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機械の神と救世主  作者: ローランシア
第二章 始まりとやり直し
20/38

020 マキナとデート 


 俺に仕向けられた暗殺者「アルテミス」を捕らえランデル王子の件は一段落着いたと判断し、

 今日は以前マキナとした約束の「デート」をして過ごす事にした


 魔物襲撃と人質救出の褒賞として大金と思われるお金を、

 陛下から半ば強引に渡されている財布にはそれなりに持っていると思う


 お金はあるし。時間もある。

 以前マキナと約束した「デート」の約束を果たすとしたら今日しかないな!

 区切りをどこかでつけないといつまで経ってもマキナとの約束は果たせないし!

 よし! いつもマキナには世話になってるし今日はマキナに楽しんでもらおう!


 ……今日くらいは「機械の神と救世主」お休みしてもいいでしょ? 陛下


 マキナ? ランデル王子の件ひと段落ついたし、約束のデートしようか

≪ホントですかっ! 行きます行きますっ≫


 ブォンっ……


 マキナがいつもの黒のゴスロリ服とは違う紺のワンピースと白いベレー帽の装いになる


 マキナと会話する事は別に口に出さなくてもできるが、今日は普通に口に出すように心がけよう

 今日は「マキナ」ってただの女の子とただの「東条司」って男のデートにしてやりたかった


「おっ、いつもの服と違うじゃん? おでかけ服か」

≪はいっ≫

「その服かわいいな。似合ってるぞ、マキナ」

≪ふふふっ! わかってますねーマスター! 早速デートらしいセリフを……≫

「じゃあ、もっとデートらしくするか?」

≪えっ?≫

「マキナ? 手、出してみ?」

≪……? あっ……≫


 きゅっとマキナの手を繋ぐ


「よしっ、いくか!」

≪……ふふっ! もぉ。マスターったら……はいっ!≫


 マキナも俺の意図を察したのか、他の人にも聞こえる声で話始める


 うん、これで普通だ。どこからどうみても普通の女の子として見えるだろ


 マキナと手をつないだまま城内から出て、街へ出る


 やっぱ遊びにいく目的で街歩くと景色が違って見えるなー!

≪はいっ。何か違う街みたいに見えますねー≫

「この街って遊ぶ所って何があるかなぁ」

≪マスターの世界のビリヤードやダーツ、ボウリングのような娯楽を楽しめる施設がありますね≫

「おぉ、意外とあるんだな! てか、ボウリングがあるのが驚きだけど」

≪ボウリングの歴史は古いですからね。この世界でも似たような遊びは昔からあったようですよ≫

「え、そうなの? ボウリングってそんなに昔からあるんだ?」

≪この世界は記録が曖昧なのではっきりとはわかりかねますが、

 マスターの世界では紀元前5000年ごろからボウリングの原型となる遊びはあったようですよ≫

「そんな昔からボウリングってあるの!? ……よし、じゃあボウリング行ってみるか? マキナ」

≪行きましょう行きましょう!≫


 マキナのナビに従い「エルトボール」という施設に到着する

 酒の瓶に銀のボールが当たる絵が描かれた看板が見える


 ボウリングのピンの代わりに酒の瓶をピンの代わりにしてるのか

「ビン……割れたりしないのかな?」

≪割れないように魔法で強化してるみたいですね≫

「なるほど。そこは異世界らしい工夫だな」


 施設内に入ると受付のお姉さんに声をかけられる

「いらっしゃいませ! エルトボールへようこそ!」

「フリーパス、大人二人でお願いします」

「……えっ?」

≪……≫


 チラと一瞬マキナの方を見るお姉さん

 俺の言葉の意図を理解したのかにっこりと笑顔になり口を開く


「……かしこまりました。大人用フリーパス二枚でございます。どうぞ」


 財布を出し金貨を三枚取り出す

 その様子を見ていた一瞬お姉さんが驚いた顔になる


「これでお願いします」

 金貨を一枚受け付け台のつり銭入れに置く


「……この世界の金貨って、俺の元いた世界で言うとどれくらいの価値なんだろ」

≪マスターの世界ですと、銅貨で十円、銀貨で百円、金貨で千円、白金貨で一万円の価値ですね≫

「十円が一番低い単位なのか……でも日本と紙幣価値は大体同じだな」

≪そうですね。大体同じです≫


「……少々お待ちください。お釣りをご用意いたします。……おまたせしました。おつりをどうぞ」


 お釣りを財布に入れるとずっしりと重みが増す


「ありがとうございました……」


 驚きの表情でお姉さんが俺たちを見送ってくれる


 うん、驚くのはわかるよ。

 俺みたいなガキが大量に金貨やら白金貨の入った財布もってたらそりゃ驚くよね


「ありがとうございました……」

≪ありがとうございますっ! ……ふふふっ! マスターわかってますねー≫

「そりゃなぁ」

≪あっ、マスター? 次元の狭間に入れておきましょうか?≫

「そうだな。じゃあ何か飲み物買って席に座ってから入れてくれるか」

≪はいっ≫


 マキナは食事を必要としないけど、それはそれだ。

 マキナと二人でオレンジジュースを二人分買う


 マキナが飲まない分ジュースが余るかも、無駄になるかもなんてのは今この状況において重要な問題ではない


 男が女の子をデートに誘って不快な思いをさせてはダメだ


 レーンを選び椅子に設置されたドリンクホルダーにジュースを差し込む


「さって、ボール……見当たらないな?

 俺の元いた世界だとボールは階段の脇とかにずらっと並べてあったりしたんだけど……」


≪マスター、これでボールを出すみたいですよ≫


 椅子の横に設置された円形の魔法陣があり、その横に手の形のマークが描かれているボードがある


 ……説明が読めないが、手を置くのか?

≪魔紋を発現させるとその人に合ったボールが魔法陣に出現するようですね。

 ボードの脇にあるボタンで手動でも操作可能なようです≫


「……こうか?」


 シュンッ……!

 魔法陣からボールが出てくる


「おお、こんな感じか」


≪……≫


 チラっとマキナを見やるとちょっと口を三画にしていた


≪どうしました? マスター≫

「……いや? このボール、ちょっと気に入らないなって思ってな。やり直すわ」


 わかってるよ


 俺はボードの脇にあるキャンセルボタンを押し出現していたボールを消した後、

 その上にある出現の手動ボタンを押し再びボールを出現させる


 マキナは神器だから魔紋が出現させられない。

 でも、俺と一緒のやり方で出したかったのな?


 にこーっとマキナの顔が笑顔に戻る


 マキナもボタンを押しボールを出現させ自分にあうボールを選んだあと二人で席に戻る


 椅子の横にボール用のホルダーがあり、投げたボールがそのホルダーに戻ってくる仕掛けのようだ


「よっし。んじゃ、始めるか」

≪はいっ≫


「さいしょは~……」

「≪グー!≫」

「≪じゃんけんぽんっ! あいこでしょっ!≫」


「よっし、じゃあ俺から投げてくるか。……久々だな」

≪マスター! がんばってくださーいっ≫

「おうっ! まかせろーいっ」


 片手でボールを持ち振りながらマキナの声援に応える


 確か、こうやって……利き手でボールを持って、左手を添えて

 線から走って助走をつけて、振り子の要領で勢いをつけて投げる……!


 シュッ……!


 ドッ……コロコロコロコロ……ガッシャ――ン……!


 ボールが途中で曲がっていき、半分ほどしか倒れなかった


 むう、結構難しいな。まっすぐ投げたつもりなんだが……

 よし、もう一投で仕留めてやる……


 席に戻る途中でボールが戻ってくる


≪惜しかったですねー。まっすぐいったと思ったんですが≫

「俺もまっすぐいったと思ったんだけどなぁ。案外難しいもんだ。次でスペア狙ってみる」

≪マスター、スペア期待してますよー≫


 マキナの声援を受けながらボールを取りレーンに戻る


「おーう。やってみるー」


 ……さて、とは言ったもののだ。

 俺さっきどういう風に投げて曲がらせたんだ……?

 まっすぐ投げたつもりだった球が曲がったよな……


 ……よし、次もまっすぐ投げるつもりで投げてみよう


 構えて……線から小走りで走っていって……、振り子みたいに振って、まっすぐ投げる!


 シュッ……


 ……おっ? 今度はまっすぐ……行った! 行ったけど! そうじゃない!


 ボールは先程倒したピンの間をすり抜け一本も倒さず闇に消えていった


 ま、まあいいか。今の感じでまっすぐ投げればいいんだな


「残念。狙いどおりではあったんだけどなぁ」


 いいながら席に戻る


≪おかえりなさーい≫


 マキナが椅子に座りプラプラと足を揺らしながら待っていた


≪じゃあ。次私の番ですねっ≫


「がんばれー」

≪はーいっ。ふっ……ふふふ……。こっ、これくらいの事はですね……。造作……も……≫


 お、マキナが自信なさげな表情をするの初めて見た


 ボールの軌道を計算して投げるとか、ボールを操作して……なんて野暮なことはしないという事がわかる

 マキナも俺の出した無言の提案に乗ってくれた事が嬉しくなり思わず口角が上がってしまう


 いつの間にか、俺は顔が緩んでしまっていた


≪えーと、確か、こう……? いや、マスターはこう持って……≫


「投げ方わかるかー?」


≪た、たぶん? ま、まあやってみます。……くっ……! ボールが重い……。

 人間の九歳の女の子に合わせたパワー設定がこんなにきついものだとは……≫


 マキナも「普通の女の子」としてデートを楽しみたいのだろう

 パワーも小三女子に合わせてやって楽しむようだ

 やはり思っていた通りだった、こちらの意図をちゃんと理解してくれているみたいで嬉しくなる


 マキナがレーンの所まで歩いて行く


≪っとぉ……≫


 ボールを両手で投げる、投げるというかほぼ真下に放り落とす


 ドンっ……


 コロコロコロコロ……ガタッ……!


 ガーターにハマりピンは一つも倒れないままボールが回収される


≪あああ……。うーん。思ったより難しいですね。これ≫


 マキナが言いながらレーンに戻ってくる、ちょっと恥ずかしそうだ


「よし、俺がフォーム教えてやろうか? マキナ」

≪はいっ! 是非っ≫


 ハハハ、目キラキラさせて喜んでるよ

 いつもは俺が教えてもらってばかりだからなんか新鮮だ


 じゃあ、ボール持ってみて?」

≪はい≫

「この三つの穴へ指をハメるんだ。……こんな感じ」

 自分のボールをもってお手本を見せる


≪こうですか?≫

「そう、それでこう左手を添えて……こう」

≪こう……≫

「そうそう。それでいい。じゃあ次はレーンに移動しよう」


 マキナと一緒にレーンの前まで行く


「いいか? こう、振り子みたいに振って勢いをつけて、放り投げるんだ」


 マキナ寄り添いながら、投球フォームの説明をする


≪こ、こう、ですか≫


「……そうそう。そんな感じ。よし。やってみ」


「……えい……」


 マキナがボールを投げるとひょろひょろと玉がよろけながらレーンを進んでいく


 ……パコっ


 並べられたピンの一番端にあるピンが一本だけ倒れる


≪やったぁ! 当たりましたっ! 当たりましたよっ! マスター!≫

「おお、やったな! その調子だ! 次はもう少し勢いつけて投げてみ?

 あそこの線から走って助走をつけて流れるようなフォームで投げるのがボウリングの投げ方なんだ」


≪助走をつけて……はいっ!≫


 マキナが球を席から取って線の所まで戻ってくる


≪い、いきますっ!≫


 ててててててっ……!


 ……ピタッ


 マキナが一旦レーンの寸前で止まってからボールを投げる


 ……ドンっ……ゴロゴロゴロゴロ……


「ハハハ……! 初心者がよくやるやつだそれ!」

≪むう、結構難しいです……。これ」


 マキナがちょっと恥ずかしそうに戻ってくる


「何回かやってるうちに出来るようになるよ」

≪ホントですかっ!?≫

「ああ、出来るさ。絶対」

≪あっ、そ、そういえば今回私が投げたのってマスターの番だったんじゃ……≫

「俺が教えたかったんだ。気にしなくていいよ。

 ほら、ボール持ってきてみ? 今度は俺が投げる寸前までの流れ見せてやるから」

≪ありがとうございますっ! はいっ!≫


 てててててっ


 マキナがボールを両手に持って取ってくる


≪マスター! 持ってきましたっ≫

「よーし。じゃあボール貸してみ」

≪はいっ≫


 俺がボールを持とうとすると、ボールの穴が若干広がり俺の指でもハマるようになる


 おぉ~! さすが異世界! こういう所はファンタジーしてるな!


 この世界の事を中世時代の外国みたいなイメージだったけど、便利になるように魔法が施されている事に感動する


「いいか? よく見てろよー」

≪はいっ≫

「こうやって走って……」

 タタタタタ……!


「こうだ……!」

 シュッ……


 ボールを投げる寸前までの一連の流れをマキナに見せる


「こんな感じだ。参考になったか? まあ、俺もあまり上手いわけではないけど……」

≪いえっ! とても勉強になりましたっ! やってみますっ≫


 マキナにボールを渡す


≪い、いきますっ……≫


 とてててててっ



 シュッ……



 ドン!


 コロコロコロコロ……



 カコンカチャッカコッ……!


≪……あ……。や、やったぁっ!?≫


 マキナがボールにピンに当たった事が余程嬉しかったのか、ピョンピョンと跳ねながら手を上げて喜ぶ


≪倒れましたっ! 倒れましたよっ! マスターっ!? 今の見てましたっ?≫


 マキナが手を握りしめ目をキラキラさせながら振り向く


「見てた見てた! 上手だったよ!」

≪よ、よーしっ! 次はもっと倒せるように投げますっ≫

「そうだな! 俺も頑張ろうっと」


 俺とマキナはすっかりボウリングにハマってしまい夕方前までボウリングをして過ごした


 少し小腹がすいたところでボウリングを終え、隣接されたレストランに入る


 店員さんが笑顔で迎えてくれる


「いらっしゃいませ! 何名様でしょうか?」

「二名です」

「二名様でございますね。ではこちらのお席へどうぞ」


 マキナと向かい合わせで席に座りメニューに目を通す。

 うん、さっぱり読めない……

 この世界の文字とかもそろそろ勉強しないとなぁ……


≪マスター! コレにしましょう!≫

 とマキナが目をキラキラとさせながら言い出したのでそれを注文した


 マキナがこの世界の食事の事を詳しいと思っていなかったため少し意外だった


 俺はこの時、自分がどんなものを注文したのかわかっていなかった……


 数分後、大きめの器に綺麗に飾られたパフェらしきものを持った店員さんが通路の奥に見えていた


 っ! おお、あれは二人で一つのパフェを食べるという伝説のアレじゃないか!

 ちゃんとスプーンが二つ両側に刺さってるぞ! 元の世界でも見た事ないぞ!


 異世界にもこういう文化あるんだなぁ……などと呑気に構えていると……

 店員さんはまっすぐにそのパフェらしきものを持ってこちらに近づいてくる


 ……?

 あれ? 店員さんがやたらニコニコしながら歩いてくるけど?

 俺らの座る席の周りは一人の客ばかりだけど?

 まさか一人でアレ頼んだ猛者がいるのか……

 あんなカップル専用みたいなもの一人で注文して食べたら、俺なら寂しくて哀しくて死んじゃうぞ。ハハハ……


 そんな事を考えているうちに、そのまま店員さんが俺たちの席へ到着した


「お待たせしました」


 ……っ!?


 ま……、まさかっ!?


 俺は確認のためにマキナの方に顔を向けマキナの顔を見ると、マキナがにこーっと笑顔になる


 コトッ……


 お姉さんはその白い生クリームのようなものが山盛りのパフェらしき食べ物を俺らの座るテーブルの真ん中に置いた……


 マキナちゃん!?

 大昔の人が遺した黒歴史の代表とも言える物だよこれ!? 一種の文化遺物アーティファクトだよ!? これ!

 なんで最先端技術の結晶の君が知ってるの!?


 とんでもないリーサルウェポンをテーブルに置かれ顔が引きつる


「ごゆっくりどうぞ~」


 お姉さん!? すっげ楽しそうな笑顔だけど、その笑顔は接客の笑顔じゃないですよね!?


 そこに俺らの座る後ろの席へ、男三人組の客が案内されて歩いてくる


「こちらのお席へどうぞー」

「あ~、腹減った。何食う?」

「肉食いたい肉。腹減り過ぎてがっつり食いたい気分だわー……って!? ……お、おい……ア……レ……」

「アレって……アレだよな? ……マジかよアイツ……。おい、あっちの席にしよう……ぜ……面白そうだ」


 男の中の一人が指さし俺らの座る席の通路を挟んで向かいの席を指さす


「……あっ、おねえさーん? 俺らこっちの席でいいかな? 見晴らしいいから」

「あっ、はーい。どうぞー」


 ちょっと待って! お姉さん!? あんたせっかく自分が案内したテーブル勝手に変られてるんだよ!?

「ダメです」とか「無理です」とか言えよ! 「お客様? そのような事をされては困ります」でも可だ!


 うわ、こいつらすっげーニヤニヤしながら「早く食えよ」って顔してこっち見てやがる!

 おい、嘘だろ!? こんな衆人監視の元アレをやれってか!? お前ら案内されたテーブルに座れよ!?


≪はいっ。マスター? あーん……?≫


 マキナがめっちゃニコニコしながら「あーん」を促してくるんだけど!

 見た目小三女子に「あーん」される男子高校生の図ってどうなんだコレ!?


 これ大型ドラゴン一万匹相手にするより緊張するんだけど!?

 わかったよ! もう腹くくるしかねえ!


「あー……」

≪あ~……≫


 パクッ……


≪うふふっ……おいしいですか? マスター……≫


 うん、確かに味は甘くておいしい


「うん。おいしいよ、マキナ……」


「いったああああああ! フーーーーーーー!」

「マジかよ。あいつマジで食べたぞ!」

「羨ましいなー! 俺も食べさせてもらいたいなー! 僕ちゃんもあーんするぅー!」

「ハハハハハハ!? キモイ! お前それサイコーにキモイ!」


 お前ら!? 異世界の住人の癖にパリピ大学生みたいなリアクションしてんじゃねえよ!?


≪マスター……? あ~……?≫


 マキナが口を開けていた


 え!? 俺もやるの!? 君いつも「私は食事を必要としません」とかクールに言うじゃん! 今日は大丈夫な日なの!?


 い、一応確認しておこう……


「マ、マキナ……? 今日はその、大丈夫な日、なのか?」

≪はいっ。今日は白いのが体に入っても大丈夫です≫


「お、おい!? 今あの子……「今日は白いのが体に入っても大丈夫」って言ったぞ……!?」

「マジかよ……。引くわぁ……あの子ガチの子供じゃねえか」

「体に入っても大丈夫って……やっぱ……アレだよな……?」


 男のその言葉に三人共が顔を見合わせ、俺を軽蔑の目で見る


 ぶっ殺すぞ!? お前ら!


 ええい、毒を喰らわば皿までだ! やったらあ!


≪あ~……?≫

「ほ、ほら? マキナ……あ~……?」

 震える手を何とか堪えながらスプーンを持っていく


 パクッ……!


≪ん~……マスターの、おいしいです……≫

「そうか。よかった……」


「うっわ!? あいつあんな小さい子にあんなエロい事言わせてるぞ……」

「ガチの変態じゃねえか。引くわ」

「おい、通報しろ通報! 警備隊呼んで来いよ!」


 エロい事なんて言わせてねえよ!?

 ただ生クリームらしきもの食べさせてるだけだろ!?

 お前らいい加減にしろ! 心が汚れすぎだぞ!


 こんな調子で、二人で完食する頃にはすっかり日も傾き夕方になっていた


 店から出て、また二人で手を繋いで城まで歩いて帰った


 今日は徹底的に俺に甘えるつもりらしくマキナが俺の膝の上に乗ってくる


 よし、ちゃんと日頃の感謝を伝えないとな


「マキナ? いつもありがとう。助かってるよ」


 頭を撫でながら感謝の言葉を言うと……


≪~~~~っ。こっ、これですよ。これでレティシアさんもイチコロになったんですっ……≫

 マキナが顔を真っ赤にしながらフルフル震えながら答える


 最強の機神様は意外とオーバーだった


 今日は寝る時間までマキナの頭を撫でながらマキナが膝の上で読む本を一緒に読んで過ごした



「機械の神と救世主」にもたまにはこうしてゆっくり過ごす日があってもいいと思う────

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