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機械の神と救世主  作者: ローランシア
第一章 異世界と救世主
5/38

005 東条司とソフィア・エルト

 俺たちは訓練場での模擬戦が終わり、客室に戻ってきていた


「ささ、皆様。お茶をどうぞ……」

「どうも。いただきます」

「い、いただきます……」

≪……私は結構です≫

「いやぁ、先ほどは驚きましたぞ……。あまりの事に腰を抜かしてしまいそうでしたよ、ハハハ……」

「ハハハ……。アレが一番早く信じてもらえると思ったもので……」

「ええ、ええ。信じましたとも、あのお姿を見て信じぬ者はおりますまい……」


「それでは、リリア様の身元を伺いたいのですが……」

 いいながらリリアの方へ顔を向ける


「はい。私はリリア・バルドと申します。二年程前、アルザード山脈のふもとにある「フィーネ」という村が「破滅の王」の軍勢の侵攻を受け家族を亡くした孤児です……」

「……そうでしたか」

「家もなく、その日を食いつなぐだけの路上生活を送っておりましたが、運悪く昨日の男の人たちに目を着けられてしまい……、

 暴行を受けていたところを幸運にも司さんとマキナさんに救っていただけました」


 俺の元いた世界で言うとホームレス狩りって奴か、どこの世界でも似たような連中はいるもんだな……


≪マスターの元いた世界は、凄く平和なようですが……、やはりああいうゴミはいたのですか……≫

 ……いたさ、残念な事にな。幸い俺はそういうの連中とは関わりなく生きて来られたけどな……


「なるほど……。事情は理解しました。戦災孤児の人が暮らしている施設を当たってみましょう」

「っ!?よ、よろしいんですか!?あの、私お金……ほとんどないんですけど……」

「ハハハ……。心配はご無用ですよ。理不尽に家族や家を奪われ苦しんでいる人の為の国が運営する施設です」

「ありがとうございます……!ありがとうございます……!」


 リリアさんが涙を浮かべながら何度もお礼を言い、頭を下げる


「……ありがとうございます。隊長」

「救世主様からお礼を言われるとは我が人生最高の日ですな!ハハハ……!」

「そ、そんな……。俺はそんな大層な奴じゃ……」

「何をおっしゃいます。救世主様のお力、あのお姿を拝見したのです。

 私は破滅の王等恐れるに足りぬと確信いたしましたぞ!ハハハハハ!」


 全部、ぜーんぶマキナのおかげなんすけどね!俺が凄いんじゃないんだけどね!

 自分が凄いわけでもないのに、賞賛されても反応に困るぜ……


「ハ……、ハハハ……」

 乾いた笑いでごまかしながらお茶を飲む


「ところで、救世主様。もう陛下にはお会いになられたのでしょうか?」

「陛下……って、この国の国王……ですよね。いえ、まだです……昨夜召喚されたばかりですから」

「なんとっ?すっ、すぐに謁見の手配をいたします!」

「えっ……」

 俺の言葉を聞き警備隊長が血相を変えて立ち上がる


「救世主様っ!すぐに陛下との謁見を取り付けますのでっ!しばしお待ちいただけますかっ!おおい!?すぐ来てくれ!」

「は、はぁ……」

 警備隊長が大声で使用人さんを呼びつける


「はい。お呼びでしょうか? 隊長」

「君。私は至急城へ行かなければならない。救世主様達を丁重にもてなしてくれ」

「かしこまりました」

「いいか?絶対に失礼にならないようにしてくれ」

「はい、かしこまりました」

「それでは、救世主様、皆様。私は一時退室させていただきます。

 少しの間この客室でどうぞごゆっくりとお過ごしください。……失礼します」


 警備隊長さんが使用人さんに指示を出した後、ドアの所で俺たちに一礼し部屋を出て行った


 な、なんか模擬戦が終わってから急に丁重に扱われるようになったな……

≪マスター、これが当たり前の対応です……≫

 ああ、そうだ……マキナに相談があるんだ

≪はい。なんでしょう?マスター≫

 俺も何か剣術なり武術を学ぼうと思うんだ……

≪ど、どうしてですか?マスター……わ、私じゃ役不足ですか……≫

 マキナが泣きそうな顔になる

 違うよ、マキナ。いつもマキナを装着した状態でいるわけにもいかないだろ?

≪はい≫

 この世界にも弓や鉄砲……銃などの飛び道具はあると思うんだ

≪銃火器の類はないようですね。遠距離兵器としては弓と攻城戦用の大砲だけのようです≫

 え、もうそんな事まで調べたのか?マキナ

≪はい。マスターのお役に立てるかと思いまして……≫

 えらい!デキる神器でありがたい!

≪えへへ……≫

「……でな?例えば街を歩いてる時に弓で狙われたら……ヤバいだろ?

 このまま王様に謁見して救世主って事が世間に知れたらすぐ有名になると思うんだ。

 てことはその分命も狙われやすくなるはずだ。特にこの世界は物騒極まりないみたいだしな。

 救世主を殺して名前を上げようなんて思う人間がいても不思議じゃない。

 マキナが宿ってるって点以外は俺ってただの人間だし……、この物騒な世界で生き抜く為に必要だと考えたんだ

≪なるほど。そういう懸念をされていましたか……。わかりました≫

 お、何かいいアイデアあるか

≪わかりました。修行についてはお任せください≫

 マキナって戦闘の知識とかもあるのか

≪はい。戦闘についてはありとあらゆる戦闘術のデータを揃えてあります≫

 おお!じゃあ、俺に修行をつけてくれ頼む!

≪承知しました。マスター≫

 ああ、頼む!最強の機神様に修行をつけてもらえるなんてラッキーだぜ!

≪……これは、言わずにおこうと思ったのですが、実は私完全体ではないのです。ですから、今は最強という程ではないかと……≫

 ……ええ!?マキナって、確か召喚された時に100%の品質で戦えるって言ってなかったか?

≪それは……、マスターの能力に合わせた100%です……。

 神器は肉体、精神力共に強くなければ本来の能力を発揮できないんです≫

 つまり、今の俺が弱いから、弱いなりの100%って事?

≪そうです。本来の力を引き出す為には、マスター自身が強くなる必要があります

 強い力を使うという事はそれだけ体にも負担がかかりますから……≫

 なるほどな。まだ伸びしろがあるのか……、つまり俺が強くなればマキナも強くなるんだな?

≪は、はい≫

 破滅の王ってのがどんなのかわからない以上、強くなっておくに越した事はないさ。

 ところでさ?俺が強くなってマキナが本来の力で戦えるようになったら……どれくらいの強さになるんだ?

≪そうですね。この世界は全体の広さすらまだ調べられていませんのでお答えしかねますが、

 マスターの元居た世界なら一日もあれば殲滅出来るかと≫

 とんでもないハイスペックだな!?マキナ……!

≪……マスター?今私の胸見て「おっぱい以外はハイスペック!」とか思ったでしょ?≫

 思ってないって!てか小3女子にそんな事思わないって!

≪それはそれでモヤっとしますねっ!?≫

 マキナは胸に対してコンプレックス抱きすぎだって!

≪……じゃあ、マスターは女の子のおっぱいは大きいのと小さいのどっちがいいんですか……?≫

 大きいの

≪ほーらー!?即答じゃないですか!≫

 そりゃあ、ねえ?ないよりはあったほうが……

≪くっ!私を創造した開発者は天才でしたが、極めて特殊な変態だったという事が悔やまれますっ……≫

 ま、まあまあ、小3女子ってみんなそれくらいの体格だから気にしなくても……

≪マスターが強くなったら、私のおっぱいも大きくなったらいいんですけどね……≫

 俺を「おっぱいの為に戦う男」みたいに言わないでくれる!?


 などとマキナと話していると警備隊長が戻って来た


「お待たせしました、救世主様。陛下と謁見の準備が整いました」

「あ、ど、どうも……?」

「ささ!表に馬車をご用意しております!お二人ともこちらへ!」

 俺とマキナが警備隊本部の建物から出ると、立派な馬車が俺たちを迎えてくれた、リリアさんは警備隊で保護される事になったので、警備隊本部にいる事になった


 すげぇ!本物の馬車だ……!生まれて初めて実際に馬を見た……!実物はやっぱ迫力があるな!


 俺、マキナ、警備隊長の三人で馬車に乗り込む

 俺たちは馬車に乗り込み馬車に揺られ15分ほどで王城が見えてくる


 王城に近づくにつれてだんだんと周りの建物も少し変わった景観になっている事に気が付く

 道が綺麗に整備されていて、建物も豪邸と言っていい程の大きさの建物になってくる

 この辺りは貴族の人やそれに近い地位の人が住んでいるのだろう


 そうしているうちに、徐々に立派な門が見え、その奥に大きな城が見えてきた


「……初めて見た……。城だ……すげぇ……やっぱ現実でみると迫力が違うぜ」

「救世主様は城をご覧になられるのは初めてですか」

「はい……」


 王城の立派な門構えに圧倒され思わず声に出てしまっていたようだ、

 今の俺は完全に田舎者丸出しの姿に映っているだろう


 門の前で馬車が止まると、隊長が馬車の窓から顔を出す


「私だ……、救世主様をお連れした。門を開けてくれ」

「ハッ……!直ちに!」

 ……こ、この隊長って何者なんだろう

≪この隊長のパーソナルデータを出しましょうか?マスター≫

 ああ、頼む。この人の個人情報わかるか

≪はい。イグニス・テラー、年齢61歳。職業、エルト国・王国騎士団長、首都警備隊隊長、警備隊訓練官。

 戦災孤児の出身で兵士から武勲を上げ40歳の時に騎士の最高の称号である「剣聖」を史上最年少で授けられ騎士団長に任命。

 以後エルト国の戦時指令に着任。緊急時におけるこの国の要と言っていい重要人物です≫


≪個人での魔物討伐数はゴブリン2143、オーク144、オーガ18、ナーガ6、サイクロプス15、ドラゴン2……以上です≫


 ……なぁ?魔物の討伐数……この数字はどうなんだ?

 まだ魔物って奴に遭遇してないからいまいちピンとこないんだけど……


≪ただの人間の一人の兵士として見れば、かなりの功績だと思います。「歴戦の戦士」と言っても過言ではないかと。

 ただこの数も階級が上がって前線で闘う事がほぼなくなった上での数ですから、

 この人が前線で闘い続けていればさらに数は多かったと考えられます≫


 隊長って……かなりすごい人だったんだな……、改めてマキナってすげーって思ったわ……


≪ふふふ。私、デウス・エクス・マキナですから≫


 マキナがフンスと誇らし気にない胸を張る

 

 ……ちなみにさ?その魔物の討伐数って……本来のマキナだったらどれくらいの時間で倒せる?


≪魔物の配置位置と地形にもよりますが、平地での戦闘なら3秒もあれば殲滅できます」


 ぶっ……!凄すぎて思わず吹き出しそうになった、

 思わずマキナの方を見ると馬車の椅子に腰かけ白い素足をプラプラさせながら、にこーっととかわいい笑顔で返す最強の機神様

 ……こうしてるとただの可愛い小3女子なんだけどなぁ……


「救世主様。城へ到着しました。馬車を降りましょう」

「はい。マキナ?降りるよ」

≪はいっ。マスター≫


 馬車を降り、豪華に飾り彫りがされた門が開けられる


 ギギギギギギィ……


 すると赤絨毯が敷かれ、赤絨毯の両脇に槍を持った兵士たちが整列し、

 兵士たちの後方には多数の使用人らしき人達が出迎えてくれていた


「な……」


「さあ、救世主様。。参りましょう」

「……は、はい……」


「一同っ!救世主様に敬礼ーーーーーーーーっ!」

 隊長に前に進むことを促され返事をすると一番奥の兵士が号令を出す


 その号令の元、兵士達が端から順に敬礼していく


 バッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッバッ……


 映画で見た事あるぞ、この光景!


 俺たちは赤絨毯の上を歩いていき謁見の間に通される


 玉座に座った王様らしき、立派な白髭を生やした初老のおじいさんの前に着くと隊長が膝まづく

 その様子をみて俺も膝まづこうとしたが、マキナに話しかけられる


≪マスター。お待ちを。マスターが膝まづく必要はありませんよ≫

 えっ?で、でも国王だぜ?この国の王様だぜ……?

≪たかが一国の王ごときにマスターが膝を折る必要はないです≫

 ごときって……

≪ご自覚がないのかもしれませんが、マスターはこの世界の命運を握っているのですよ?≫

 やっべ、全く実感ない上に、話についていけなくなってきた


≪膝まづくという事は敬意を表す行動であると共に、自分が相手より下だという意思表示でもあります。

 マスターが王に膝まづくという事は、この国に従うという意思表示に他なりません。

 この貴族達の中に他国の間者が紛れ込んでいる可能性も十分にありえます。

 強い力を持つ救世主が一国に加担したとなれば、それを知った他国はそれをどう思うでしょうか?

 余計な反感や混乱の種を作る事になりかねません。下手をすれば戦争の火種にも十分なりえます≫

 そ、そうか……そういう事か


≪……レティシアさんは、治癒の力が主な能力のようですし、それほど重要視はされていないのでしょう。

 ですが、マスターは世界を救うまで……どの国に対してもあくまで中立の立場で居続ける事が最善だと思います≫

 ……そうだな、そうしよう……。余計な面倒事抱えたくないもんな……

≪はい。そのほうがマスターにとってよろしいかと……≫


「おぉ。ようこそおいでくださいました。救世主様!エルト国、第89代国王ゾディアック・エルトと申します!」

「お初にお目にかかります、陛下。昨夜、救世主として召喚された東条 司です」

 玉座に座るにっこりと微笑むおじいさん、長い白いひげと白髪の優しそうな王様だ


「本来であれば、こちらから救世主様の元へ出向くべきなのですが、

 何分このような身、救世主様にご足労願った事深くお詫び申し上げます」


「……いえ。お気になさらず、国王陛下」

「救世主様。騎士団長から救世主様の武勇伝を聞きしましたぞ。なんでも警備隊副隊長を一撃で倒されたとか!」

「あぁ……はい、倒しました」


 ……あのイケメン金髪兵士副隊長だったのか


「なんと……!?警備隊の副隊長を!?」

「あのルード氏を一撃で…!?それは……」

「まさか……!?あの黄金獅子を……一撃で……!?」

「わ、悪い冗談にしか聞こえない……。去年の闘技大会の優勝者だぞ……!」

 金髪イケメン兵士って「黄金獅子」なんて通り名があったのか

≪黄金は黄金でも大便の方の黄金じゃないですかね……≫

 マキナちゃん!女の子がそんな言葉使っちゃダメ!

≪はぁい……≫


「そう言えば……。救世主様は異世界からこの世界へ来られたとお聞きしましたが……」

「はい。昨日こちらの世界に来たばかりです」

「それでは、こちらの世界でお住まいなどは……?」

「いえ、まだ宿の確保などもできてません……。そもそも金がありませんし……」

「なるほど。それではこちらで救世主様のお部屋をご用意しましょう」

「えっ!?そ、そんな事していただくわけには……」

「いいえ、救世主様!住む所がなければ英気を養えませんからな。すぐに準備をさせますのでどうか使ってください。

 おい、救世主様にお部屋をご用意して差し上げろ。最上のおもてなしを心得よ。決して準備を怠ってはならんぞ」

「ハッ……直ぐに用意させます!少々お待ちを!失礼します!」

 傍に控えていた初老の執事のようなおじいさんが一礼し部屋を出ていく


 うーん。ここはお言葉に甘えておこうか。

 現実的な話、衣・食・住を確保するだけの金もアテもないし……、世界救う前に餓死するわけにもいかないし……


≪そうですね。それが最良の選択だと思います≫


「じゃあ、お言葉に甘えて使わせていただきます。ご支援ありがとうございます、陛下」

「ほっほっほ!救世主様から感謝の言葉をいただけるとは!恐悦至極!

 救世主様、何かご入用でしたら傍仕えに何なりとお申しつけください。出来うる限りの支援をさせていただきます」


「お父様……?」


 玉座の間の奥に飾り付けられているカーテンから、チラチラと顔を覗かせながらこちらをうかがう少女の姿があった


「これこれ……。ソフィア……。救世主様とお会いすると言ったであろう……?

 救世主様、申し訳ありません……。娘のソフィアでございます……。

 ソフィア?こちらに来て救世主様にご挨拶をなさい。救世主様に失礼だろう?」


「はっ、はい……!」


 カーテンから完全に姿を現した少女は、たとえようのない美しさの少女だった。

 美しいブロンドの長い髪が腰まで伸び、白く透き通るような肌が神々しささえ感じさせていた

 幼さが残る顔に似合わず胸は大きく、けれどしっかり腰はくびれていて女性的なラインを描いていた


 窓から差し掛かる陽光にてらされ、少女が輝いているように見えた


 …………


 あまりの美しさに言葉を失っていた

 この子に翼つけて「天使です」とか言われたら信じるぞ、俺……


 俺はその少女の容姿に完全に心を奪われ世界で一番輝いて見えた


「この国の第一王女の「ソフィア・エルト」と申します。救世主様……」

「あ……ああ……」

 ヤバい……、マジモンのお姫様だ……。綺麗すぎて脳が震えそうだ……!

 これが、一目惚れって奴か、顔がヤバいくらい熱い……頭がぼーっとしてどうにもならん……。

 思考がまとまらずまともに言葉が出てこない、どうしたらいいかわからず、心が浮足だっている事が自分でもわかる


≪マスター?マスター?心の貧乏ゆすりやめてください……。

 めちゃくちゃ頭の中で響くんです。それ……≫

 す、すまん……。けど、自分でどうにかできそうにない。ちょっと我慢してくれ、マキナ……


「救世主様……?お名前を教えてくださいますか?」

「あ……ああ。俺、は……東条……、司……」

「東条、司様……素敵なお名前ですねっ!」

「そっ!そう……!?」

「はいっ!とっても素敵なお名前だと思いますっ!」

「そ、そっか。そうかな!ハハハ……!」


 あんまり自分の名前って好きじゃなかったけど!俺自分の名前を好きになれそう!

 父さん!母さん!いい名前つけてくれてありがとう!!


「あの、救世主様……?司様……と、お呼びしてもよろしいですか?」

「えっ!?あっ……はっ……はい!どうぞどうぞ!こんな名前でよかったら!いくらでも!ハハハハハハハ!!」

「よかった……!じゃあ私の事はソフィアとお呼びください!」

「は、はい!ソフィアさん!」


≪マスター……≫

 マキナにジト目で睨まれる

 な、なんだよ……

≪デレデレし過ぎですっ……≫

 そ、そうか?俺普段通りじゃないか?

≪はい。いつものキリっとした表情はどこいったんですか……≫

 むう……そんなにだらしない顔してるか?俺

≪はい。初めて夜のお店に入ったおじさんみたいな顔になってます≫

 たまにマキナって俗っぽい事言うよな


「……ほっほっほ。これはこれは……」

「……陛下、これはやはり、そうなのでしょうか……」

「ふむ……、まだわからぬが……」

「なるほど……。では、あの話は……」

「うむ……。あの話、一旦止めておいてくれるか」

「承知いたしました。陛下」


「司様……」


 ソフィアさんに右手を取られきゅっと両手で握られ胸が痛いくらい高鳴る


 っ!?


 手……!手をぉぉぉ!?やっべ!?心臓の音がやべぇぞ!脳が震える!


「司様……。この世界を救っていただけますか……?」

 潤んだ瞳で若干上目遣いで懇願される


 俺は全力で真剣な顔つきでその言葉に答える

「はい!任せてください!絶対にこの世界を救って見せます!」

「ほ、本当ですか!司様!」


 ソフィア姫が花が咲くような笑顔を見て、俺の心もパアっと明るくなる


「はい!」


 ああああああ!この笑顔!この笑顔見てるだけで幸せな気持ちになる!


 やっべ!この笑顔見てるだけで顔がほわわわわ~ってなるって!何時間でも見てられる!

 心がピョンピョンするってこういう感覚か!ハハハハハ!人生ってサイコー!


 よぉし!やったろうじゃねーかー!

 破滅の王だろうが何だろうがこの子泣かせる奴は俺が許さねーぞ!


≪マスターっ!?単純すぎです……!さっき中立の立場でいるって言ったじゃないですか!≫

 ……あのな?マキナ?頭で考えて出す結果ならいくらでも理性で止められるさ。

 でもな、心で感じた事は止められないんだよ

≪マスター……!やっぱりおっぱいじゃないですかぁぁぁぁぁぁ!?≫

 違うって!おっぱいで好きになったんじゃねーや!

「マスターは心でおっぱいを感じた!」みたいに言うんじゃありません!

≪じゃあなんでそんなにやる気出しちゃってるんですか!

 つい昨日まで「世界?知らねえなぁ。勝手に滅んだらいいんじゃねえか?俺関係ねーし!」とか言ってたじゃないですかぁ!≫

 ……マキナ?いいか、今から大切な事を言うぞ?

≪……なんですか?≫


 男が頑張る理由なんて、惚れた女の為だけで十分だ!


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― 新着の感想 ―
[一言] 司君はおっぱい星人ですね。意外とコミカルでいいですね。マキナさんとのやりとりもなかなかです。最新話まで読み進ませて頂きます。頑張ってください!
[良い点] やはり面白いです!読んでいて「面白いなあ!これ!」あれこれ考える前に、心がそんな風に呟きます。実は、異世界を舞台にしたファンタジーは、それほど造詣が深い訳ではありません。けれど、主人公の視…
[良い点] まだここまでしか読んでいませんが、とても面白いです。冒頭部分では、これからの冒険を予感して凄くわくわくしましたし、主人公の心が動く所では、ぐっと来ました。 [気になる点] 特にありません。…
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