた包みを差し出す
「揺れますので、足元に気をつけてお乗り下さい 遠慮なく頂きます」
6人を乗せた船が沖へと漕ぎ出す
独鈷杵を掲げ 青龍に囁く エヴァ 『お導き下さい』
「天女様、どちらへ向かいましょう?」舵を握る 山本管助が聞いてくる
「取り敢えず、あちらの方角へお願いします」北東の方角を指差す
山本管助が舵を操り、本多忠勝が櫂を漕ぐ 尋常でない速度で水面を走る
独鈷杵が反応する方向を指差すエヴァ その方向に舵を取ると 正面には鬼ヶ島が。。。
「海流がぶつかり合う付近ですね。。。取り敢えず、あの島に上陸しましょう」
「あそこは、老人が言っていた鬼ヶ島ですが!?」
「特に禍々しいものは、感じませんので大丈夫でしょう」
「鬼が居るのなら、是非とも死合ってみたいですなぁ!!」さらに速度を上げる 本多忠勝
「新婚旅行に鬼ヶ島とは、浪漫ですね ふっふっふ」いたずらっぽく笑う エヴァ
「はい 良い思い出になります」雉の手を取り 鬼ヶ島に足を踏み出す
島を一周しても1時間もかからない程の小さな島に、熱帯に植生しているような樹木が生い茂り、緑色の見たことのない湾曲した果実のような物を実らせている
「少し奥まで入ってみましょう」本多忠勝を先頭に隊列を組み 草を掻き分け進んで行く
「きゃあっ!!!」最後尾を歩いていた 雉の叫び声に振り向くと片足を縄に絡め取られ樹上
にゆらゆらとぶら下がっている 「助けて下さい!!!」
「「うわっ!!!」」雉に続き、猿も犬飼も樹上に絡め取られる
ガサッガサッと木々の間を黒く大きな物体が、森の奥へと逃げて行く
「「待て!!!」」その後を追う 本多忠勝と山本管助
風の刃を飛ばし、3人を降ろす
「もう護衛は、大丈夫ですよ ご自分の身を守ってくださいね」きょとんっとする3人
「お恥ずかしい。。。お見通しでしたか 殿より陰ながらお守りする様にと命を受けました 猿と申します」 「雉です 助けて頂き、ありがとうございます」
「吉備団子をまだ隠し持っている事も、お見通しですよ」