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第46話 プレハブ住居

新連載を始めました。


ブラック会社に勤務していた私が異世界に転移したら

https://ncode.syosetu.com/n1336eh/


違法な物を扱う商社の四十代おっさんが異世界に飛ばされて、違法な知識で無双する作品です。

ちょっとダークな娯楽作品。こちらもお楽しみ下さい。



重大発表です!!

連載を中断してまで頑張っていましたが、遂に異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろうがコミカライズです。

デンシバーズ http://denshi-birz.com/  にて、この秋連載スタート予定です!!

やっと連載再開出来ました!!


絵柄や詳細は下記をご確認下さい!!

https://twitter.com/n0885dc/status/913917731665190912


また、十月三十日には、異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろうの三巻が発売となります。

コミカライズと合わせて楽しんで頂ければ幸いです。やっとタロの出番です。可愛いです!!

「役に立たん女衆や子供なんかより、今まさに作業をして疲弊している男衆の面倒を見るのが先じゃないのか?」


 ある村長の言葉を皮切りに議論が始まる。


「その男衆は何のために働いている。女子供を守り、将来を作るためだろ。その女子供が病気に喘いでいるんだ。助けるのが道理だ!!」


 賛成、反対、同意、共感、補足、議論は躍る。皆、責任者として長く人を率いてきた人間だ。こんな事態は往々にしてあっただろう。

 私は一切口を挟まないし、レーディルも黙ったままだ。私達が入ると、それが結論になってしまう。過去からの鬱屈も含めて、ここで一回出し切ってもらうのが趣旨だ。


 一時間に少々満たない時間が過ぎた頃には、議論が出尽くした。結論としては消極的賛成。労苦を厭わない、実際に作業を行っている男性陣へのフォローを今後早い段階で望みながらも、女子供を優先するという結論に至った。


「皆さんの配慮、痛み入ります」


 私が、頭を下げると、皆が黙したままこくりと頷く。皆も分かっているのだ。長く責任者を務めてきたからこそ、弱い部分から団結は破れ、連携は崩れ、生活は崩壊すると。


「じゃあ、戻りまさぁ」


 天幕を出ていく長や役職の皆の表情には、入ってきた時に浮かんでいた憂いは見当たらない。とことん話し合う事によって、頭が冷えて整理され、先を見る事が出来るようになった。そうなれば、進むだけ。さっぱりとした様子で歩み出している。


「では、建てましょうか」


 私は横にかけていたレーディルと共に立ち上がり、村の中央に進んだ。



「この辺りですね」


 図面を見ながら、私は地面に線を引いていく。主幹道路を意識しながら、縄張りの代わりを配置する。


「将来的に町の中央となるのであれば、民家は余計ですな」


 レーディルが図面を見つめながら告げる。


「そうですね。喧嘩の元です。なので、居住区画が出来た後は、順次移動してもらい建て替えですね」


 未来の一等地には、行政区画を設けた方が交通の便が良い。今回の施策にはその用地予約の意味合いもある。


 そんな事を考えながら、私はプレハブ住居を『せいぞう』で配置する。


 これに関しては、大阪の社屋で仕事をしていた時の話だ。阪神淡路大震災に遭遇した際に、部品調達のお手伝いに奔走した。その時の経験からだろうなと、懐かしい建屋を調整しながら配置する。

 建物を支えるワイヤーも弛まず接地しているのを確認し、ぽぽぽぽーんと次々とコピーアンドペーストのように生み出していく。


「これは……また……」


 横に立っていたレーディルが目を見張って絶句する。目の前で、建物が芽が出るようにひょこっと現れるのだ。周囲で心配そうな表情で取り巻いていたお母さん方は息を呑み、子供達は次々と生まれる建物に歓声を上げている。


「分かっておりましたが……。凄まじいですな」


「それ故に多用はしたくないです。私が動けば全ては片付く。そんな生活は早晩破綻します。人は働いてこそ、自分の足で歩んでこそ、人です。私がするべきなのは、本当に困った時にそっと手を差し伸べる事だけです」


「然り……ですな」


 目の奥に優しい光を宿しながら、苦笑を浮かべたレーディルが重く頷く。




 私はお母さん方に声をかけて、プレハブ住居の案内を始める。

 水道と電気は通っていないため使えないが、ガスはプロパンボンベが併設されている。


「ここを押すと、火が点ります。もう一度押すと、消えます。このレバーで火勢を調節して下さい」


 ガスコンロの説明をすると、お母さん方の目が輝く。薪での火の調整は至難だ。それが解消されるだけでも、仕事の手間が減る。

 体を清める際は風呂場で行ってもらう事などを説明した後、奥の畳の和室へ案内する。


「まぁ……。柔らかい……」


「そのまま転がっても痛くない!!」


 お母さん方が畳に触れる横で、楽しそうに子供達がぴょんぴょん跳ねている。窓の開閉や、通り一遍の使い方を説明したら、鍵を渡し各住居に入ってもらう。


 私は、明るい表情で語り合う輪から外れ、中央に進みタンク車を『せいぞう』で生む。水汲みの労力は減らした方が良いのと、『ほきゅう』で対応出来るので、こちらの方が便利だ。


 一式の作業が終わったのを確認し、そっとキャンピングカーに戻った。

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