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運命の人5

6月2日16時。


私は異術訓練第一体育館の舞台裏で待っていた。

体力がなくならないように、手軽に食べ物をお腹には入れ、椅子に腰掛けていた。

緊張のせいか、足の震えが止まらない。

いや、これは武者震いだ。きっとそう。


『いよいよ、皆様、お待たせいたしました!!本日、実況及び見届け人の3年1組の伊豆みやこといいます!!以後お見知りおきを!!』


舞台裏から実況の声が聞く。


もうすぐ始まる。


相手は3人、こちらは1人、圧倒的に不利だが、要求していることの重さを考えると、妥当だとは思う。


こっちは生徒会の解散、あっちは私からの生徒会への不干渉を求めているだけだ。

これくらいのハンデ戦は致し方ない。

だけど、負けるつもりは毛頭ない。


『では!いよいよ、入場していただきましょう!!生徒会三名と平等院清華さんです!!』



私はアナウンスと共に、心を落ち着かせながら、ゆっくりと入場する。


暗い舞台裏から入場すると、外は少し眩しいくらいだ。

真ん中に今回の進行役がいる。


そして、反対側から、見知った生徒会三名が歩いてくる。談笑をしながら、観客席に手を振りながら歩いてくる。


会長 三年、竹内弥彦


副会長 三年、 三谷京子


会計 二年、冴島キキ



この2ヶ月間、言い合いばかりだったが、今日でようやく終止符を打てる。

準備は出来ている。


私達はお互い向かい合うように並ぶと、竹内生徒会長が私に話しかける。


「平等院さん、本当にこれで良かったのかい?これが君にとっての最善策だったのかい?君にはこれからまだまだ長い学園生活がある。生徒会長にもいつかなれたその日からで十分じゃないかい?それから君の思うことを貫いたら、いいと思う。だから今その権利を失ってしまうのは、至極辛いことだ。まだ取り返しは効かないことはない。


君は決闘を取り下げるべきだ」



竹内生徒会長は、私を見て、ハッキリと伝える。

だから、私もハッキリと話すべきなのだろう。


「会長申し訳ありませんが、それは出来ません。私は私なりに考えた末の結論なんです」


私の話を聞いた上で、竹内生徒会長は怪訝な表情を浮かべる。まだ納得できなさそうにしている。


「君の目標も大事だと思う。君の思いも、理解しているつもりだ。だから、最後にもう一度だけ言う。取り下げてはくれないか?」


「いいえ、それはできません。

これは私なりのケジメなんです」


竹内生徒会長は、それでも納得しない。まだ何か話そうとするが、遮るように冴島さんが話す。


「会長もう良いでしょ??これ以上彼女に何を言っても仕方がねーよ。早く済ませちゃいましょうよ」


「と言ってもね、キキ君。この状況を生徒会長として見逃せないよ」


「はぁ?意味わかんねーですけど?だいたいあっちから吹っかけてきたんじゃねーですか。売られた喧嘩は買うだけですよ。あとキキって呼ばないで下さい」


そうは言ってもねぇ。と竹内生徒会長は、言うが、続く言葉は見当たらない。


「早く始めて下さいよ。伊豆先輩。このままでは、会長はずっとこの調子で、説得をし続けますよ。ね」


伊豆先輩は冴島さんの言葉に押され、流されるように始める。


『そっそうね。ではでは、みなさんお待ちかねました。これより、生徒会三名対平等院清華さんの決闘を始めます!!

ルールは、どちらかのリーダー、つまり平等院さんか竹内生徒会長のどちらかが降参するか。もしくは、続行不可能と学校側が判断した場合を決着の条件とします。

なお、武器の持ち込みは厳禁です。その他恐喝行為及び妨害行為等が発覚した場合、この決闘結果について、破棄されます』


伊豆先輩の声が聞こえると観客席からは、野次やら、声援やら、様々な歓声が聞こえる。



七海君はいるかな。いや、いないか。

私は観客を見渡すが、彼は見当たらない。

嬉しいような。悲しいような。


『それでは、今から観客席の為の防護シールドを展開します。展開が終了次第、すぐにブザーが鳴ります。それがスタートの合図になります。それでは皆さん誠心誠意、悔いのないよう頑張って下さい!!』


説明を終えると、伊豆先輩は大きく観客席に一礼をし、裏へ下がっていく。


戦場と観客席の間に分厚い防護シールドが徐々に出来上がっていく。

観客も静まり返り、会場に誰もいないように感じる。




『ビーー!!』


ブザーが会場に鳴り響く。




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