解き放てない⁉︎異術授業1
午前5時、携帯のアラームが鳴るとすぐに目を覚ました。朝は強い方だが、まだ慣れないのもあり、目が冴える。
ベットからおり、すぐに顔を洗い、パジャマからジャージに着替え、起きてから五分もしないうちに部屋を出る。
朝の日課のランニングだ。
もうかれこれ5年程度続けている日課である。
これは続けようとか続けないといけないとかそういう気持ちでやっているわけではない。
ただ習慣とは怖いもので、やっておかないと不安な気持ちになるので、仕方なしにやっているという状況だ。
夜遅い日も、雨の日も、またテストの日でも。自分としても、もう少し柔軟に休んだりしたいものだが、一回休んでしまうと、もう二度と戻れなさそうなので、結局やってしまう。
それでも朝は気持ちがいいもんだ。4月の初旬なので、少し肌寒いがそれが体には心地よく感じる。
まだ土地勘がないので、とりあえず知っている道を行ったり来たりしていた。
5時半、ランニングを終えアパートの前で少し休憩をしていると、アパートの前から頬月さんが出て来る。
頬月さんもこちらに気づいた。
「あれ?もしかして、七海君もジョギング?」
「そうなんだ。今終わって休んでるところ。」
「そっかぁ残念。一緒にジョギングしたかったのになぁ。」
頬月さんは本当に残念そうな顔をしている。
(頬月さんは本当にいい子なんだなぁ。)
常識的に考えれば、まだ知り合って間もないクラスメイトとジョギングなんて、したい訳ないだろう。でもこう言って、しっかり社交辞令として、残念がってくれる。本当に出来た子だ。
だから俺の返事も自ずと決まった。
「俺もぜひ頬月さんと走りたかったけど、なんかマジになって走りすぎちゃって、しばらく走れそうにないわ。」
「それじゃあ。また今度だね。」
「また今度。」
そう話すと、頬月さんは軽やかに走っていた。
俺はそれを見送ると、部屋に戻り、異術のトレーニングに励む。
これも朝の日課の一つだ。
異術を行うにあたり、大きく2つの動作が必要とされている。
1つ目の動作は術式を組むことだ。2つ目の動作は術式を展開されることだ。
術式を発動すると部屋がすごいことになるので、術式を組む動作をただひたすらに初級異術から中級異術まで、反復し練習する。
だいたい30分から1時間程度、術式を組み続け、そこからシャワーを浴び、朝ごはんを食べる。
そうこうしてると、もう7時半くらいになるので、学校へ向かう感じになる。
「少し早いけど、行くか。」
いつもと違い朝から頬月さんと話すことができ、上機嫌のまま学校へ向かった。