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解き放てない⁉︎最初で最後のデート3


放課後、俺は平等院買い物に誘った。

女子を買い物に誘ったことなど一度もないので、内心かなりドキドキしていたが、平等院はあっさり了承してくれた。


なぜ平等院を誘ったかというと、オシャレな喫茶店に入りたかったのである。

ただ単純に喫茶店を誘ってしまっては、まるでデートの誘いみたいになってしまう。

そこで、買い物に付き合ってほしい大作戦だ。

まず買い物に付き合ってもらい、それからお礼に喫茶店へ向かう流れだ。

自分で言うのもなんだが、完璧すぎる。


俺は内心ウキウキしていると、隣の平等院が話し出す。

「それで、どこに行きたいの?」

「靴を買いに行きたいんだ。毎朝のランニング用の靴がもうボロボロでさ。」

「それじゃ、こっちね。」

俺たちは放課後、授業終わってから、2人で学校から少し離れたセンター街にいた。


よくクラスメイトがセンター街、センター街と言うのを耳にするが、俺は初めて来たので、全く勝手が分からない。

さぞかしクラスのみんなはカラオケとかボーリングとかではしゃいでいるんだろうなぁ。

なんだろ、涙が出てくる。


「平等院はよくセンター街とか来るのか?」

「たまにね。日用品とかやっぱり必要な物は揃ってるし、買いに来ることはあるわね。でもそれくらいでしか利用したことはないわね。」

「そっか。それはそれは。」

俺は仲間ぼっちがいることに少し安心した。


「そんなに露骨に安心しなくても。」

「俺が思っていることわかるのか!?」

「これだけ毎日いると自ずとね。あなたの小心者さを嫌という程感じるからね。」

平等院が笑いながら話す。

もう少し大きくなろう。精神的に。


そうこうしてると、靴屋に着いた。

靴屋と言ってもオシャレな雰囲気の店ではなく、全国どこにでもありそうな靴屋だ。店前にも千円から二千円程度安い靴がカゴの中に大量に置かれている。

平等院も案外庶民的なところもあるのかもしれない。

店内に入ると、ところ狭しに靴が並んでおり、スリッパからブーツまで様々な物がある。


平等院の後ろを俺は付いていく。

流石というか平等院らしいというか、目的のランニングシューズコーナーに最短距離で着いた。


俺がどれがいいか選んでいると、平等院はささっと2種類の靴を取り出し、俺を近くの椅子に座らせ、「履いてみてと」言う。


人によると思うが、俺は正直服とか靴とかにあまり興味もなければ、センスも無いので、こうやって一方的に決められるのもありがたい。


白っぽいのと、クリーム色っぽい靴、俺は両方を履き、平等院が1人悩んで、白のほうを選んだ。


その後、靴の中敷や紐を買い、店の中で付けた。

わざわざ靴の紐を買ったりはした事は無かったが、変えたら変えたで、雰囲気が変わり、少し高い靴に思えてしまう。


不思議なものだ。

俺が1人靴を見ながら感心していると、何やら店員さんと平等院が話しあっており、少しすると平等院がこちらに戻って来た。

「これ元々の靴紐だから、もし今のが切れたらこれを使いなさい。ちゃんと残しておくのよ。」


案外おばさん臭くて笑えたが、これも平等院の良いところの1つに思える。

俺はありがたく受け取り、俺たちは店を出た。

合計五千円で買えて、個人的には十分な買い物になった。


よし、買い物を終えた。

終えたぞ!!


あとはプラン通り、プラン通りに。

ふっふふ、思わず声が漏れてしまいそうだ。


「平等院、今日はありがとう。よかったら、お礼にちょっと喫茶店にでも行かない?」

俺は何度も頭の中で想定していた台詞を言う。


「えっそれよりそこのゲーセンとか行って見たいんだけど。」

「えっ!?」

「えっ!?」


「・・・ゲーセンに行こうか。」


喫茶店には俺にはまだ早いのだろう。

俺は自分の運命を受け入れた。




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