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ヘルブレス  作者: htsan
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ダンジョンへその4

 「そっちはアキラ君に任せるわ」


 パラライズの解けたセイキさんはムーナに再び斬りかかる。


 「さすがにまだ君みたいな格下には負けないよ」


 ハヤチャはそう言うと自分にPFMとバーサクをかける。


 俺と同じ魔法戦士タイプか。ハヤチャが持っているのはグレートソード。俺よりレベルが高いと言う事は俺よりもDEXかVITが高い。


 「PF・・・」


 「PFA」


 「え!?」


 俺が自分にPFMをかけなおすより前にハヤチャは俺にPFAをかける。


 「パラライズ」


 立て続けにハヤチャは俺にパラライズをかけ、俺は拘束される。


 「よしよし。久々に役に立ったわね。半端ステのハヤチャ」


 「絶対これ強いと思うんだけどなぁ」


 ムーナは再び盾でセイキさんの攻撃をいなすとすぐに杖に持ち替える。


 「くそ。とりあえずセイキさんにPFMをかけないと」


 しかしセイキさんにPFMをかけようとする俺にハヤチャが斬りかかり、俺は詠唱を中断させられる。


 「パラライズ」


 ムーナはセイキさんを拘束するとこちらを向く。恐らくブリザードで俺を殺すつもりだろう。


 「キャンセレーション」


 突然ユニさんの詠唱が聞こえ、ムーナとハヤチャは咄嗟に身構えるが、キャンセレーションは俺に当たる。


 「え・・・」


 「AMP」


 そのままユニさんは俺にAMPをかける。


 「味方の保護魔法も消せるんだよね~」


 「俺に背中見せてのうのうと詠唱してんじゃねえぞ」


 ユニさんの背後にロックオンハートが襲い掛かる。


 「え、タマさん!?」


 「ごめ、疲れたから休憩なう」


 タマさんはしゃがみこんで他人事かのようにこちらを見ている。


 「嘘やん。死んだわ」


 「ヒーローは遅れてやってくるんだよなぁ」


 サウルさんがユニさんとロックオンハートの間に割って入り、ジャイアントソードで振り降ろされたバーバリアンバトルハンマーを受け止める。


 「そんなん惚れてまうやろ」


 「あっちもうやられたの?早すぎでしょ。つっかえないわね~」


 ムーナは露骨に苛立った顔をする。


 「どうする?圧倒的不利だけど、逃げる?」


 「うるさい!!」


 「ごめん・・・」


 「で、どうするのロックオン」


 「いけるいける」


 そう言うとロックオンハートはサウルさんを軽々と弾き飛ばす。


 「勝てるよ」


 「へぇ、すごい自信」


 タマさんはサボりながらロックオンハートを茶化す。


 「当たり前だろ。自分になんかあるって信じてるやつだけが勝てるんだ。それがねえと最初から戦えねえだろ。そして結果、勝つのは俺だ。そうだろ」


 「そうね」


 知らない女の声が聞こえたと思うと、インビジブルから姿を現した女はユニさんにキャンセレーションとPFAをかける。


 「あちゃーあっちやられちゃったか」


 サウルさんは苦笑いをしながら、ユニさんに殴りかかろうとするロックオンハートの攻撃を止める。


 「だめだ!あのメイジの狙いはユニさんです。誰か・・・」


 しかしユニさんは自分の身を守る気配もなく、自分にPFAをかけられている間にムーナにキャンセレーションとPFAをかける。


 「確実に自分がやられるのならば、自分を犠牲にして今できる最大限の仕事をする。すばらしいわね」


 そう言ってユニさんにブリザードを詠唱しようとする女の背筋にゾクっと悪寒が走る。


 「何でイキってんだお前?」


 タマさんが女に斬りかかった事で女は詠唱を中断し、慌てて盾とM杖でタマさんの攻撃をいなそうとする。


 「君達、僕達の事舐めすぎじゃない?」


 タマさんはいつもどおりの無表情なのにも関わらず、その目からは異常な程の殺気が感じられた。


 「え?」


 突然女の全身から血が噴出す。


 「何で冷静に相手の行動分析なんかしてんの?そう言うのは格上が格下にやる事だろうが。格下のクソ雑魚がイキがってんじゃねえぞ」


 タマさんの手には以前酒場で見た真っ赤なレイピアが握られていて、それはあの時と同じようにギラギラと光っていた。


 「ウサチャ!そいつやばい。逃げて!」


 「人の心配してる場合かしら?」


 セイキさんがユニさんのパラライズで拘束されたムーナに殴りかかる。


 「あんたの遅い攻撃ならいくらでも耐えられるけど?」


 「ふーん」


 セイキさんはそう言うと自分にPFMとバーサクをかける。


 「え、やっぱそうだよね。あんた使えるよね。なんで今までPFM使わなかったの?」


 「だってこれはアキラ君達の練習試合みたいなものだもの。アタシ達が最初から本気出してやっちゃったら練習にならないでしょ」


 「はぁ?」


 「なんかタマがスイッチ入っちゃったみたいだしそれもおしまい。どうせタマが全員殺しちゃうからさっさと終わらせましょ。アキラ君」


 「は、はい」


 (ずっとめちゃくちゃ本気でやってると思ってたんですが・・・)


 ユニさんはハヤチャにキャンセレーションをかけ、それと同時に俺はメデューサソードを発動する。


 メデューサソードはPLの時と同じようにあたりに緑色のオーラを放ちながらギラギラと輝きだす。


 「何度見てもいいわね。懐かしい。あの頃の記憶が戻ってくるみたい」


 「実際戻ってくるんちゃう。そう言う武器だし」


 こんな状況でのん気な会話をするセイキさんとユニさんを見て、本当にこの人達が本気で戦っていなかった事を実感し、自分がとんでもない人達と一緒に戦っているのだと理解する。


 「大丈夫?」


 一瞬呆然としていた俺はセイキさんの声ではっと気がつく。


 「は、はい!」


 返事をすると俺は目の前のハヤチャに斬りかかる。


 「くっそ・・・やっぱ逃げたほうがよかったじゃん・・・」


 ハヤチャのDEXは大して高くないようで、俺の攻撃は避けられる事なくヒットした。


 (VITが高いのか?もしかしてMAGやINTに多く振って魔法重視の魔法戦士なのか)


 そんな事を考えると同時にメデューサソードからハヤチャの記憶が少し流れ込んでくる。


 その瞬間、この武器のすごさを理解するのと同時に恐ろしくもなった。全然知らない人を殺すのと、知ってしまった人を殺すのとでは全く意味が違う。


 (だけどもう迷わないぞ。あの時やると決めたんだから)


 メデューサソードによって完全に固まっているハヤチャと俺の頭上にユニさんのブリザードが降り注ぐ。パラライズと同様に魔法が当たるとメデューサソードの拘束は解けるらしく、ハヤチャはすぐに逃げようとするが俺はハヤチャをもう一度斬りつけ拘束すると再びユニさんがブリザードを詠唱し、ハヤチャは死亡する。


 「次いこか」


 ユニさんが言うまでもなく俺はムーナに続けて斬りかかる。


 「だる・・・」


 ムーナは慌てて盾で俺の剣を受けるが、当然セイキさんに背後から斬られる。そしてハヤチャの時と同様にユニさんのブリザードでムーナは死亡する。


 そのまま俺はロックオンハートの方へと向かい、ウサチャを殺したタマさんも反対側からロックオンハートに斬りかかる。

 

 「さすがに諦めた?」


 「いいやまだだ」


 ロックオンハートはタマさんの攻撃をバトルハンマーで受け止めるが、俺に背中を向ける。


 (チャンス!)


 そう思って俺がロックオンハートの背中に斬りかかった瞬間、青いマントに包まれた男が突然俺の目の前に現れる。


 「ギリギリセーフ。ってとこでもないな。それにしても君この状況で諦めないなんてどうかしてる。たまたま俺がいたからよかったものの」


 「諦めたら戦えなくなる。俺は最後まで戦うためにできる事をしているだけだ」


 謎の男を包むマントの隙間からメデューサソードの光とよく似た緑色の光が漏れてくる。


 (なんだあれ・・・。だが迷ってる暇はない。こいつからやるしか)


 俺はそのまま謎の男に斬りかかる。


 「アキラ君!そいつに触れちゃダメ!」


 セイキさんの声が届く前に俺のメデューサソードは謎の男の体に当たり、バラバラに砕け散った。

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