運命の人4
5月20日、午後10時。
七海君と最初で最後のデートを終えた後、帰るや否や、部屋の電気もつけず、ただただ倒れるようにベッドに寝転んだ。
私は泣いていた。
いつから泣いていなかっただろう。
中学?小学?いやいや、もっと前になるのかな。
覚えていない。
母さんが亡くなってから、私は泣くことを我慢するようにしていたのかもしれない。
父や周りの人に対し、私、平等院清華は大丈夫と。
そう言い聞かせるように。
だけど、今日は。
頬を伝うこの涙を私には止めることができない。
きっと私は彼のことが好きなのだろう。
だから彼には離れていてほしい。
これ以上、私は彼と共にいたら、縛り付けてしまう。彼に依存してしまう。
彼に私と共に歩む事を強制してしまう。
そして、辛い辛い茨の道を彼にも歩かせることになる。
私と共に歩むということは、そういうことだ。
そして現実はそんなに甘くはない。大きな困難が必ず待ち構えている。
彼に、私の事や私の家のことで、そこまで面倒を見てもらい、押し付け
いつか限界がくる。
そして、彼に見捨てられる。
それが、怖いのだ。
いつか必ず来る終わりがたまらなく怖い。
私は30分程度ベッドにうつ伏せ状態のまま、休んだ後、ゆっくりと体を起こす。
でも、だから、私は頑張らなくてはならない。
一方的に近づき、一方的に離れる私は、しいて彼に報いる為には、私は私の目標を叶えるしかない。
それがせめてもの償いだ。
塞ぎ込んでいてはいけない。
生徒会。
決して彼らが何もしていないとも思っていない。
彼らは彼らなりに、四校を守ってきたのは、ここ数日の話し合い分かった。
けど、それではダメ。
私が変えなければ。
私が四校を変えなければ。
私は部屋の電気をつけ、すぐ机に向かいこれからのスケジュールを立てる。
そして、前々から考えていた。
最期の手段。
決闘申し出書を机の中から取り出す。
【決闘】
古くからの伝統で、何か揉め事が起こった際、戦うことで決着を決める方法が四校にはあるのだ。
手順は簡単、どちらか一方が相手に渡し、相手から了承をもらったら、学校へ提出するだけだ。
そして、勝ったほうは、お互いの了承の元で決めておいた要求を叶えることができる。
平等院は、決闘申し出書に自分の名前や生徒会のメンバーの名前を書く。
要求の欄には、
生徒会の解散と書いた。




