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【コミカライズ】絆の聖女は信じたい ~無個性の聖女は辺境の街から成り上がる~  作者: 日之影ソラ
第一章 聖女と騎士

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10.諦めなさい

 ロイドが話を続ける。


「穢れについてそこまで詳しくありませんが、穢れが魔物に影響を与える……という話を聞いたことがあります」


 事実なのかとロイドが尋ねる。

 考えながら聞いていたレナリタリーは、下げていた視線を戻し答える。


「そういう場合もあります。穢れは負の感情から生まれた力です。魔物は特に凶暴で、穢れの影響を受けやすいですから、そういう場所が近くにあれば凶暴化も考えられます」

「そう言う場所?」

「穢れの吹き溜まりです」

「吹き溜まり……そんな場所が?」


 レナリタリーはこくりと頷く。

 穢れの吹き溜まり、別の言い方をすれば源泉。

 数日前のクマの穢れのように、突然発生する穢れに対して、穢れを生む源泉のような場所がある。

 人口の多い都市の近くや、かつて争いがあった場所など。

 負の感情が溜まりやすい環境が影響して、より濃い穢れを発生させる。


「なるほど……源泉か」

「はい。ただ可能性としては低いと思います。この街はそれほど大きくありませんし、近くで争いがあったわけでもありません。吹き溜まりが出来る程の穢れは発生しないと思うのですが……」


 途中まで話して言葉を詰まらせる。

 彼女の脳裏に浮かんでいたのは、クマの穢れと戦った時のことだった。

 この街で穢れが発生したことが異常で、おかしなことだと感じる。

 不安というには曖昧で、胸騒ぎに近い何かが彼女の胸をざわつかせる。


「実際に見てみるのが早そうですね。もし穢れなら一目見ればわかります」

「ならこれから森へ行きましょう。俺たちが普段から狩場にしてるので案内できます」

「よろしくお願いします」


 レナリタリーは一礼して、後ろを振り向く。


「ユーリも一緒に来てくれる?」

「もちろん行くよ。君を一人で行かせられるわけない」

「ありがとうユーリ。よろしくね」

「ああ」

「……」


 二人のやりとりを目にしたジェクトは、面白くなさそうに眉をひそめる。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 三人と二人は教会を出て西の森へ向かった。

 広大な自然に囲まれたアトランタは、四方を向くことで別々の雄大な景色を見ることが出来る。

 例えば北は大きく広がる海が見え、南は雪積もる山々が並ぶ。

 東には草原を抜け、飛竜種が多く生息するという大峡谷があり、そして今向かっている西は一面の木々が生い茂る深い森だった。

 

「レナリタリーちゃんは、森に入るの初めて?」

「え、あ、はい。こんなにも大きな森は初めてです」

「そっか~ オレたちは仕事で毎日のように来てるからさ。迷ったりする心配もないから安心して」

「はい。ありがとうございます」


 ニコリと笑顔を見せるレナリタリーに、ジェクトはご満悦の様子。


「所でその、皆さんは冒険者……なんですよね?」

「そうだぜ?」

「すみません私、冒険者についてはあまり詳しくなくて……」


 申し訳なさそうに言うレナリタリー。

 彼女は説明を求めるように、隣を歩くユーリに視線を向ける。

 ユーリも視線に気づいて口を開こうとしたが……


「冒険者って言うのはな! いわゆる何でも屋だ」


 遮るように、ジェクトが説明を始める。


「魔物退治から雑用まで。依頼があれば何でも請け負う! 危険な仕事も多いけど、その分自由にやれて楽しいんだぜ」

「そうなんですね。説明して下さって嬉しいです」

「いやいや、これくらい構わないって」


 デレデレするジェクトの脇を、ロイドがツンとつついた。

 ジェクトは歩幅を狭め、ロイドとアリサに近づく。


「何だよ」

「それはこっちのセリフだ。会う前と態度が別人じゃないか」

「そうよ。もう気持ち悪い」

「キモっ、失礼な! オレは真摯に対応してるだけだぜ?」


 と、ジェクトはわざとらしく振舞うが、どう見てもレナリタリーに気があるのはバレバレだった。

 二人は互いに顔を見合わせ、大きくため息をこぼす。


「ジェクト、あんたじゃ無理だから諦めなさい」

「は? 何でだよ」

「あれを見てわからないのか?」


 ロイドに視線で誘導され、少し前を歩く二人に目を向ける。


「足元気を付けろよ」

「うん」

「疲れたら早めに言ってくれ。いざとなったら抱えて歩くから」

「だ、大丈夫だよ~」


 恥ずかしそうに顔を赤らめるレナリタリー。

 仲睦まじく歩く二人を、何とも言えない表情で見つめるジェクト。

 そんな彼にアリサがズバリと言う。


「わかった? あんたじゃ無理だって」

「……ふっ、甘いなアリサ。確かにあの二人は仲が良さそうに見える。だがそれは間違いだ!」

「……何言ってるの?」

「普通に仲良く見えるけど?」

「チッチッチッ」


 ジェクトは指を振る。

 気取った身振りにアリサは苛立つ。


「それは表面上だ。所詮あの二人は聖女と騎士、いわゆる仕事の関係なんだよ。仕方がないから仲良くしてるだけだ」

「そうかなぁ~」

「何を根拠に言ってるわけ?」


 アリサが話し疲れながら尋ねると、ジェクトはニヤリと笑う。


「オレの勘だ!」

「……それ当てにならないやつでしょ」

「見てろよ~ オレの格好良い所を見せつけて、一瞬で惚れさせてやるぜ!」

「聞いてないし……」

「あっははは……」

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