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戦国魔法奇譚  作者: 結城謙三
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大原安綱

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葵生殿で夕食を終え、居室に籠もる ブルート

そこに真田幸隆が尋ねてくる

「お邪魔でしたか?」

「いえ どうぞ真田幸隆殿、どうされました?」

座卓を挟み、向かいの座椅子を幸隆に勧める

「実は、名刀、宝刀というものに目が無くてですな お邪魔でなければ見学させて頂けないかと思いまして」

「それは、構いませんが 人のもてなし方の心得が無いものですから、退屈されるかもしれませんが」

「邪魔をするつもりは、ありません 居ないものと思って頂いて結構です」

間にある座卓を横に押しやり 畳の上に三振りの太刀を抜身のまま並べる

ルイから借りてきた【童子切安綱】【鬼切】【鬼丸】

「エヴァに聞かれているかもしれませんが。。。私の居た国では、ほぼすべての人間が魔法、この国でいう法術を使えます 個人差があるのですが、指先に小さな火を灯せる者から 一撃で城を壊せるほどの火球を落とせる者まで様々です

ですから、武器の概念が違ってくるのですが より強い素材を見つけ 錬成という魔法を使える者が武器の形を作り 火や水や土といった属性を決め 使用する者が強化の魔法を付与します」

「ほう〜それは面白いですな そうなると武器の強さに上限が無いということですか?」

「さすが知将と言われる真田殿ですね より強い魔物から取れた素材を使い、より高位の錬成術士に作られ、より高位の付与魔術師に強化された武器が最強ということになりますが、まさに上限がありません」

「一度、ブルート殿の居たという国の刀を見てみたいものですな」

ブルートの話に、真剣に耳を傾ける 幸隆

「ところが、この国の武器には、錬成や属性を付与するという前提が無いわけですから

素材を鍛えるという、我々には無かった発想から

刀の優劣が決まるという進化を遂げているようなのですが 

この三振りに至っては、初めから人外。。。物の怪を切るために作られたように感じられるのです」


「年寄りの独り言と思って聞いてください

この三振りを鍛えたのは、大原安綱という今の山陰

伯耆国の大山の修験者でありました

修験者とは、霊山に籠もり修行をし霊力を身に付け

他界と現界を繋ぐ役目を持つ者です

安綱は、彼の属する寺院で沢山の稚児を育てていました 流行り病で親を亡くした稚児、戦火で親を亡くした稚児、捨てられた稚児等に親以上の愛情を注ぎ育ててていたと伝えられています

ある日いつものように修行をしていた安綱は、捨てられた男の稚児を見つけ寺に連れ帰ります

そしてその夜、血の匂いに気付き目を覚ました安綱は、嫌な予感に稚児達の眠る部屋に駆けつけると

一匹の鬼が稚児達を貪り食う様を目撃するのです

その鬼は、今日拾ってきた稚児に化けていたのです

帯刀していた刀で斬り付けますが 修行を積んだ安綱の剣でも鬼に傷1つ負わせることは叶わず

鬼は、稚児達の骸を残し悠々と山へ帰っていきました

愛情を注ぎ育てた稚児を自分の連れ帰った鬼に殺された安綱は、自らを鬼と化し、鬼を滅するための刀を作ることに心血を注ぎ 己の血と肉と命を数本の太刀に込め後進に託したのです

この【童子切安綱】は、最強の鬼と言われる【酒呑童子】を、【鬼切】は【茨木童子】を、【鬼丸】は、妖怪【土蜘蛛】を見事に退治するのです

伝え聞いた昔話です とんだ邪魔をしてしまいましたかな?」

「いえ なるほど納得がいきました。。。その安綱の執念が鬼どもをその身に宿し続けているのかもしれません」

「あまりにも美しく悲しい太刀達ですな。。。」


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