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10 究極の魔法

 その瞬間、いったい何が起こったのか。

 たぶん、説明はこの一言ですむだろう。

 人がいきなり沸いて出た、と。

 突然の出現と、それと同時に行われた攻撃は、あたしにしてみれば全く予想外の出来事だった。そのあまりの唐突さに、声をあげることもできない。

 しかし、攻撃をくらった当の本人は、別段驚いていない様子。

 ハリセンをくらったせいで視線が下に下がっていたレメクは、ただ心底嫌そうな顔をしていた。

 そして顔を上げて一言。

「……なにをするんですか、いきなり」

「いきなりとは何だ! この馬鹿者が!」

 どこかで聞いた声が、レメクの抗議を勢いよくはねのける。

 あたしは平然としているレメクに驚き、そして相手の声に呆然とした。

(……な、なんか聞き覚えがあるんだけど……)

 背中にちょっと冷や汗が浮かぶ。

 なにしろ、この声には聞き覚えがある。ありすぎる。

 そういえば、あの時もこんな風に、唐突に現れて魔法のように消えたんだった。

 あたしは声のするほうを見て……


(…………)


 ……思わず天を仰いだ。

 そして思う。

(嗚呼)

 これで何度目だろうか。

 このパターンで、予想外の闖入者、もとい珍入者を見るのは。

「フッ!」

 あたしが──というか、全員が凝視する中、その人物は何かの劇のようにポーズをつけた。

 ……いやもう、本当に何度目だろうか……

「乙女が涙を流す時!」

 シャキーン!

「常に私が現れる!!」

 バーンッ!

「正義の味方、美女仮面がな!」

 バッフーンッ!

 そんな効果音が聞こえそうな勢い。

 格好良く決めポーズをつけた謎の美女仮面の動きにあわせて、少ない布でかろうじて全開を免れているデカチチがバインバインと景気よく揺れた。

 何故かレメク以外の男性陣が、揃いも揃って前屈み。

 ……何か悪辣な魔法でもかかってたんだろうか?

 涙でぐちゃぐちゃのあたしの顔を拭きながら、レメクだけが心底どうでもよさそうな目をしている。

「……美女仮面というより、爆乳仮面だと思うわ、アウグスタ……」

 彼らの身に一体どんな作用がおこったのか。

 気になりつつ、あたしは全然謎じゃない仮面つきの爆乳美女にそう告げる。

 男性陣で唯一真っ直ぐ立ってるレメクは、あたしよりももっと容赦がない。

「むしろセクハラクィーンで十分です」

 あたしは心から納得した。

 なにしろ、唐突に現れたアウグスタの格好は、まさにそこに居るだけで超セクハラ。

 一言で言うなら、そう、変態。

 抜群の、という言葉すら色あせるバボーンッキュッズバーンッなプロポーション。

 それを小さな小さな布がちんまりと覆っている。

 たぶん全部の面積を足しても、あたしのパンツ一枚分程度。

 ……これを変態と呼ばずして何と呼ぼう。

 前の格好もスゴかったが、今のこれはあのときとは次元が違う。

 どう控えめに言ってもヘンタイだ。

「貴様等の目は節穴か? この仮面が目に入らないとは!」

 あたし達の当然の意見に、アウグスタが憤然と抗議した。

 いやまぁ、確かにその顔には、深紅の仮面がついている。

 旅芸人の劇で、身分を隠した主人公(たいてい王子様)とかがよくつけているアレだ。

 しかし、彼女の場合、真に隠すべきは顔ではない。

 乳だ。

「でもアウグスタ……その胸がある限り、全然正体が謎じゃないわよ?」

「何を言う。仮面をつけた相手は! 例え正体がわかっても!! 『謎』で通すのが常識だろうがッ!!」

「え? えぇえ!? ……そ、そういうもんなの!?」

 あたしはレメクに視線を向ける。レメクは人形のような無表情でツイッと視線を逸らした。

「……私はそれ以前に、なぜあなたがあのイキモノと面識があるのかが気になりますが」

 応でも否でもないらしい。

 それにしてもイキモノって……

「レメク。貴様。あとで王宮へ来い」

「謎のイキモノに文句言われる筋合いはありません」

 ぷいっとそっぽを向くレメク。

 あんまり仲はよくないのか。

 いや、むしろ遠慮無いほど仲が良さそうにも見えるのだが……

(……ん)

 なぜだろう。

 今、なにか、心がザワッとした。

「…………」

 あたしは何かを言いかけ、ややあって口を閉ざす。

 かわりに、ぎゅっとレメクにしがみついた。

「ベル?」

 レメクが気づいてあたしの背を撫でる。それはとても嬉しい。嬉しいのだが……

「あー、ベル。こら、小娘。おまえ、私はおまえの味方だっつったのに、全然信用しとらんな?」

 胸の中のモヤモヤがとれないあたしに、変態仮面が呆れ声で言う。

 あたしはチラッと彼女を見た。

 視線の先で揺れる素晴らしい乳。なんて羨ましい。

「……あなたは一体、どういう誤解を与えてくれたんですか?」

 しゅーん、と心の中のいろんなものが折れたあたしの頭を、レメクが慰めるように撫でた。

「レメク……貴様な……自分の朴念仁ぶりを棚に上げて……」

「朴念仁……? あぁ、そういった関連につきましては、確かに不得意なものとして自覚しています。……ですが、それとこれとは話が別では?」

「どこが別だ! むしろ本件だ!」

「本件?」

 レメクはしみじみとアウグスタを見て首を傾げる。

「どういう風に解釈すれば、本件に?」

「……いや、我々が決して互いを異性と見ることはないという意味においては、確かに全く本件では無いんだが……。もういい、お前にその手合いのことを解れと思ったのが間違いだった……」

 アウグスタがガックリと肩を落とす。

「それで、いったいどういう誤解を与えてくださったんです?」

「……だから、なんで私が悪者なんだ。くっ……! 貴様は後で絶対シメるからな!」

「僭越ながらお相手つかまつりましょう。全力で撃退させていただいてもかまわないんですよね?」

「……撃退前提な上に断定か。まぁいい。久々にガチンコ勝負といこうじゃないか」

 二人の間で急速に得体の知れない気配が凝縮しはじめる。

 あたしは思わず顔を上げ、おろおろと二人を見比べた。いきなりなんだ、この展開は。もしかしてこの二人、むちゃくちゃ仲が悪いのか?

 恐ろしい気配を感じ取ってか、ケニードが慌てて二人の間に入る。

「ま、まぁまぁ、二人とも。そう熱くならずに。ね? ほら、ベルだって怖がってるじゃないですか」

「そうそう。街が壊れるから、人外魔境の戦いは郊外でやってほしいなー、と一般市民の我々は思うわけです」

 バルバロッサ卿も巨体を生かしてのっそりと立ちはだかる。

 あたしは二人を見た。

「……で、どうして二人とも前屈みなの?」

 未だ前屈みな二人を。

 あたしの当然の問いの答えは、異様なほど緊迫感のある沈黙。

 なぜか男一同があたしから視線を逸らした。

 あたしは視線をアウグスタに固定する。

「どうして?」

「待て。なぜ私に問う?── まぁ、いい。ベル。周囲をよぉぅく見渡せ」

 あたしは見渡した。前屈みの一同を。

 全員、顔がお酒を飲んだ人のように赤い。

 アウグスタに視線を戻すと、誇らしげに胸を張られた。

 景気よく弾む巨物が二つ。

「これが男として正しい反応だ!」

 どういう意味だろう?

 あたしは正しい反応をしていないらしいレメクを見る。

 レメクはスッと視線を避けた。

「おじ様?」

 あえて覗き込むと、レメクは一度ツララのような視線をアウグスタに送った後、あたしを見て、

 なんと!

 にっこりと微笑んだ!!

「あなたはまだ、わからなくていいことですよ」

「はい! おじ様!!」

 理由なんかもうどうでもいい!

 その笑顔で全てオッケイだ!!

「「……タラした……」」

 アウグスタとバルバロッサ卿が呆然と呟く。

 他一同はなぜか紅潮から一転、顔面蒼白になっていた。

(……あれ? 姿勢が前屈みから戻ってる)

 ということは、レメクがアウグスタの謎魔法を打ち破ったということに!

「すごいおじ様! みんなもとに戻ったわ!」

「それはなによりですね」

 なぜか冷ややかに周囲を見渡すレメク。

 あたしは輝く笑顔で我が同士を見た。

「ケニード! 今の永久保存画像は!?」

 しかし、同士は愕然と陶然と絶望をないまぜにした表情で叫んだ。

「だ、ダメだベル! あまりにも奇跡すぎて脳内保存が限度だったよ!」

 ……奇跡とまで!?

 いや、ならば「だからこそ」だ!

「ばかっ! マニア失格よッ!! てゆか、今度あたしにその紋様術を、どうか! どうかご教授を!!」

「もちろん!」

「しなくていいです! むしろしないでください!!」

 レメクが焦る。

「ベルにそんなものを伝授したが最後、いったいどんなものを撮られるか……!」

 それ以前に、あたしがそんな高尚なモノをマスターできるかどうか。

 ……自分が言うのもなんだが、すこぶる怪しいと思うのだが。

「そういうことならば、私も協力を惜しまんぞ」

 なぜか『謎の乳仮面』がズイッとあたしに迫る。

 即座にあたしを自分の体ごと撤退させるレメク。

「あなたはまず、人としての常識を身につけてください。──だいたい、いつこの子を毒牙にかけたんです? 迷惑な」

「たいがい失礼だな貴様は! おまえの寝室で可哀想にしてたのを慰めてやっただけだ!」

 その瞬間、

 周囲から驚愕の視線がレメクに向けられた。

「私の寝室で……? あの服を抱えて泣いていた時ですか?」

 どよめく周囲。そしてツララのような視線がレメクに。

 え……な、なんで?

「……お前……いや、人のことは言えないが、どうしてそう誤解を招きかねない言葉を自分で……。というか、服抱えて泣いてたってどういうことだ?」

 頭を抱えたアウグスタに、レメクは首を傾げる。

「着替えを持ち合わせていませんでしたので、フェリシスの主人からベル用の服を購入したんです。失踪前、それを抱きしめて泣き寝入りしていましたので」

「……ほぅ」

 アウグスタがレメクとあたしを見比べる。

 あたしはなぜか焦って、あわあわと視線を彷徨わせた。

 アウグスタがにゅっと口の端を持ち上げる。

「ふふん? ……まぁ、だいたい、理由はわかった」

「本当ですか?」

 途端に驚くレメクに、アウグスタは呆れかえってため息を一つ。

「……お前は本当に朴念仁だな……」

 そしてあたしに視線を向けた。

「……なぁ、ベル。この人の形をした異生物には、きちんと言語という手段を駆使して思いを伝えないと、全然、全く、これっぽっちも! 気持ちが伝わりはせんぞ」

 ……うん。そう思う。

「見てのとおり堅物も堅物で、煮ても焼いても柔らかくならない自然岩石みたいな男だ」

「……そうね……」

「納得なんですか」

 しょんぼりと頷いたあたしに、ちょっとショックを受けた顔でレメクがぼやく。

「おまえは不得意分野を勉強しろ、バカタレが。だから泣かせるハメになるんだ」

「まるで見ていたかのように言いますね。というか、やはり『視て』いたわけですね?」

「もちろん見ていたとも。門の紋章と真実の紋章でバッチリだ!」

「……それを人は『覗き』と言うんですよ……」

 レメクが疲れた声で呟いた。もちろん、アウグスタの輝く笑顔は薄れない。

「それで? そして頃合いを見計らって現れた、ということですか?」

 アウグスタ、こっくり。

 全て謎が解けた、という顔のレメクに、あたしはきょとんと瞬きをした。

 そういえば、アウグスタがどこからどうやって突然現れたのか、まだ全然説明してもらってない。

「ねぇ……で、結局、アウグスタはどこから現れたの?」

「アウグスタでは無い。美女仮面と呼べ」

「じゃあ美乳仮面、どうやっていきなりここに現れたの? どこかでこっそり登場を待ってたにしても……その格好で?」

 その異様に露出の多い……否、異様に隠れている部分の少ない格好で?

 あたしの当然の疑問に、アウグスタならぬセクハラ仮面はオオカミの微笑で答えた。

「門の紋様をお前に刻んでおいたからな。忘れたか? 私の門の紋章の力を与えただろう?」

「門の……紋章?」

 言われて、あたしは首を傾げる。

「紋章って、あの紋章?」

 お伽噺とか、伝説とかで語られる、紋様術の最上級?

「そうだ。紋様の親玉だ」

「……身も蓋もない説明ですね」

 ニヤリと笑ったアウグスタに、レメクが嘆息混じりに呟く。

「わかりやすくてよかろう」

「……敢えて即答は避けさせていただきます」

 そのやりとりに、あたしは自分のおでこを手で押さえた。

 そういえば、なんかデコチューされた時にそんなこと言われたような……?

 あたしの動作を見て、アウグスタが笑う。

「そう、それだ。おまえの身に危険が迫ればいつでも現れられるよう、健気な私はいつでもスタンバイしていたわけだ」

 その格好で。

 あたしはちょっと遠い目になった。

「……アウグスタ、今、冬なんだけど……寒くない?」

「甘いな、小娘。この水着はな、炎の紋章術を駆使して作られたものなのだよ」

 水着でしたか。

 ……てゆか冬に水着かい。

 炎の紋章術に相応しく、テラリテラリと輝く水着。まさに炎のごとくその色をゆらゆら変える小さな布地達に、あたしは一層遠い目になった。

「この煌めく炎の揺らぎがその証拠。ふふふ、なかなかに美しい模様だろう!」

「模様というよりもモザイクですね」

「やかましい! レメク。おまえは後で本当に王宮に来い!!」

 速攻でレメクにつっこまれて、アウグスタがキレる。

 レメクは無視して、なぜか可哀想な子を見る眼差しであたしを見た。

 エ。その眼差しはナニ……?

「ベル……本当に、どうしてあんな危険なイキモノと関わってしまったんですか……?」

「え、いや、あの人いきなり現れたんだけど」

「そうでしょうね……わざわざ結界を強くしている所ばかり選んで侵入してきますから。……あなたを看病するのに、他に部屋が無いからと、無精した私の落ち度ですね」

 深く嘆息をつくレメクに、何故かアウグスタが胸を張って大いばり。

「フッ! 結界が強い所を破って侵入するのが、一番楽しいからな!」

「どういう意味で一番楽しいというんですか」

「こう言うために決まっているだろう!── やーいお前の術なんか簡単に破れちゃったぞバーカバーカ」

 心底楽しそうに言うアウグスタ。

 レメクが絶対零度の眼差しになった。

「そのわりに、風呂場にだけは絶対に入ってこれてないですよね」

「あそこの罠はえげつなさすぎるんだ! なんだあの、触れれば五日間胸がぺったんこになる呪いは!」

「……試してはいるんですか……」

 げっそりとした声のレメク。あたしはアウグスタをじっと見つめた。

「……アウグスタ。おじ様の裸を狙うなんて、あたしの味方って言うのは、やっぱり嘘だったのね!?」

「馬鹿者。それとこれとは話が別だ!」

「どう別なの!?」

「嫌がらせと欲情は違うということだ!」

「わかった! それなら問題ないわ!」

 力強く和解したあたし達に、 ぎょっとなったのはレメクだ。

「どこが問題ないんです!? ── そして、ベル! あなたはどこでそんな単語を覚えてきたんです!」

「宿のおねーちゃん達からイロイロな知識を」

「仕入れないでください!」

 えー。でももう仕入れちゃってるものはどうしようもないと思うの。

 あたしも不思議なんだけど、物覚えの悪いあたしにしては、実に素晴らしい情報量だと思うわよ?

「……あ、でも、前屈みの原理はまだ聞いてないわ」

 男の動作イロイロなら、おねーちゃん達が大喜びで教えてくれていたのに。やはり、あれはアウグスタが魔女の魔法を使ったか何かなのだろうか?

 そんなことを考えていると、レメクが恐いぐらいの真顔で言った。

「それは、まだ、知らなくていいことですから」

「あ、えぇと、はい」

 な、なんでそんなに力一杯?

 意味がわからずあたしは首を傾げる。すると、アウグスタがくねくねと近寄ってきた。

「レメクよ。知識を得ることは悪いことではあるまい。まして人として知るべき知識であるのならなおのこと。無知であることが危険を招くこともあるのだ。さぁ、大人として教授してやるべきだろうむしろやるべきだ、さぁやりたまえ!」

 歌うように、この上なく邪悪な笑みをたたえた爆乳魔女が言う。その底意地の悪そうな美しい笑顔が素晴らしい。

「では、大人の女として、あなたがお教えください」

 反撃とばかりに、レメクがあたしをアウグスタへと向き直らせた。

 そしてあたしの両脇に両手をさしいれ、猫でも抱えるようにして、アウグスタに差し出す。

 あたしは両手両足をプランプランさせながらアウグスタを見上げた。

 なぜかアウグスタが怯む。

「……な、なにかな。この妙な罪悪感は……」

 ぷらんぷらん。

「くっ……! つぶらな眼差しで私を見るな!!」

 ……あたし、別に何もしてないんだけどな……

 レメクを見ると、レメクまでもが怯む。

「…………」

 ぷらんぷらん。

「……ま、まぁ、この問題は、そう……おいおい、時間が解決するということで」

「そ、そうだな。それがよかろう。すまんな。詮無きことを言った」

「いえ。そういうこともありますから」

 ……だから、あたし、別に何もしてないんだけど?

 彼らの心に、どういう変化があったというのだろうか。

 持ち上げられていた体を降ろされて、あたしはレメクにペタンと張りつく。

 二人だけで理解しあっているのが、ちょっとくやしかった。

「んんん。えぇと、なんだったかな。どこまで話したか……。この衣装が炎の紋章を使って作ったのは話したな……」

 どうやら前屈み現象はよほど話題から外したいものであるらしい。会話を元に戻そうとするアウグスタに、あたしはちょっとしょんぼりしながら問うた。

「門の紋章とか、紋様の親玉とかいうのは?」

「あぁ、そこだったか。門の紋章というのはな、これだ」

 アウグスタはそう言って、くるっと後ろを向く。

 ほとんど丸出しな美尻の上、やや腰の下あたりに、広げられた両翼のような模様があった。

「これが門の紋章だ。おまえに与えたのは、この紋章の加護だ。本体を持つ私は、力を与えられた者のいる場所なら瞬時に、空間移動することができる」

 あたしはなんとなく納得しながら、首を傾げた。

「えぇと、つまり、あのデコチューで、あたしは紋章の力ってのをもらって、アウグスタはあたしのいる所なら、どこにでも出現できるようになってたってこと?」

「そうだ。おまえは、私を呼び出す力を得たことになっているからな」

「?」

 意味がわからず、あたしは首を傾げた。

「紋章と、『紋章の加護』を与えられた者は、いわば親子のような間柄なのですよ」

 そんなあたしに、レメクがレクチャーをしてくれる。

「紋章は、任意の相手に『紋様』として力を与えることができます。炎の紋章ならば、相手には炎の紋様が刻まれ、炎の紋章と同等の強力な紋様術を使うことができるようになります。ゆえに、親子のような関係と説明できるわけですね。ただ、これらは紋章によって与えられる力の内容が変わります。例えば、水や炎なら、親の紋章と同じような内容の能力です。ですが、今回の門の紋章のように、特殊な紋章の場合は、相手に与えることのできる内容が、親の紋章の力とは異なってくるのです」

 どんなふうにだろうか?

「門の紋章は、任意の場所に所持者を瞬時に転移させる紋章。あらゆる場所への門を開くということで、その名をつけられた紋章です。ですが、この紋章の所持者から、力を『与え』られた者は、親である紋章と同じように自身を瞬間移動させることはできません。彼らができるのは、紋章を持つ者を『召還』することだけです」

「えーと……つまり、アウグスタを呼び出せる、ってこと?」

「そうです。……ただ逆に、門の紋章を持つ者は、力を与えた者を呼び出すことはできません。自分からは行けるのですがね。ただ、居場所などはどんなに離れた場所であっても察知することができます」

「へぇ……」

 感心して頷いていると、レメクがアウグスタをジロリと睨んだ。

「……つまり、あなたは、私がお会いした時にはすでに、ベルがアロック卿の所にいると知っていたわけですよね」

「あぁ、知っていたぞ。だが、ケニードが手紙を置いていっていたのも、真実の紋章で『視て』知っていたからな。あの場合は、家に帰したほうがいいと思って追い返したのだ」

「…………」

「何故睨む? どうせ、あのタイミングでおまえがベルを連れ戻しに行ったとしても、失敗して終わっただけだろうさ。なにしろ、おまえは可哀想な朴念仁だからな。乙女心のわからん男に、不安を抱えた乙女が慰められるものか。まだケニードのほうが適任だったということだ」

 フン、と鼻息を荒くするアウグスタに、レメクは反論せずに嘆息をついた。

 アウグスタは頭を掻きながら口の端をひんまげる。

「確かに、ケニードはメリディス族のことになると目の色を変える。ヨワヨワ状態の小娘を預けるのは適さないと思うだろう。なにしろ、そのマニアぶりをよく知っているのだからな。不安にも思うだろうさ。だが、一度頭を冷やせば、頼りになることも知っている。だから、ケニードからの手紙を発見して、ベルを確保してくれていることに安心したんだろうが。ケニードなら、メリディス族に効く秘薬も多数持ち合わせているしな」

「…………」

「安心して、ちょっと余裕がでた。屋敷に行ってみると、なにやら異様な盛り上がりでベルも元気になっている。あぁよかった、様子が変だったのも治ったようだ……そんなところじゃないのか? おまえの脳みそで出来る『理解』は」

 アウグスタの真っ直ぐな目を、レメクは怯まず見返した。

 あたしはアウグスタを見る。仮面の奥で、爛々と目を輝かせた魔女を。

 衣装は変態だが、この時の彼女は、恐ろしいほど威厳があった。

「おまえは阿呆だぞ、レメク。女が不安に思う時はな、男の心がわからん時だ。だいたいな、あの状況下で、どうして小娘が安心して体を休められる? 自分は働かなくてもチヤホヤしてもらえると思っているような、馬鹿貴族の馬鹿娘ならそんなこと思うかもしれないがな、この小娘はどういう状況を生きてきた娘だ? どういった場所で、どういう風に生きてきた娘だ? 自分で働いて、自分を守る。そうしないと生きていけない境遇の娘だろうが。身動きがとれないことは、即、死につながる環境下の人間だろうが。そんな人間が、期間限定の保護に、どっかりと乗っかってのんびり休んでいられると思うか? 保護を受けられている間に、少しでもマシな状況下の間に、ちょっとでもいい稼ぎをみつけて、これからの自分を養うために働こうとするのが『普通』だろうが。永久に保護してもらえるのならともかく、そんな確証も無いのに。どうしてじっとしていられるというのだ」

 いいか、と鮮やかな黎明の瞳を輝かせて、アウグスタが胸を張った。

「猫がひっくりかえって腹出して寝れるのはな、ここが自分の家だ、自分を守ってくれる人がいる家なんだ、と安心しきっているからだ。おまえは、この小娘を安心させてやれたか? 安心できるような言葉をかけてやれたか? できんだろう、お前には。自分がいるからもう安心してもいいんだなどと、女に言葉をかけてやれるような男では無いからな」

 情けない、と吐き捨てて、アウグスタは髪をかきあげた。

「いいか、レメク。この小娘はな……私達が知っている、あの人とは違うんだ。ちゃんと自分で考え、自分で選んで、自分の望む道を進もうとする娘だ。掟のいいなりになって、自分で自分を苦しめるような儚い精神なぞ、これっぽっちも持ち合わせておらん!」

 ……胸張って断言されちゃったよ……

 いや、間違ってはいないけど。

「他でもない、自分の意志でおまえを選んだ娘だ。おまえがどういう結論を出すのかは、おまえの勝手だがな。他人と混合して、この娘の意志を無視するな。……とりあえずお前は、自分が心から愛されているのだということをちゃんと理解しろ」

 レメクが目を丸くしたのが見えた。

 そのままあたしを見る。

 ……どこまでも理解してくれてなかったことに、あたしはなんとも言えない気持ちになった。

「阿呆」

 アウグスタがにべもなく冷たく言い放つ。

「冷静さを失うぐらい大事にしてる娘なら、ちゃんとそれなりの言動で愛情を示しておけ。バカタレが。だから不安がって泣かせるんだ」

 長くて綺麗な手が伸びてきて、ひょいとあたしを抱きしめる。

「ぎゅむんっ」

「可哀想になぁ、小娘。こんなに一生懸命懐いてるというのに、この変態は精神不安を取り除かずに育成計画を進める気なんだぞ」

「あなたに変態呼ばわりされる覚えはありません。だいたい何ですか、その育成計画というのは」

「幼い娘を自分好みの女に育てる、男の一大ロマン計画を私が知らないと思っているのか!」

「そんな計画を私に押しつけないでいただきたい!」

「なにを言う! 美しく育つことが確約された幼女だぞ!? 命の恩人におさまり、うまくいけばこのままウハウハ生活に突入! 一つずつ丁寧にいろんなことを教えていけば、末は理想の女性! これをフイにするというのか!? 貴様にはナニがついておらんのか!」

「あなたこそそれでも女性ですか!!」

「この胸が男に見えるとでも!?」

「胸があるからといって……!」

 言いかけて、レメクがあたしに気づいた。

 爆乳に窒息死一歩手前なあたしに。

「ベル!! 生きてますか!?」

 慌ててガッポリはまっていた頭を引き抜かれる。死線からの脱出。そして気道確保。

 ……てゆか遅いよ!!

「……お花畑が見えたわ……」

「す、すまんな、ベル。おまえはちっさいから圧迫も早いんだな……」

「どんな凶器ですか、それは」

 レメクが実に冷ややかに巨乳を見下す。

 そうしておいて、ダランとしたあたしの体をひょいと抱き上げた。

「ただでさえ死にかけの体だというのに……」

 お。

 おおお。

 おおおおお! 

 お姫様抱っこ! お姫様抱っこ!!

「……何か、元気になりましたね」

 体はぐんにゃりだらりのままだが、意識は花が飛ぶほど急上昇。それを素早く感知して、レメクは嘆息をついた。

「後で健康茶を送っておきますよ、クラウドール卿。それなりに効いてたみたいだし」

 どうやらレメクとアウグスタの騒動を傍観していたらしいケニードが、苦笑含みにそう言った。

 その手には、なにやら恐ろしい量の羊皮紙がある。

 ……いや、予想はつくんだけど。絶対、アウグスタとのやりとり中のレメクの映像だ。

 ……ねぇ、ケニード。あたし思うんだけど。レメクがケニードに冷たいっていうか、一歩引いてるのって、そのストーカー行為のせいじゃないかなぁ……?

 嫌がらせされてるって思われてるみたいだし。

「ありがとうございます。アロック卿。……その手の写真は、後で必ず破棄してくださるんですよね?」

「え。断定? いや、これはその、非公式記録ということで保管を予定して……」

「必ず破棄してくださるんですよね?」

 強調された。

 ……それにしても、そうか、複写トレース紋様術でとった映像って、シャシンっていうのか……

「捨てるなら、あたしが欲しいなぁ……」

「猥褻物陳列罪の写真が欲しいんですか?」

「え。いや、アウグスタじゃなくておじ様が写ってる部分のほうなんだけど」

「……マテ。貴様等。なんで猥褻物陳列罪で私を示す」

 ……自覚ないんだろうか。

「強制猥褻罪でも、強制セクハラ罪でも何でもいいですが、とにかく、そろそろあなたは撤退してください。閣下に強制召還されたとき、その格好では示しがつかないでしょう」

「ばかもん。そのためにこの仮面があるんだろうが!」

「……謎なのはあなたの精神構造だけで結構です」

 ため息をついて、レメクはケニードに向き直った。

「あの格好の姿を、いくら非公式といえども映像で残しておくことはできません。おわかりですね? アロック卿」

「……うーん。もったいないけど……そうだね。下手すると国際問題だもんね」

 ……国際問題とまで。

 あたしは、全裸一歩手前モザイク水着のアウグスタを見た。

 ……まぁ、確かにすごい格好だが……国際的な問題にされるぐらいイカンのか、あの姿は。

 正直、宿のおねーちゃんは似たような姿をしてたりするんだけどなぁ。

「くっ! この芸術がわからんとは……!」

 アウグスタの嘆きに、レメクがいっそう深く嘆息をつく。

「そういう問題ではありません。国の恥という言葉をそろそろその異界脳にも覚え込ませてください。言っておきますが、あなたが痴態をさらすたびに、私が宰相閣下に泣きつかれるんですよ。迷惑です」

「知らぬ存ぜぬで通せばよかろう!」

「もちろんやってますとも。絶望的な目で見られるのがそろそろ億劫なんです」

 ……やってるのか。

 てゆか、宰相閣下が可哀想だ……

「……そのせいで、僕が閣下を慰めるハメになるんだよね……」

 向こうでぽつりとケニードが呟く。

 俺もだ、と呟くのはバルバロッサ卿。

 ……あっちこっちにいるなぁ……被害者が。

「そういうわけですから、ベルも写真は諦めてください。我が国の女王陛下が、こんな姿でブラブラしていると他国に知られれば、大変なことになりますから」

 あー……確かに、国王様がこんな格好じゃ示しがつかないどころか……

 ……ん?

 ……んんん!?

 あたしはレメクを見た。

「……なんて?」

「? なにがですか?」

「我が国の……なんて?」

 お願い。

 お願い聞き間違いであって……!

「女王陛下ですが」


 女 王 陛 下。


 あたしは吹っ飛んだ脳みそを、一生懸命かき集めた。

 女王、って言った? 今。

 あたしはケニードを見た。

 マニアがコックリ頷いた。

 あたしはバルバロッサ卿も見た。

 熊は半笑いの顔でコックリ頷いた。

 ……ということは。

「えーッ!? いやーッ!! アウグスタが王様ぁッ!?」

「ちょっと待てこらぁッ! 小娘! 私が王で何が不満だ!」

「いやぁーッ!!」

「二度もイヤつったかこの小娘! おまえも最初に言っただろうが! 女王様と!!」

「意味が違うーッ!!」

 あたしの絶叫に、あぁ、となぜか男一同が深く納得する。

「ベル。落ち着きなさい。体に悪いですから」

 ぽんぽんと背中を叩いてから、レメクは乳を揺らせて怒るジョオウサマに嘆息混じりの一瞥を送った。

「……あなたも、そんな格好だから、こんな反応をされるんですよ。まともな姿に戻ってくださいますね?」

 こんな反応、という所で、アウグスタが「むぅ!」と唸る。さすがにちょっと思うところがあったらしい。

 変態な仮面女王は、仕方ない、とふんぞりかえった。

 ……あ。また男の人が前屈みに。

「今の私は謎の仮面だからな。だが……次に会ったときは覚えていろよ!」

「……実に悪役らしい台詞ですね。正義の仮面はどこへいきましたか」

 げっそりとしたレメクの声に「フン!」と悪役ばりばりの鼻息をはいて、

 忽然と、アウグスタはその姿を消した。

「……え?」

 そのあまりの唐突さに、あたしは目を瞠る。辺りを見渡しても、もちろん、黄金色の髪も強烈なモザイク水着も見えない。

「あれが、門の紋章の力です」

 呆然としたあたしに、レメクがそう教えてくれた。

 あれが、あたしたち下層級の人間には、お伽話でしかない『紋章』の力。

 あたしは、その恩恵の一部を与えられたという自分のおでこを無意識に触り、ハタと気づいて顔を上げた。

「あ、あ! あたし、アウグスタにまだ何も言えてない……!」

 違うことはいろいろ言ったが。肝心なことが言えてない!

「伝言なら、聞きますが」

「ち、違……お礼……お礼が全然言えてないのよ!」

 王様うんぬんはともかく。

 アウグスタは、あたしのことを考えてくれた人だ。

 泣いたあたしのために(あの姿はどうかと思うが)飛んできてくれた人だ。

 なのにあたしは、まだ一度もそのことにお礼が言えていない!

「……あぁ、それは……」

 レメクが、ふと口元を緩める。

 夜明け色の瞳が、柔らかく和んだ。

「自分で言わなくてはいけませんね」

「う、ん。で、でも、どうしよう! 王様なら、会えないし」

「その理由については、少々疑問ですが。……ああ、そうです。王様だからどうこうというのであれば、ただの変態仮面として呼び出せばいいでしょう。せっかく、門の紋章の加護をもらってることですし」

「いや、普通、そっちのほうが悪いと思うんだけど……」

「喜ぶと思いますよ。わざわざアウグスタなどという呼称で名乗るぐらいですから」

 レメクの声に、あたしはきょとんとした。

 レメクはただ苦笑する。

「アウグスタというのは、あの方の名前ではありません。女王という名におさまらない、型破りなあの方を揶揄して、一部の貴族がそう呼んでいたんです。女帝アウグスタと。……それを耳にして、面白いから全員そう呼べと言い出されましてね。実際にそう呼べた人間はそういないのですが。今のところ、あの方をそう呼べるのは、ごく親しい一部の人間だけです」

「あたしは、知らないからそう呼んでただけで……」

「親しい人が呼ぶものと同じ呼び方をしてくれと頼まれたのですよ、あなたは。本名を名乗らなかったのは、その名を敬称なしで呼ぶことは、いかなる場合であっても許されないからです。下手をして、あなたに危害がおよんではいけないと、そう思ったのでしょう。……まぁ、それでも、自分の呼称に昔のあだ名をもってくるのは、どうかと思いますが」

「……い……いろいろと型破りなのね……」

「ええ。ですが、まぁ……だからこそ、今の時代に相応しいとも言えますが」

 あたしは、苦笑したレメクを見てちょっと首を傾げた。

 レメクの声には、どことなく親しみがある。なんだかんだ言いながら、やっぱりどちらかといえば仲がよいのだろう。

 ただ、気になることがある。

 いくら型破りな王様だとはいえ、レメクのアウグスタに対する態度は、ちょっと臣下のソレとしては異様すぎる。二人のやりとりにしても、王様と臣下という感じではなかった。

 あれは、むしろ気心の知れた喧嘩友達のソレだ。

 女王陛下と対等に渡り合っている、レメクはいったい何者なのだろうか。

「あの……ね。おじ様」

「なんです?」

 あたしはレメクを見た。

 今なら聞けるかもしれない。

 ついでのように、さり気なく尋ねられるかもしれない。

「あの……」

 あなたは、何者なの? と。

 あたしは口を開いた。言葉がするっと出た。

「あたし、あの家に帰っても、いいんだよね?」

 ……あれ?

 ……なんか違うこと聞いたよ?

「ええ。もちろんです」

 レメクが事も無げに頷く。

 ふわっと体が浮き上がるような安心感が襲ってきたが、あたしは慌ててそれを押さえ込んだ。

 違う違う。尋ねたいことを尋ねないと!

「あの……あたし、邪魔になってたりしない!?」

 ……いや、だからそれも確かに訊きたいけど……!!

「邪魔だと思ったことはありませんよ。むしろ、いろいろ情報をもらって助かっています。あとでルドとも話してもらうことになりますが……ひとまずは、体調を取り戻すことが先決ですね」

 そう言ってお姫様抱っこから、片手で抱え上げるような形に。

 ……ちぇー……お姫様抱っこのほうがいいなぁ……

 ……って、マテマテまた意識が別のほうに飛んでいく!

 あたしは慌てて居住まいを正した。レメクの腕に乗ってる形なので、身長差が逆になる。ちょっと新鮮でドキドキ。

 ……でなくて!

「……それに、ベル」

 あたしが意を決して口を開くより早く、レメクが言葉を紡いだ。

 黎明を宿す赤紫色の瞳に、あの暖かい色を灯して。

「あなたと話すのは、楽しいと……そう思っていますから」

 その言葉に、あたしは持っていた全ての疑問を空高く放り投げた。

 いつか、宿のおねーちゃんがすまし顔で言っていた言葉を思い出す。


 恋愛は、あらゆる常識を覆すものなのよ。


 ああそうだろうとも。

 あたしは嘆息をつく。

 たった一人の何気ない言葉で、知りたいこともいろんな疑問も、まぁいいか、で終わらせてしまえるのだから。恋愛は全てを超越してしまう、たぶん究極の魔法なのだ。

 あたしはレメクに抱きついて、心の中でそっと呟いた。


 まぁいいか、と。




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