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第七話 意思を持つ敵

 アーニャちゃんのナビに従い、転移反応のある最寄りの偉多川駅前に向かうと、遠目に見えたのは黒影ではなかった。


「人が三人?!……反応からして魔法使いね。ついに科学界へのトランジションに成功したんだわ!」

「ナ……名無しおじさんが言ってたのはこのことか~」

「皆、気をつけてっ!」


 駅前は逃げ惑う人々でごった返していて、その中心に、偉そうな態度で悪趣味な成金みたいな服装の小男が一人と、彼に付き従っている様子の粗野な印象を受けるノースリーブの服を着たスキンヘッドとモヒカンの大男が一人ずついた。大男たちの露出した腕に入れ墨がある。

 周囲には倒れたお巡りさんの姿が。駆けつけたところをショットで撃たれたようだ。

 怒りが、こみ上げてくる。


「わかったわ。あの特徴的な魔神の入れ墨……魔法界のマフィア、トレイターズよ。マジヴィジョン、こちらで言うテレビのようなナチュラルで見たことあるわ」


 マフィア! 裏社会ってナリユキさんが言ってたけど、本物の反社の人なんて初めて見たよ! ナリユキさんを拉致したのも、黒影の原因もマフィア・トレイターズだったんだ!


「アーティファクト、サイレントモードにして」

『了解しました』


 アーニャちゃんのメタリックレッドのブレスレット型のアーティファクトから機械的な音声が聞こえた。

 スマホで言うところのマナーモードのようなものだろう。


「相手が人間だから、念のため、ね。気にしないで、今まで通り魔法は使えるわ。それと……テレライン」

『これで、テレラインの効果が続いている間は、奴らに悟られずに話すこともできるわ』


 私とほのかちゃんは頷いた。

 着地すると同時くらいに、向こうもこちらに気が付く様子を見せた。ハイド・スタイルを見破られたのだ。


「お初にお目にかかる。私の名はフランコ。貴様らが、散々実験を邪魔してくれた魔法使いだな? ふふん、結構な美人じゃあないか」


 小男――フランコが、反りかえりながらやさし気な顔で言う。


「あら、意外と礼儀正しいじゃない。あたしたちは、マジカルガーディアンズよ!」

「ふん、自分たちを終わらせた男の名を知りたかろうと思ったまでだ。マジカルガーディアンズか。仰々しい名前だな……貴様らは、連れ帰って娼婦にしてやる。お前はまだ小さいようだが、まあ、良い。需要はあるだろう。それで今までのことは手打ちにしてやる。どうだ?」

「しょっ……!」


 アーニャちゃんが顔を真っ赤にして絶句する。


「レッド、相手にしちゃだめだよ~。動揺を誘ってるだけなんだから~」

「おやおや、本気だったのだがね。特に青いお前は稼ぎそうだ」


 ほのかちゃんはフランコをにらみつけ、吐き捨てるように、


「さいってい~」


 と言い放った。頼りになるなあ。


「では、敵対するということで良いかね? やれやれ」


 フランコの柔和だった表情が、一気に鬼のようなそれへと変わった。


「やるぞ、お前ら。殺しはするなよ。連れ帰るからな」

「へい」

「うす」


 相手が構えたのを見て、


「行くわよ、皆」

「う、うんっ」

「負けられないね~」


『先手必勝よ、アーティファクトを壊しましょう!』


 アーニャちゃんがテレラインで作戦を教えてくれる。それに目で答え、相手のアーティファクトを探す。透視を使うまでもない、スキンヘッドの大男のシルバーの腕輪から火花が散っている――これだ。

 モヒカンの大男はゴールドの腕輪から火花が散っている。ただ、フランコだけはそれらしいものが無かったので透視をすると、わに革のジャケットの内ポケットの中に、金色の刺しゅうをされた財布型のアーティファクトがあった。それをテレラインでアーニャちゃんに伝える。


「サンダー・ショットっ!」

「ファイヤー・ショット!」

「アイス・ショット~!」


 こちらは三人とも、それぞれの属性のショットで相手のアーティファクトの破壊を狙う。


「プロテクト・シールド。見え見えなんだよ。がっかりだな」


 私たちもアーニャちゃんから習った、プロテクト・ガードよりもかなり小さいが持ち運べ小回りの利く防御魔法を使われ、いとも簡単にアーティファクトを守られてしまった。


「魔法戦闘においてアーティファクト破壊は勝利に等しい。だが、それだけに守るのも定石。今までお前らが相手にしてきたであろうデク人形とは出力も何もかもが違うんだな、これが」


 そこまで言ってから、フランコは舌なめずりをした。うわ、気持ち悪い。


「だが、黒いお前、魔法力が虹色だな。統合魔法だな……?! 良いぞ、運が向いてきた。お前は貴重な実験材料になる。と、すれば連れ帰った俺は大出世だ! そうすりゃ、カルロの旦那のように俺もアンダーボスってわけだ!」

「統合魔法相手に、か、勝てると思ってるのっ?」


 私は虚勢を張ってみた。もしかしたら恐れをなして逃げ帰ってくれるかもしれない。


「はん、素人丸出しでよく言う。そりゃあ英雄クレスが相手なら逃げ切れるかどうかも怪しいが……お前なんて、怖くもなんともないぜ。ふふふ……」


 伝説の統合魔法を見ても怯まない、それどころか喜ぶだなんて……。


「それではお嬢さん方、ダンスと洒落込もうじゃないか。クイック・ムーブ」

「へっへ、クイック・ムーブ」

「クイック・ムーブ! 上玉だぜぇ!」


 先ほどとは逆に先をとられて、こちらが対応してクイック・ムーブを唱える間に接近戦へ持ち込まれてしまった。それぞれ一対一の構図になる。

 とっさに「サンダー・スピア」というエネルギーでできた片手槍の魔法を展開し、スキンヘッドの大男のファイヤー・ブレードを弾く。


「い・つ・ま・で・も・つ・か・なっと!」


 一音ごとに振り下ろされる、相手のファイヤー・ブレードをさばき続ける。


「データで知ってるぜぇ、俺のアーティファクトを壊しやがったのはお前だなぁ? 属性がサンダーだもんなあ!」

「えっ? まさか、貴方が、ボルトンプラザの黒影の」


 アーニャちゃんの転移の原因のガラの悪い人! だから同じ魔法だったのか!


「借りは返させてもらうぜぇ! ひゃっひゃっひゃ!」


 とっさに複数魔法同時起動でプロテクト・シールドを展開し相手の突きを受け止め、


「やっ!」


 相手が驚いている間に今がチャンスとサンダー・スピアを突き立てようとしたが――、一瞬の躊躇のせいで空振ってしまった。


「へへ、統合魔法の複数魔法同時起動か! しかし、素人は攻撃をためらうよなあ……。ヒュー、命拾いしたぜ」


 そう、相手がマフィアとはいえ、私は命ある相手に攻撃するのが怖いんだ。

 それが一瞬の躊躇へとつながった。


「つ……次は当てるよっ」

「どうだろうなあ……! お嬢ちゃんには無理じゃないのか? うん?」

「ば、馬鹿にしないでっ」

「ヒヒ……。フランコの兄貴! こいつら、ドンに献上する前に味見しても良いんだよなあ?!」


 スキンヘッドの大男は下卑た表情でいやらしいことを叫んだ。


「ああ、かまわんよヤコポ。生きてさえいればいい!」

「だ、そうだ。やる気がたぎってきたぜぇ!」

「そ……そうはさせないよっ!」


 自らを奮い立たせて、サンダー・スピアを構え直し、今度はこちらから跳んだ。

 同時に、無詠唱でショットを準備する。撃つ。狙いは相手のアーティファクトだ。


「芸がないぜ、お嬢ちゃん」


 ファイヤー・ブレードで器用にショットを弾いたヤコポは、そのまま私のサンダー・スピアを受け止めた。

 強い……手練れだ!

 さっき複数魔法同時起動の存在を知られてしまったのも痛い。対策をたてられているのがわかる。

 魔法の剣と槍で、打ち合う。

 見かけ上は互角かもしれないけど、実際は自分が劣勢なのが分かった。

 魔法出力はこちらが上でも、持久力は相手の方がありそうだからだ。


「負けて楽になっちまえよ!」


 クロの声だ! こんな時に……!


「殺しはしないってんだからよぉ、良かったじゃねえか!」


 全然良くない!……いや、クロに反応すべきじゃない。気を抜けばやられる!

 その時。


『すまない、遅くなった』

「名無しおじさん!」

「あん? なんだ?」


 思わず口に出してしまったけど、ナリユキさんの声はヤコポや他のマフィアには聞こえていないからセーフ。


『状況は把握しているよ。術者が決めた対象にしか影響を及ぼさずそれ以外は通り抜ける魔弾魔法、リミット・ストライクの術式を転送した! 魔法大学卒業レベルの扱いが難しい魔法だが、ひまりさんなら大丈夫だろう。うまく使ってくれ!』


 それって、つまり……、シールドやガードを通り抜けるってことかな?! おまけに、相手の体には傷をつけないから、躊躇も無くなる!

 すごい! いけるかもしれない!

 確かにショットよりは繊細な魔法出力が必要そうだけど、なんとかなりそうだ。

 アーニャちゃんがサイレントモードにしたのは、こういう時のためか。術式を受信するときに魔法名がバレてしまうもんね。撃つときに魔法名を言うと、やはり特性がバレて防がれるかもしれないから、無詠唱で――。


「行けっ!」


 リミット・ストライクを撃つ。


「そんなこったろうと思ったぜ」


 かわされる。そんな、何で?!


「素人が。協力者から術式貰ったんだろ? だが、甘かったな。リミストも戦場じゃ有名だしなァ。詠唱しなくても、見りゃ、違いがわかる。警戒してくれって言ってるようなもんだぜ」


 経験の差。それが、如実に表れていた。

 早朝魔法トレーニングをしているとはいっても、結局は実戦ではないんだ。それに、始めてから日が浅い。圧倒的な戦闘経験の差。

 怖い。

 敗北を前にして、私は恐怖に押しつぶされそうになっていた。


『シルバー、聞こえるかしら?』


 アーニャちゃんのテレラインだ。


『き、聞こえるよっ』

『よく聞いて。あたしとブルーで何とか三人とも引き付けるから、その隙に最大数のリミット・ストライクを準備して、そのハゲに集中して撃ちなさい。物量で押し切るしかないわ』

『で、でも、危ないよっ』


 一人当たりの負担が一・五倍になるということだ。そんな負担に耐えられるだろうか?


『いいから。一人倒せば形勢が逆転する。シルバー、貴女に賭けるわ』

『ブルーは……』

『わたしも、それしかないと思うな~。このままじゃジリ貧だよ~』

『でも、さっきみたいに当たらないかもっ』


 ほのかちゃんがウインクする。


『任せてくれれば、わたしが相手の動きを一瞬止めるくらいはできると思うから~』

『……わかった!』


 なんだかわからないが、もう、二人を信じるしかない!


「作戦は決まったかね?」


 フランコが余裕たっぷりに話しかけてくる。


「最後のあがき、楽しませてもらうとするよ。無駄に終わると思うがね」

「あたしたちの信頼を甘く見ないことね!」

「信頼などと下らない。信じられるのは己の力だけだ!」


 フランコがストーン・ブレードを構え直す。


「あんたたちなんて、あたしとブルーだけで十分よ!」


 アーニャちゃんがファイヤー・スピアを構えて突撃する。ほのかちゃんもアイス・スピアで後に続く!


「ふん、小娘が。挑発のつもりか? 面白い!」


 激闘が始まった。マフィア三人は、全員各属性のブレードを使っている。要はそれほど長くない剣だ。それに対し、こちらは二メートルくらいのスピアだから、接近戦ではあるもののある程度の距離がとれて、時間を稼ぐのが目的だから相手の攻撃をさばくことが何とか出来ている。

 その間に私は集中し、一度にたくさんのリミット・ストライクを同時起動する準備をする。早朝トレーニングの時にショットで試したときは二十発くらいできた。しかも、それは全力というわけではない。

 魔法の種類が違うから厳密なことはやってみないとわからないが……。


「けっ、下手な鉄砲数うちゃ当たるってか? お前なんかの豆鉄砲いくら用意したところで無駄なんだよ!」


 クロが自信を無くさせるようなことを言ってくる。

 でも、二人を信じると決めたんだ。私も、ここで決めなくちゃならない。

 クロが見える。病気の再発は怖い。でも、薬を毎日欠かさず飲んでいるし、睡眠時間など、身体の健康にも気をつかっているからきっと大丈夫だ。

 それに、病気の再発よりも、人、つまり今はマフィア・トレイターズの方が怖い。でもだからこそ、魔法に集中できた。やるしかないのだ。

 魔法の同時起動は、今の私だと二~三個なら瞬時に行える。けど、何十発も同時に撃つとなると溜めの時間がいる。一瞬の起動数も訓練次第で増やせる気はするけど、今はできない。

 二十……二十四……二十八……まだ行ける……四十…………五十八……これが限界!


「ブルー!」

「任せて~プロテクト・ガードぉ~っ!」


 ほのかちゃんが展開したプロテクト・ガードは、ヤコポの周囲を覆った。

 ほのかちゃんを信じて、そのまま、


「リミット・ストライク、五十八弾!!」

「何だと?! こっ、こんなもん!」


 ヤコポは体の周りをぐるっとおおうプロテクト・ガードのせいで移動ができない。魔法だろうと物理だろうと防ぐプロテクト・ガードは、敵の周囲に展開すれば動きを封じることができる、というわけか!

 だけどそれは口で言うほど簡単なことじゃない。クイック・ムーブの影響下にある高速戦闘では、相手の動きの予想と抜群の反射神経を発揮しなければならないからだ。


「ぐっ、ぐおおおおお……?!」


 リミット・ストライクがヤコポのシルバーの腕輪に命中し、砕いた。そのまま残ったプロテクト・ガードが拘束の代わりとなり、ヤコポはどうしようもなくなる。さすがに、魔法なしでプロテクト・ガードは壊せない。


「ヤコポ! くっ……! ただものじゃなかったようだな」

「これで、形勢逆転だね~。ゲームで鍛えた反射神経が役に立ったね~」


 勝ち誇るほのかちゃん。やっぱり、頼りになるなあ。


「ふざけやがって! ウーゴ、殺して構わん! 本気を出せ!」

「了解ですぜ、フランコの兄貴!」


 殺気をたぎらせて、残りのフランコと、ウーゴと呼ばれたモヒカンの大男が襲い掛かってくる。しかし手数は先ほどまでの三分の二だ。アーニャちゃんとほのかちゃんは割と余裕を見せながら攻撃をさばいている。勝機はこちらにある!

 そして、再び――


「ブルー!」

「プロテクト・ガードぉ~っ!」

「リミット・ストライク、五十八弾!」


 ウーゴのゴールドの腕輪を砕いた。残るはフランコ1人だ。


「ちっ、畜生畜生! この私が、こんな小娘たちなどに……!」


 歯ぎしりして悔しがりながら、ストーン・ブレードを構え直すフランコ。まだやる気だ。


「降伏したら? アーティファクトをこちらに渡せば――」


 アーニャちゃんが降伏勧告をするが、


「お断りだね。舐められたマフィアなんて、お先真っ暗だ」


 向こうにも、マフィアなりの戦う理由があるらしかった。


「死ねやぁーーっ!」


 突撃してくるフランコの動きをほのかちゃんのプロテクト・ガードで止めて、私のリミット・ストライクで金色の財布型のイリーガル・アーティファクトを撃ち抜いた。



 トレイターズの三人をバインドという長時間拘束できるが魔法有りだと簡単に破られる魔法で拘束し直し、尋問を始める。口火を切るのはアーニャちゃんだ。


「貴方達、そもそもなんでイリーガル・トランジションを研究してたのよ。それさえなければあたしが飛ばされることもなかったのに! せめて説明しなさい。あと、トランジションの術式も持ってるなら渡しなさい!」

「……わかった、話してやる」


 意外にも、フランコは素直に応じた。


「科学界へのトランジションを研究してたのは、何かやったときに魔法界の警察から逃げるためだ。科学界にまで奴らは追ってこれないからな。あと、将来的には科学界にトレイターズが進出するためだって聞いている。こちらには脅威となる魔法使いがいないからな……マジカルドラッグを売りさばいても、魔法紋の解析すらできないから足は一切つかないし、簡単に金が稼げるってわけだ」

「魔法紋?」


 聞きなれない単語に首をかしげると、


「魔法力って、一人一人波長が違うのよ。それを分析すれば魔法を使った個人を特定できるの。それが魔法紋」


 なるほど、指紋みたいに警察の捜査に使われるのか。


「とにかく、最低ね。トランジションは持ってないの?」

「さっき貴様らが俺たちのアーティファクトを壊したのを忘れたのか? 持ってたとしても、もう渡せないってことだよ」

「……確かに……」


 うなだれるアーニャちゃん。きっと、魔法界に帰る糸口を得ようとしていたのだろう。


「それにしても~、いやに親切に教えてくれるね~。なーんか裏がありそう~」

「ふん、ただの――冥途の土産さ」


 にやにやと笑いながら言い放つフランコ。他のヤコポやウーゴも薄笑いを浮かべている。アーティファクトもないし、何もできないはずなのに。何だろう、嫌な予感が……。


『皆、警戒して! 魔法反応だ!』


 ナリユキさんが突然叫ぶ。私たち3人はそれぞれとっさにプロテクト・ガードをする。しかし彼らからの攻撃はなかった。


「次はもっと仲間を連れてくるとするよ!」


 トレイターズの三人は光に包まれたかと思うと、消えてしまった。

 逃げられたんだ! きっとこれが奴らのトランジションだ……! でも、どうして、どうやって?


『トレイターズ本部からのイリーガル・トランジションのようだ。ぺらぺら話していたのは、本部との念話時間や魔法の準備時間を稼ぐために違いない。うかつだった……! すまない、皆……』

「名無しおじさんが悪いわけじゃないよ~」

『……ありがとう』


 それから私たちは、負傷していたお巡りさんにエレメンタル・ヒールをかけた後、ハイド・スタイルとフライ・ハイのコンボでその場を離れた。

 空を飛びながら、思う。

 次はもっと仲間を連れてくる、と言っていた。

 三人相手でもギリギリだったのに、もっとたくさん来るだなんて。


「ねぇ、二人とも。次は私たち、勝てるのかな、負けたらどうなっちゃうのかな……」

「確かに負けた時を考えると怖いけど……今はやれることをやるしかないんじゃないかしら? 今まで以上に早朝魔法トレーニングをするとか」


 そう言いながらもアーニャちゃんは自分の言っていることだけではダメだと感じているのか、浮かない顔だ。


「真正面から行ってもダメだろうね~。何か考えないと~」

「でも、ハイド・スタイルはすぐバレるでしょうし……かといって他に隠れる魔法は習ってないわ」


 ああでもない、こうでもないと話し合いは紛糾し、私の家に着いてからもしばらくそれは続いたが、結局有効な手段は浮かばなかった。

 怖い、怖いよ……。

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