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運命の人8


「おい、てめぇ何勝手に乱入してきたんだよ!!」

冴島は怒りながら、突然現れた七海に話す。


「えっと⋯⋯⋯⋯まあ平等院を助けるためですかね?」

七海がそう言うと、さらに冴島の怒りのボルテージが上がる。


「はぁ!?何勝手に被害者ヅラしてんだよ!!あくまでもそっちから決闘をふっかけてきてんだからな!!」


「でもだからといって、三対一は余りにも不公平でしょ」


「そっそれは、よっ要求とかを踏まえて、しっかりと判断した上で、公平にやってるだろうが!!」

少し慌てた様子で冴島は答える。


「三対二だとやっぱりきついですかね」

七海の少し煽るような発言に、冴島の怒りはピークに達する。


「いい度胸してるじゃねぇか!?だったらお望み通り、ボコボコにしてやるよ!!会長と副会長、絶対に手を出すなよ!!こいつは私の獲物だ!!」


冴島は後ろにいる竹内生徒会長や三谷副会長に聞こえるように荒げた声を出す。


「やっぱり、キキちゃん、貫禄あるよね。竹内君」


「あぁ、流石元ヤンだよ。俺たちはここでゆっくりしておこう。何かしたら後で何するかわかったもんじゃない」


2人はブンブンと顔を縦に振り、頷きあう。




「お前、名前は??」

「一年二組、七海守といいます」


「最近の一年はほんとイキがいいのな!?お姉さんは驚いちゃうよ」

「いやいや、僕も普段はこんなキャラじゃないんですけどね。ただ⋯⋯⋯⋯案外悪くないですね。今は本当に清々しくて、心が晴れ晴れしました」


「訳わかんねー。まあいいか。それじゃ、始めようか」

冴島はゆっくりと大槌を両手で構え、集中する。


冴島は七海の突然の登場、そしていとも容易く炎石を真っ二つに切った七海に対し、相当の異能力者であると判断していた。

空間転移術で一瞬にして平等院の前に立ったのは、理解できる。だが客席との間には防護シールドが展開されており、常識的に考えれば、防護シールドを通り抜けることなど不可能だ。少なくとも冴島にはできないけど所業であった。

また七海の持っている黒い剣あれが、【バニッシュオーブメント】なのだろうか。上級異術もある程度扱える冴島であったが、全く聞いたこともない異術だ。


油断はできない。

生徒会たるのも、そこら辺の一年に負けてはいけない。そんな思いを胸に抱いていた。



七海も冴島の雰囲気を感じ取り、戦闘モードへのスイッチを入れる。


「行きます!」


七海は地面に右手の黒刀を両手に持ち変え地面に突き刺し、魔力を注ぎ込む。すると、地面に会場を越え観客席までを覆う、大きな大きな円陣が出来る。


【ドレインチャージ】


七海がそう言うと、円陣が黒く光り、会場にいる全ての人間から魔力を吸い出しはじめ、七海の元へと集まっていく。


「っな!?ずいぶんと大胆な真似をしてくれるじゃねーか!?だが、隙だらけだ!?」

冴島は七海の元へと駆け寄り、大槌を振りかぶる。



『冴島さん、少し後にしてくれませんか』



七海が呟くと、冴島は大槌を振るのをやめ、逃げるように距離を開ける。


別段七海は冴島に何もしていない。

ただ声をかけただけだ。


それでも冴島は大槌を振るのをやめた。


このまま振れば、やられる。

そんな感情が心によぎった。




「よし、これで十分だろ」

七海は集まってきた魔力に納得し、黒刀を地面から抜き、黒刀で天を突くように掲げる。


【全ての運命はこの手の中に】

【大魔法陣多重錬成】


黒刀から出た黒いオーラが天に轟くように昇ると、


『バリッ!、バリッ!!バリッ!!』

観客席を守る防護シールドを突き破り、ドロドロと黒いオーラが広がり、体育館を半球体になるように包み込む。

やがて体育館全体が真っ暗になる。


会場の生徒達がざわつき始め、しばらくすると周囲を包み込む黒いオーラから異術が展開されていく。

一個、二個、三個、と次々と増えていき、やがて、50を優に超える円陣が出来上がる。円陣は人ぐらいの大きさもあれば、人の10倍ほどの大きな円陣もある。


真っ暗な会場から円陣が光りが輝き、会場は明るさを取り戻す。



余りの出来事に、冴島は声一つ出せない。

ただ一つ分かることがある。それは冴島にとってこれまで戦ってきた中で最も危険な存在と今対峙していることだ。


皇帝グランド最後日フィナーレ

冴島は無意識の中で、自身の最強異能を発動する。

冴島の大槌は金色の輝き、今冴島が持ち得る全ての魔力が大槌に集中する。

震える両手に力を込める。


「行くぜー!!一年坊主ぅーー!!」


「始めましょうか。生徒会さん。」


決闘の火蓋が再び切られようとしていた。


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