解き放てない⁉︎最初で最後のデート1
「平等院って、やっぱりぼっちなの?」
俺が聞くと、ゴホゴホっと今にも口の中から食べ物が出てきそうな勢いで平等院咳き込んだ。
今日も平等院と2人で昼休みホールで食事をしている。最近はいつも一緒に行動を共にしていて、前から思っていたことを聞いてみた。
「おい、おい、大丈夫かぁ」
俺は平等院の背中をさする。
「別に大丈夫よ」
っと言うと、平等院は少し水を飲みこみ、息を整えてから、箸を置く。
「で、なんて言ったの?」
「平等院って、ぼっちなの?」
「ぼっちなわけないでしょ!!」
平等院は食い気味に反論する。
「そもそも、な・ん・で・そんなふうに思うの?」
「流石にそれは口にしづらいのだが⋯⋯⋯⋯」
「はっきり言いなさいよ。理由がないのであれば、あなた相当失礼なことを言ってるわよ!」
「言ってもいいけど、怒るなよ」
「わかったわ!早く言いなさいよ!!」
「いや、もう怒ってんじゃん!!」
言いづらいが言おう。平等院自身が知りたがっているのだから。
「いやーだってさ、俺以外の人と平等院が話しているところ見たことねーだもん」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「もちろん、事務連絡的な話はしてるんだろうけど、それも見たことないしな。」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
平等院にそういうと、黙り込む。
「だいたいぼっちって何なのよ」
平等院は概念から話し始めた。
「1人でいることがぼっちなの?それとも精神的な話なの?」
「精神的な話ではないだろ。見た感じで、ずっと1人でいるなら、ぼっちだろ」
「じゃあ何?私は1人でいることが好きなのよ。好きで1人なの。それでもぼっち認定されないといけないわけ!?」
「それでも1人ならぼっちなんじゃね?」
「じゃあじゃあ、私はぼっちはぼっちでも、可哀想ではない方のぼっちよ!ぼっち愛好家と言っても過言じゃないわ!」
「ぼっち愛好家は意味違うだろ!?」
ぼっち愛好家だと、ぼっちの人が好きみたいだ。
俺の話に納得がいかないのか、プンスカ、プンスカ、平等院は怒っている。
こいつにも色々あるんだろうな。
「でも最近ここずっと2人でいること多いし、俺たちがぼっちを語るもの、ぼっちに失礼かもな。ぼっちはぼっちでも2人ぼっちだからな」
ぼっちにもぼっちのプライドがあるだろう。孤高を守り続けること、それも立派な生き様だ。
平等院は俺の顔をまじまじと見つめた後、何も言わずに、昼食を口にかけこむ。
口の周りを汚くしながらも早く食べようとする姿はまるで獣ようで、平等院がやると少し滑稽だ。
「そんなに急がなくてもよくないか?」
平等院に話しかけるが、完全に無視される。
それから、残りの焼き魚にかぶりつき、食べ終わった後、味噌汁を飲み干すと、さっさとトレイを持ち、立ち上がる。
「私を口説こうなんて、百年早いわよ!!」
赤く顔を高揚させながら、平等院はさっさと立ち去っていった。
百年早いのなら、誰一人として、平等院を口説ける奴はいないな。
今日も楽しかったな。
残った俺は1人でラーメンを食べる。
よし、俺も教室へ戻るか。と考えていると、平等院の座っていた席に誰かが座る。
頬月さんだった。
「おっはー。今日もいつも通りラブラブだねぇ!!」