解き放てない⁉︎入学式
四月一日
国家支援第四学園高等学校、一年二組では登校初日のホームルームを迎えていた。
知り合いがいる生徒が多いのだろうか。
クラスの中でもうすでにグループで話している連中も多く賑やかな雰囲気だ。 俺は田舎から単身で来た身であり、知り合いもいないので、一人席に座っていた。
だが寂しくはない!!
断じて寂しくない!!
なぜなら俺はやる気に満ちているからだ!!
一度の大きなミスから、中学時代=暗黒時代に成り下がってしまった。
しかし、だがしかし、俺は過去は振り返らない。過去は過去、今は今なんだ!!
わざわざこの離れ小島の高校へやって来た。過去を知る者はもういない。
やってやるぞ、高校デビュー!!
俺は心の中で、声高々に叫んでいると、綺麗な二十代後半くらいの女性が教室に入ってきた。
生徒達は各々の机に戻り、静かになる。
女性は教壇の前に立つと、話し出す。
「担当教師の藤宮京子だ。これから宜しく頼む」
藤宮が黒板と名前を書く。綺麗な顔とは裏腹に低い声と黒板への文字の書き方から、厳しい教師なのだとすぐに感じる。
「お前達は素晴らしい能力を持って生まれ、そして周りから天才、秀才と言われ、これまで過ごしてきたと思う。が、ここ国家支援学園を選んだからには、そう簡単にはいかない。能力者同士が集まったのだ。異能も普通だ。お前達は凡人となった。
この学園では卒業したあかつきには、将来が保証される。ただ逆に言えば、この学園の卒業者は皆、優秀でないといけない。特に異能に関して。
この学園で生き残るために、お前達に一言、卒業生として、助言をやろう。
天才になるな、化け物になれ」
(えぇーー!?何なのこの高校!?)
高校から下宿とか憧れるし、過去の清算にもちょうどいいし、なんかやりたい放題できそうだし、最高じゃね!!とかそんな邪な思いで入学したのだが??
俺は周りの生徒の顔をキョロキョロ見渡す。
そこには目をキラキラさせる生徒やガッツポーズをし、やる気に満ちている生徒達の姿があった。
(こいつらなんであんなに目を輝かしてんの!?もしかしてそういう高校なのか)
(俺はこれから馴染めるだろうか)
入学早々に違う高校への編入を願ってしまった。
「それでは、これからお前達に自己紹介してもらおう、まず名前をそして異能については必ず話すこと、担当教師としてこれから助言をしてやれることがあると思うからな。あとはてきとうに話してくれて構わない」
藤宮教師がそういうと、順々に各生徒の自己紹介が始まった。
意気揚々に話す生徒や、少し照れくさそうにする生徒様々な生徒達の発表が次々に終わっていった。
そんな中で俺はかなり焦っていた。
なにせ俺の異能は、【無双ハーレム】だからだ。
病院の診断により、異能の真名は、【無双ハーレム】で間違い無いのだが、発動条件不明、能力不明、とのことだった。
その結果俺は一度も能力を使えず仕舞いで今まで過ごしてきた。
この学校にきたもの、自身の異能について、少しでも分かればとの思いだった。
中学時代では異能について話してしまい、【変態妄想ハーレム勘違い野郎】とか色々呼ばれ、周りから徹底的に嫌われてしまった。
もし知られれば、あの暗黒時代に逆戻り!?
もうあの時と同じミスはおかさない。
異能は絶対に言わない。
そう、絶対にだ!!