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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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初恋

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御嶽山

翼をバサッとはためかせ、火口に向かう上昇気流に乗り 曇天の空へと一気に舞い上がる

空を飛ぶ事にも随分と慣れた、まるで初めから翼を備えていたかのように

“あの赤い靄には、感謝せねばならない おそらくだが子供たちを授かったのも、あの赤い靄が関係しているのだろう そう考えた時にストンッと納得がいった

あの最後に孵化した子供は、あの赤い靄の遺伝子なのだと 自分の前には人間に取り付き

その男を、この国の頂点に手の掛かる所まで押し上げた

その後に己に取り付き、翼という新たな力を与えてくれた あの赤い波動の連中との戦いで魔力が残っていなかった己では。。。もしも翼が無ければ生きてはいなかったかもしれない あの靄の記憶が僅かに己に残っている事に驚く

あの靄が、己に取り付く寸前に言った言葉。。。意識に直接語りかけたのか?

記憶の糸を辿る。。。“Bahamut”確かにそう言った、バハムート!?

それが己の種族名なのか? つまりこの世界にも、己と同じ種族の物が生息しているのだろうか?“

答える者の居ない問にしばらくの間を没入したが 眼下に湖を見つける

“今日は、魚を与えてみるか” 

しなやかに大気を掴み 超高度より滑空を始める

湖面に向けて衝撃波を放ち 腹を見せ浮かぶ魚たちを器用に掬っていく

“気に入ってくれるといいが”



『どうやら私は、恋をしてしまったようです 思えばこれが私の初恋なのかもしれません 身分の差!? 歳の差!? そんなものは、恋する乙女には関係ないのです

初めて、あの方の鋼のような裸体を、顔を覆った指の隙間から盗み見たときの

まるで脳天に雷が落ちたような衝撃!! あの方も確かに頬を赤くして、この私を意識していました あの腰に巻いた手拭いの中を見れなかった事は、残念でなりませんが

天女様があれほどまでに隠すという事は、よほどの価値のある物が秘められているのでしょう。。。

ああ将来あの方が、酒樽を担ぐ姿を想像するだけで私の小さな胸がキュンキュンッと締め付けられるのは何なのでしょう? これが間違いなく恋ということなのですね

噂では、この天武修練者は、才能の無い者はいずれ放逐されると聞きました

私とあの方の将来の為にも絶対にそれだけは避けねばなりません

しかしこの気を練るという訓練ですが、家に帰ってから寝るまでの間を訓練しているのですが、なかなか思うようにいきません これが千代とアラン様の最初の愛の試練なのですね 両足に意識を集中して息を吸いながら 気とともに丹田まで吸い上げる

そこで気をしばらく練ってと。。。なにやら、とても温かいものを感じます

さらに胸まで引き上げて2つに分けて両腕の付け根まで移動してと。。。

ここから細く息を吐きながら、肩。。。肘。。。気を押し出す感覚で胸の前で組んだ手の平まで気を!? あら? 温かい!? というか両手の平が熱いんですけど!! 桃色に光ってますし ここからゆっくりと両手を広げていくのでしたね 慎重に慎重に』


「出来ちゃいました!!」思わず叫ぶ

千代の広げられた手の平の間で、小さな桃色の球体が渦を巻きながら浮遊している

「おおっ!?」 「凄いぞ!!」 皆の感嘆の声が聞こえるが、気を抜くと球体が霧散してしまいそうで、必死に球体を睨み続ける 

「千代ちゃん 良く出来ましたね これからは、球体を更に大きく、長く維持できるように頑張りましょうね」

「千代ちゃん 凄いです! 私でもまだなのに。。。羨ましいです」

お雪が羨ましそうに桃色の球体を見つめている

「す。。。[ごい]。。。きだ。。。」 [ ]の中は千代には聞こえていない


『愛の告白ですね。。。無口で寡黙なところも素敵ふっふっふ』


「これが愛の力です」 桃色の球体をアランに向け押し出すと 

ゆらゆらと形をハート型に変えながら 浮遊してアランの前で弾ける




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