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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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稚竜

京の都 丸田町周辺

連日行われている ルイとブルートによる

常軌を逸した再建工事が新たな観光名所となり、一目見ようと、日に日に増えていく観衆

あちらこちらで土砂が噴水のように噴き上がり どっどっどっどっと地鳴りをあげる

着地した地点に居るブルートにより、2階建ての長屋がボコボコッと出来上がっていく

外観が出来上がると同時に羽柴組の作業員が群がり内装に取り掛かる 当初500名だった組員が現地での雇用を募り 800名にまで膨れ上がり 意匠など、より細かな細工を施こす事が可能となっている

休憩時間になると、一般の市民の見学が可能となり

すでに完成している 裏長屋数棟の見学も昨日から許可され、長蛇の列を作っている

同じように表通りに面した、商店兼住宅の表長屋にも

身なりの整った裕福そうな町民が、京の町で初めて楽市楽座が許可されたこともあり 

我先にと群がり、やがて来る将来の商機に頭を絞る

征夷大将軍·武田信玄の政策により、賃料も低く抑えられ 近隣の街区からの引っ越しを検討する者も少なくない

整備され街頭まで備えた街路に、各戸に下水道まで備わるのだから当然であろう


「ルイ殿、ブルート殿。。。あなた方には、驚かされてばかりだが たった一週間でこれだけの物を作り上げるとは。。。」

浅井長政が二条城の跡地から街区を見下ろす

すぐ後ろは、深さ10mの深さに正方形に奇麗に抉られた避難所が口を開けている

「明日から、ここ二条城も作り始めるぞ まず避難所の蓋をして絶対に壊されないように2日掛けて強化してから上面を作るぞ」

「それは楽しみですが本当に、この図面の様に内部が3階建ての半円形の建物になるのですか?」

「浅井殿、この形にして表面を石化で強化する事で火竜の火炎にも、ある程度は耐える事が出来るという計算です その間に地下の避難所に逃げ込めれば多くの命が救われるでしょう」

「なるほどブルート殿、そこまで考えて頂いていたとは。。。有り難いことです」

「私とルイは、魔力回復の為に仮眠を取りますので、少々失礼します」

「これは、邪魔をして申し訳ない 拙者は街区の方を見学させてもらいます」


《ルイ あんたもブルートも、この一週間で魔力量が随分と増えているが、気がついているかい?》

「そうなのか!? なんとなく、そんな気がしていたけど。。。」

「おそらく連日、魔力切れ寸前まで追い込む事で、魔力量が増えているのだろうな

今までこんな使い方をした事が無かったからな。。。冒険者時代は、あらゆる危険に備えて魔力は余裕を持って残すのが常識だったからな」

「ベヒーモスとの戦いに備えて、まだまだ魔力量を増やせるということか!?」

「そうと解れば、早く回復してもう一頑張りするか ルイ」

《あんたら4人で、すでに火竜の魔力量を超えてるけどね ふっふっふ 黙っておくか》



御嶽山

火口から200mほど降りた岩棚に2匹の竜の幼体が穏やかな寝息を立てている

体長は、人の子供程だろうか 四肢も翼も備えているが、未だ己の足で立つことも

翼をはためかせる事も出来ず 時折目を開けるが見えているのかを親であるベヒーモスも確認する術を持たない それらはベヒーモスにとって大きな問題では無かった。。。


ベヒーモスをもっとも悩ませている最大の問題が、最後に孵化したはずの自分の子供が実体を持っていなかったのだ その存在を感じる事は、確かに出来ているにも関わらず

餌をやることも、触れてやることも出来ない 納得できてはいないが、自分達よりも高位な生物であることは、本能で理解できていた この世界に多大な厄災をもたらすであろう

存在になるであろう事も

“餌を取りに少し遠出をせねばならない この周辺の獣は狩り尽くしてしまった

人間の存在を感じるが、人を狩ることは、面倒を起こしかねない この子らが大きくなるまでは自重せねばならない”




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