人か獣か
人に生まれた私たち
獣と何が違うのか
記憶 想像 計算 言語
およそ知性と呼べるものを持ち
理性にて心を隠す
ならば人たる私たち
獣と異なるものとして
未来に何を残すのか
ネジか子供か
知恵か知識か
あるいは名前を残すのか
「私」を残すは なんたるか
遺すものは数多あれども
「私」を残すは難しく
錆びたネジ捨てられて
知恵は伝統
いつしか変わる
知識は電子の海へと還り
名前を残すは一握り
なれば人たるこの「私」
獣とさして変わらない
遺すものも獣と変わらず
獣と同じく喜怒哀楽と
今際の心に身を振られ
何遺すかと今日も問い
私たちのため今日も生く
あるいは私のために往く
人の世は確かに未来につながり、後世に残すことで発展しています。が、そこは先祖とひとくくりにされ、私が生きた証拠すら残らない。私だって、曽祖父の名前などは知りません。仕方ないと割り切ることも簡単ですが、そのことへの悲しみや、虚しさは確かに私の中にあります。そんな思いからこの詩を書きました。