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【コミカライズ】絆の聖女は信じたい ~無個性の聖女は辺境の街から成り上がる~  作者: 日之影ソラ
第一章 聖女と騎士

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12.穢れの源泉

 魔物の痕跡は至る所に残されている。

 木々を削った爪痕に、湿った地面を踏みしめ残った足跡。

 そして異臭。

 獣を殺し、食らったであろう場所には、大量の蠅が飛び交っている。


「近づいてる感じね」

「ああ、二人とも警戒して。お二人も気を付けてください。魔物がいつ襲ってくるかわかりません」

「はい」

「忠告ありがとうございます」


 ロイドの忠告を快く受け入れる二人。

 その二人がピタリと、急に足を止めた。


「レナ」

「……うん、近づいてる」

「どうしたんです?」


 尋ねたロイドにレナリタリーが答える。


「穢れの気配を感じます。それもどんどん近づいてきているようです」

「本当ですか?」

「はい」


 聖女とその加護を受けた者だけが感じる穢れのおぞましい気配。

 身体にねっとりと巻き付くような寒気を感じとり、二人は立ち止まった。


「方角はわかりますか?」

「この先を真っすぐだと思います」

「わかりました。アリサ」

「ええ」


 ロイドが指示すると、アリサが杖を両手で縦に構える。

 目を瞑り、杖の先をトンと地面に当てる。


「風の導よ――」


 彼女を中心に弱い風がふく。

 風は四方へ吹き、さらに前方へ吹き抜ける。


「ねぇユーリ、あれってもしかして」

「ああ、魔法だ」

「やっぱり。あれが魔法……初めて見る」

「俺もだ」


 人間の内には魔力が宿っている。

 魔力はもっていて当たり前の力で、聖女ほど希少ではない。

 ただ、現代においては魔法使いは聖女より希少とされている。

 魔力は持っていても極少量だったり、魔法を扱えるほどのセンスを持つ者が限られているから。


 アリサが閉じていた目を開ける。


「来てるわね」

「数は?」

「ちょうど十。何かまではわからないけど、大きさは人間と同じくらいね」

「この辺りだとワーウルフとかじゃねぇーの?」

「かもしれないわ。移動速度的に待ってても一分以内にぶつかるわよ」


 今までになく真剣な表情の冒険者三人。

 それに影響されて、レナリタリーとユーリも気を引き締める。


「ちょうどここは開けてるし戦いやすい。迎え撃とう」

「よっしゃ!」

「了解したわ」

「二人もそれで構いませんか?」

「はい」

「お任せします」


 ロイドが剣を抜き、ジェクトが槍を背から取りくるりと回す。

 アリサは杖を持ったまま二人の後方へ。

 

「アリサ、敵が見えたら砲撃で」

「いっぱつドカンと頼むぜ~」

「ドカンは無理よ。森なんだから燃える系はなし」


 三人は冷静に、街の酒場でたむろするかのように雑談をしていた。

 おそらくこれが普段通り。

 慣れている者の余裕というものだろうと、慣れない聖女と騎士は思う。


 そして――


「来るわ!」


 アリサが叫ぶ。

 森の奥からぞわっとした気配と共に現れた十の影。

 狼の顏をした人型の魔物は、片手に武器を持っている。


「やっぱりワーウルフだったか」

「アリサ!」

「ええ」


 ワーウルフが駆け出す。

 それよりも速くアリサが杖をくるっと回し、魔法を唱える。


「風よ――吹き荒れろ!」


 構えた杖の先から突風が吹き荒れる。

 木々と地面を削る荒々しい風に吹き飛ばされて、ワーウルフが倒れ込む。


「ジェクト」

「おう任せろ!」


 大きく出来た隙を見逃さず、ロイドとジェクトが駆ける。

 体勢を崩したワーウルフを優先に倒し、確実に数を削っていく。

 ジェクトは華麗な槍さばきを披露しながら、わざとらしくレナリタリーにアピールしていた。


 どうだ見たか?

 オレってばこんなに強いんだぜ?


 とでも言いたげに彼女へ視線を送るが……


「ユーリ」

「レナは俺の後ろに」

 

 二人の前にもワーウルフが二体迫っていた。

 二体のワーウルフは、黒く淀んだオーラを纏っていた。

 それは彼女たちにしか視認できない。

 

「穢れに汚染されてる」

「みたいだな。凶暴化してる」

「気を付けてね」

「ああ」


 ユーリは剣を抜く。

 と同時に、レナリタリーが祈りを捧げる。

 両手を握り、彼を想う。

 すると淡い光がユーリを包み、一瞬のうちにワーウルフを斬り伏せた。


「……チッ」


 戦闘はあっけなく終わり、面々は森の奥へと足を進めた。

 淀んだ空気が濃くなる中、会話も徐々に減っていく。

 

「穢れの気配が濃くなってきたな」

「うん。たぶん吹き溜まり……源泉があるんだよ」

「……」


 特にジェクトは静かになっていた。

 気になったロイドが尋ねる。


「どうしたんだ?」

「別に」

「やっと理解したのね」

「そんなんじゃねーよ。ただ調子狂うっていうか、あいつ全然俺に敵意も向けないし、気にもしてねぇじゃん」


 それが気に入らない、というわけではなく、調子が狂うとジェクトは言った。

 

「特別なことしてるわけじゃねぇのにさ~ 何か、ちょっかい出してるのが馬鹿らしくなってきたんだよ」

「ようやくか」

「ようやくね」

「何だよ。最初からわかってた風だしやがって」


 わかってたんだよと呆れながらアリサは言う。

 それからしばらく歩いて、彼らは目的地にたどり着いた。

 ただ開けた場所で、何もない。

 ように見えるだけで、異様で異質な雰囲気が漂う。

 

 見える二人には、黒い沼が広がっているように映っていた。

 あふれ出ている真っ黒な泥や霧すべてが穢れである。


「これが源泉か」

「うん……さすがに少し気分が悪くなりそう」

「大丈夫か?」

「うん、大丈夫。今から祓うよ」

「了解した。無理はするなよ?」

「うん」


 レナリタリーは腰を下ろし、膝をついて祈る。

 その背中を騎士が守り、冒険者たちは数歩離れて様子を見守る。

 

「……変な二人だぜ」


 二人を見ながらジェクトがぼやく。

 ただの友人ではない。

 恋人同士にも見えない。

 それでも、一緒にいることが当たり前で、決まっているようにさえ思える。

 そんな二人の並びに、他人が入り込める隙間はなかった。

 

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