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Run&Gun&  作者: 楽土 毅
第一章 16度目の夏
71/119

2-9

 我が風高男子バスケ部の一年生は、現在この三人のみである。四月当初にはもう少しいた気がするが、春の大会で忙しなくやっているうちに、この人数になってしまった。


 まず一人目が新谷加寿美の弟、うちのムードメーカー的存在の新谷彪流(たける)である。


 身長は175センチほどで、どちらかと言えば細身だが、身体能力は高い。多少プレーに荒っぽさはあるが、ここぞというときのドライブイン(ドリブルで攻め込むこと)の鋭さはピカイチだ。スピードに乗ったときの彪流を止めるのは、ディフェンスの得意な大翔ですら困難を極める。


 そして二人目が早坂紡。例の見た目は女の子のようにか弱い少年だが、バスケのセンスは風高の中でもトップクラス。


 パス、ドリブル、シュートの三拍子が揃った、抜け目のない万能型。小兵ながらも卓越した戦術眼とボールコントロールで密集地でも的確にパスコース、もしくはドライブの抜け道を探り当て、敵の守備陣を突き崩す。風高のスタメン候補の一人である。


 そして残る三人目が大文字風雅。小太りで、細身の選手がほとんどの風高バスケ部には貴重な骨身の厚い選手だが、彼はうちのチームでは唯一のバスケ未経験者だった。高校に来て、彼は初めてバスケを始めたのだ。


 それまではずっと相撲をやっていたらしい。聞けばその相撲の実力は中々のもので、なぜその相撲を辞めてしまったのかを聞くと、


「いやぁそれがですねぇ! うちは農家で、よく畑仕事を手伝わされるンすけどっ! この体型ではかなりきついンす! それに特別相撲に思い入れがあるわけじゃなかったし! だったら他に何か痩せられそうなスポーツにしてみようと思いましてっ!」


 というわけでバスケ部に入ってみたらしい。

 中々な理由で入部されてしまったものだが、相撲をやっていただけあって身のこなしは見事なものだ。彼はその体型からは想像もできないような、軽快で豊富な運動量を誇る。


 ただ未経験者なだけあって、試合で十分な力を発揮できるようになるにはもうしばらく時間がかかりそうだ。それでも確かな将来性のある、楽しみな選手でもある。


 ――まあ、いい始めればどの選手だってそう言えるのだけれど。


 いかなる選手だって努力を積み重ねれば、必ずどこかに光る物が現出するものである。まったく可能性の無い選手なんてものは、きっといない。


 以上が一年生トリオ。

 人数としては、もしかしたら十分とは言い難いかもしれないが、それでも粒のそろった良い後輩たちだ。何より三人とも素直で、努力家で、可愛げがある。これはもうキャプテン冥利に尽きるというものだ。


 ――え? 二年生はどうかって? 


 それはもうスバラシイ実力者揃いであるとも。ここで自分も含めてざっと紹介しておこうと思う。


 ・飛永大翔。ディフェンスだけ上手い。

 ・長内修。低身長筋肉バカ。

 ・白峰郁。勉強ができる。次期生徒会長候補。

 ・硲下要一。一日十二時間以上寝ないと貧血を起こす、ナマケモノ並のバイタリティー。


 ――…………


 優秀なチームメイトに恵まれて、これはもうキャプテン冥利に尽きるというものだっ!


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