ダンジョンへその3
「イヨオォオオオオオオシ!やるぞお前ら。ロックオンハートさん達に僕達の力を見せてやろう」
セルシはクルミをはじめとした仲間の戦士達にバーサクとPFMをかけていき、戦士達はこちらに向かってきた。
「俺はMPきついからセルシ程のサポートはできねえ。レイの弓でなんとかしてくれ」
「わかってるけど、セルシが弓の射程まで近づいてこないのよね。とりあえず前衛に攻撃してちまちま削るわ」
レイは向かってくる戦士達の足に向かってひたすら矢を放つ。
「低レベル狩るの好きじゃないんだけどなぁ」
「嘘つけ。お前ロックにびびってこっち来たんだろ」
「んなことねえよ。うるせえな」
「まあ俺があのセルシとか言うメイジ始末するから、後は任せたぞ」
「へい」
サウルはレイに矢によって足を止めた戦士達を片っ端からエンシェント属性のジャイアントソードで斬って行った。セイキのデーモンスレイヤーと言い、ここまで大きな剣だと斬ると言うよりは殴ると言った方が近いが、刃は確実に敵の体に食い込み、セルシの仲間達は即死していった。
「ここまでよ!」
サウルの前にミクルが立ちはだかる。
「うっわ。こんなかわいい女の子までいんの」
「うるさい!死ね!」
ミクルはサウルに斬りかかるが簡単に受け止められる。
「いやきついわ。俺女の子やるのだけはマジで無理。ミヨシさんよろしこ~」
「俺だってやりたくねえぞ、んな事・・・」
そう言いながらもミヨシはミクルに斬りかかるが避けられる。
「ああ、DEX高め系女子なのね。まあ適当にレイさんと足止めしといてよ。他やるから」
「待て!行かせない!」
バシュ!
ミクルの足にレイの矢が刺さり、サウルを追いかけようとしたミクルは思わず転んでしまう。
「んぐぅ・・・。もう今更だが許してくれ、お嬢ちゃん。俺達も生き残らなきゃなんねえんだ」
「クソ!お前達さえいなければ!いつもいつもあたし達の邪魔をする!」
ミクルが叫ぶ中、カスチンは真っ直ぐにセルシの方へと向かう。
「うわああああああああ来るなああああああああ。誰か僕を守れえええええええ!」
「くっそウケるなお前。小物臭がやべえ」
「うるせェ!!!パラライズ!」
ダメ元でセルシがカスチンにパラライズをかけると、PFMが切れていたカスチンは拘束される。
「は?お前まさかPFMもなしで来たのか?は、はっはハハハハハハはーっはっは!頭悪すぎだろ脳筋戦士がよォオオオオオオオオオオ!PFA!おら!これでお前はずっと拘束されるぞ。ベテランプレイヤーの癖にダセェ!!!なぁにが小物臭だ雑魚が!!」
「はは。お前マジでおもしれえな」
カスチンは武器を弓に切り替え、近くのサイクロプスに向かって矢を放つ。
「は?どこに撃ってんだ?まあ僕に矢を撃とうが僕には盾があるから、パラライズするたびに盾を持てばいいんですけどね~。ざまぁ・・・って。あ・・・」
サイクロプスの雷がカスチンの頭上に落ち、カスチンのパラライズが解ける。パラライズは魔法を受けると解除される。
「ひ、ひぃいいいそんな・・・」
雷を受けながらカスチンはセルシに近づいていく。高いVITを持つカスチンにはサイクロプスの雷は大したダメージにはならない。
「えーっと、なんか言ってたかお前?」
「い、いえ何でもありません。僕がゴミです。小物臭のやばいゴミです」
「やかましい!!」
カスチンがエンシェントバトルアクスでセルシを一思いに叩き斬ろうと振りかざした瞬間。
「ブリザード!」
カスチンの頭上に大量の氷柱が落ちる。
「ひぃ!へ?」
セルシが声の方を振り向くと、ウサチャと呼ばれるメイジがセルシを見てニッコリと笑う。
「いい感じで奇襲できたわ。ありがと」
「は、はひぃいいいい!ありがとうございます!!」
「くっそ・・・いってぇな・・・」
氷柱に刺さって血まみれのカスチンが立ち上がり、ウサチャの方に走る。
「ブリザード!」
しかしブリザードの追加効果により鈍足状態になったカスチンはウサチャにたどり着く前に再びブリザードを食らう。
「ブリザード!」
ウサチャは間髪いれずに再びブリザードを撃つ。大量の氷柱が落ちた衝撃で大量に埃がまいあがり、あたりを包む。
「インビジブル!ほらセルシちゃんも自分にかけて」
「は、はいぃ!」
2人がインビジブルで隠れ、カスチンのいた場所を見ると、カスチンは大量の氷柱の下敷きになって死んでいた。
「よかった。もうMPなかったから今の耐えられてたらどうしようかと思ったわ」
「さすがっす!」
「なんだ今の音は」
ミクルにとどめをさそうとしていたミヨシはウサチャが連続で撃ったブリザードの轟音の方を思わず向く。
「くっ」
一瞬の隙をついてミクルが逃げ出す。が、レイがすかさずミクルの足に矢を放つ。
「よそ見してんじゃないわよ」
「すまねぇ・・・」
ミヨシは謝って再びミクルに止めをさそうとするが、ミクルは足の痛みに耐えながらなんとか立ち上がり、ミヨシの攻撃を避ける。レイの追撃の矢を全身に食らいながらもミクルはふらふらと逃げる。
「うおおおおお!」
ミヨシがふらふらのミクルを背後から思い切り斬りつけようとする。
「キャンセレーション!」
「パラライズ!」
インビジブルから出てきたウサチャとセルシにミヨシは拘束される。
「こらこら。いい年したおじさんがそんな小さな女の子追い掛け回していじめないの!」
「うぐ・・・」
「はっは~!ざまーみろボケ雑魚共が!僕の邪魔をするからだ!」
「こりゃまためんどくさいのが増えたね」
サウルが2人を背後から思い切り斬りつけるがウサチャは回避し、セルシは思い切りサウルの攻撃を受け、サウルのジャイアントソードはセルシの上半身と下半身を切り離した。
「あんぎゃああああああああああああああ」
セルシは情けない叫び声をあげながら絶命する。
ウサチャは自分にPFMをかけなおして体勢を整え、ミクルのほうをちらっと見る。
「形勢逆転だな」
「今回あんたなんもしてないじゃない」
「PFMとバーサクしてただろーが。それだけでもMPきついんだからな」
「ケンカしてる場合じゃないぞ。言っとくが俺は女は殺さないからな。他は全員殺したし、後はがんばれ」
そう言うとサウルはアキラ達の方へ走っていってしまう。
「とりあえずあたし達だけでやるしかないわね」
ウサチャはその隙にミクルにPFMとヒールとバーサクをかける。
「ミクルちゃん。大丈夫?やれそう?」
「あいつらまたセルシ殺した・・・。絶対許さない」
「オーケー。じゃあ仇討たないとね。そのためにまずはここがんばろっか」
「うん。あたしが弓殺す」
「そうね。ありがと」
ミクルはレイへと真っ直ぐ向かう。レイは弓で応戦するがミクルは止まらない。
「どうする」
「どっちにしろあんたの攻撃はこいつに当たらないから、あんたはあっちのメイジやって」
そう言うとレイは盾を出してミクルの攻撃を耐える。
「おう!」
ミヨシはウサチャの方に向かう。
「キャンセレーション!パラ・・・」
「PFM」
ウサチャがパラライズをかけるより先にキリトがPFMをかける。
「そんな、こんな低レベルなのに早すぎる・・・」
「うおおお!」
「ブリザード!」
ウサチャはやむをえずPFMの上からミヨシにブリザードを撃つ
「ぐおおおおお」
まだVITがそれほど高くないミヨシはPFMの上からでも大ダメージを受けるが、キリトがすかさずヒールをする。
鈍足状態のままミヨシは再びウサチャへと向かい、斬りかかる。
「うおおおお!」
だがウサチャは盾を持ちミヨシの攻撃を受ける。
「ふん!ふん!」
ミヨシはひたすらに斬り続けるが、ウサチャに少しずつしかダメージを与えられない。
「ブリザード!」
ウサチャは攻撃を盾で受けた反動で後ろに飛び、盾を外して杖を持つと再びブリザードをミヨシに撃つ。
「どうするのキリト。これ繰り返してたらMAG差でジリ貧で負けるわよ」
「いや、ちょうど時間だ。魅せるぜ暗黒魔法!ブリザアァーーード!!!!!」
「え、ブリザード!?あのレベルで?」
驚くウサチャの頭上に氷柱が大量に落ちてくるが、MAGの差でウサチャにはキリトの魔法がほとんど当たらない。
「そのレベルでブリザードまで取る勇気は認めるけど、MAGが低いと私達みたいな高レベルメイジには当たらないわよ。MPももう残り少ないだろうしこれで終わりね」
「狙ったのはあんたじゃねえよ」
そう言ってキリトがミクルの方を見ると、ミクルはブリザードをもろに食らって即死していた。
「あんた俺達の事を初心者だと思ってなめただろ。だから堂々と俺の見えるところでこいつにPFMをかけた。PFMの効果時間はジャスト1分。俺はそれを待ってただけさ」
キリトはそう言うと自分とレイにPFMをかけなおす。
「・・・!すごい。素直に尊敬するわ。そのレベルでまさかそこまで・・・」
「よくやったわキリト。メイジ1人ならどれだけ強くてもあたしの弓とミヨシでなんとかなる」
「キリトって言うのね。あなた間違いなく天才よ。でも今回は私の勝ち」
「この状況で何言ってんだおばさん」
「ブリザード!」
ウサチャが詠唱するとキリトとレイの頭上に大量の氷柱が落ちる。
「あ、やべ」
「そのレベルでブリザードまで取ってるとなるとVITにはほぼ振ってないよね。更にMAGも低ければ私のブリザードは全弾当たる。だからPFMじゃ防げない」
キリトはウサチャの言うとおり、即死していた。
「だからと言って常にAMPを使えばMPが枯れてしまうものね。あなたは優秀だからブリザード1発を撃つ為のMP管理も考えた上でのPFM。限られたMPの中でいくつ魔法を使えるかをちゃんと計算してる。でもその賢さがあだになっちゃったわね」
ウサチャはレイの方へと歩き、ミヨシはウサチャを追いかける。
「こんなごり押しみたいなやり方で・・・」
「PFA」
何とか耐えたレイは弓を構えてウサチャを撃つがPFAで防がれる。
「あなたはわかってないのね。これは計算なのよ。キリト君がブリザードを私に見せた事によってPFMの上からもブリザードで殺しきれると言う結論が出たの。あなたも少しはキリト君を見習って、頭を使って戦った方がいいわね」
そう言うとウサチャは自分の方に向かってくるミヨシにキャンセレーションとパラライズをかけて動きを止め、レイも同様に拘束した。
「どうして私がわざわざここまで歩いてきたかわかるかしら。こうすれば勝手に2人がまとまってくれるでしょう」
「馬鹿にしてないでさっさと殺しなさいよ!!頭を使うったってこれだけレベル差があって勝てるわけないじゃない」
「そんなに感情的にならないで。そうね。あなたが盾でミクルちゃんの攻撃を防いだりしないで、自分のVITいっぱい分ミクルちゃんの攻撃を受けながら、1度でも弓で私の動きを止めることができていたとしたら、もしかしたら勝てたかもしれないわね」
「そんな事・・・」
「そうよね。痛いのは嫌よね。私も嫌。でも結果的にあなた達は今から痛い思いして死んじゃうんだから。自分を犠牲にしてパーティを勝たせるくらいの動きは考えないといけないわね。これから私はあっちの戦いの加勢に行くわ。これがどう言う事かわかるかしら?もしもあなたがそうやってなりふり構わずに勝ち筋を選んでいたとすれば、あなたのパーティで死ぬのはあなた1人で、私が生き残る事もなかった。でもあなたが自分の痛みを避けたせいで、結果的にパーティは全滅。私は生き残ってあちらの加勢に行き、あっちも不利になる」
「・・・」
「ごめんね。難しいわよね。私もそれくらいのレベルの時はそんな事全く考えずにやってきたわ。でもキリト君みたいに考えられる子もいるんだから、あなた達も少しくらいは考えて動く事ね」
「ぐうの音もでねぇ!」
「突然どうしたのよおっさん・・・」
レイは突然叫んだミヨシに驚き、振り向く。
「こいつの言うとおりだ!俺はいつもキリトとアキラに助けられて、何も考えてねえし、ただがむしゃらに突っ込んでるだけだ!」
「あらあらそちらさんは元気ね。まあ次からがんばりましょう。ではまたね」
ウサチャはニコニコ笑いながらブリザードを詠唱し、レイとミヨシはまとめてブリザードの下敷きになって即死した。




