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埋まらない二人の溝1


あのデートの一件があって以来、平等院と俺はうまく噛み合わないようになった。

もちろん、一緒に昼食を取ることも、一緒に下校することも、確かにあるがどこかぎこちない。


理由はわかっている。


平等院が俺を避けるようにしているのだ。


これ以上は、私に近づかないで。

これ以上は、お互いのためにやめときましょう。

これ以上は、踏み入らないでほしい。

そして、これまで通りに。今まで通りに。


そんな平等院の思いが、願いが、1つ1つの言葉に感じ取れた。


だが、平等院の思いとは反対に。

自然に。今まで通りに。

そんな思いが、ゆっくりと2人の関係を壊していく。


どうすればいいのだろうか。

どこまで立入れる話なのだろうか。

何が平等院の為になるのだろうか。

俺は未だに答えを出さずに彷徨っている。



放課後。

丘の上公園で俺は1人ベンチに座っていた。

学校からそう遠く離れてはいないところに位置し、文字通り丘の上にあり、学校だけでなく、海まで見渡せるとても綺麗な公園だ。


ぼんやり海を眺めていると、平等院以外で唯一相談できる相手、頬月さんがやってくる。


「おまた。おまた。」

「全然待ってないよ。」

頬月さんが今日も元気にやってきた。頬月さんは俺の隣に座り、嬉しそうにしている。


「今日は悪いな。来てもらって。」

「全然の全だよ。」

そう言うと、なぜか頬月さんはこちらを向き、手を十字にし、ウルトラマンの真似をする。

この人は相変わらずだなぁ。いい意味で。


俺は重い口を開ける。

「最近平等院とうまくいってないんだ。」

「やっぱりね!」

「どうすればいいのだろう。」

「どうすればいいのだろうね。」


頬月さんは俺の真似をしながら話す。

たぶんわざと、場を和ます為にしてくれているのだろう。本当にできた人だ。


「どうしたら、いいんだろう。」

「七海君?」

「何?」

「君、それで相談してるつもりなの〜??何で困っているのか、全くわからないし、アドバイスのしようもないよ!!」

「確かに、そうだな。」


ただ、しっかり説明してしまうと、平等院のプライベートを曝け出してしまう。

それは、ダメだろう。

やっていいことと、やってはいけない事がある。

俺は出来るだけ噛み砕いて話す。


「まあ何といったらいいのか。きっと平等院は1人で何でも解決しようと思ってるんだ。だから、誰とも仲良くしようとしないし、誰の力も借りない。これまでもそうだったんだと思う。」


「なるほど、なるほど〜。」

頬月さんは大きく頷きながら、ふんふんと聞いている。


「俺はそんな平等院の力になりたいと思うんだが、あいつはそれを求めていない。むしろ平等院は俺を避けている。」


「なるほど、なるほど〜。それで七海君は何か思うところがあるのかな?」


「だから、つまり、俺は・・。」


「つまり、俺は??」


「きっと俺は、平等院に頼られたいんだ。」


「・・・七海君って気持ち悪いね。」


「おっしゃる通りです。」


「七海君って将来ストーカーになりそう。」


「悲しい新たな発見だ!?心に戒めておくよ。」


やはり、俺はダメで気色悪いのだろうか。いや、気持ち悪いに決まっている。だいたい頼られたいって何だ。自己満も甚だしい。

俺は自信の身勝手さを見直していた。


そんなことを考えていると、頬月さんが話す。

「でもさそれはあくまでも私視点の話。平等院さんが七海君の話を聞いて、どう思うかは全く別なのさ。」


頬月さんはノンノンノンと右手の人差し指を振る。

「女の子はさ。甘えることが上手な人もいれば、甘えることができない人もいるんだ。平等院さんはきっとその辺が上手くできる人ではないよ。

だからさ、七海君はもう一度しっかり平等院さんに思いを伝えるべきじゃないかな。きっと彼女もそれを求めている。」




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