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ヘルブレス  作者: htsan
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神様の作り方その2

 「ここまでで何か質問あるかしら?」


 「はい、3つほど・・・。まず1つは簡単に神様になるって言ってもどうやってなったのか。2つ目は、神様は最初会った時に、人間の記憶の容量が多すぎて世界がパンクするからと言った理由でこちらの世界を作り、人の存在を消す事でその危機を回避すると言っていました。そしてここでの話をまとめると、そのパンクする世界と言うのはメデューサソードだと言う事になります。しかしメデューサソードに宿る記憶は消えないのだから、人の存在を消したところでメデューサソードの破壊は防げないのではないか。3つ目は、メデューサソードの所持者としての神様であるカルマさんが既に存在しているのにも関わらず、俺の元にメデューサソードが発現した事です」


 「意外とズケズケ聞いてくるねぇ」


 「うんうん。正確にいいところを突いてきてる。つまり大体の話は把握できてるって事ね」


 「まぁ・・・この3点が肝心な気がしますが」


 「そうね、じゃあまず1つ目から。アタシ達もカルマが神様になる直前に聞いただけの話なんだけど、要するに剣が教えてくれるのよ。そして剣の全ての情報を受け取り、神様になる覚悟さえできればその瞬間にその剣が所持者を世界の支配者にする」


 「じゃあ俺もなろうと思えば今すぐになると言う事でしょうか?」


 「それは違うと思うわ。カルマも最初のうちは神様の事なんてさっぱりわからないみたいだったもの。発動を繰り返すうちに剣の情報が流れてくるんじゃないかしら。あと神様になる時に膨大な量の情報を受け取るわけだから、神様になったらもう元の自分には戻れないと思った方がいいわ。神様になったカルマはアタシ達の知っているカルマとは違うの。人間なんて元々は空っぽの袋が思考しているだけだものね。入る情報によって別人になるのよ」


 「ああなるほど。最初に会った神様と話しに聞くカルマさんの違和感が少し解消しました」


 「そんじゃ2つ目は僕が答えよう。とは言ってもここから先はカルマがメデューサソードから得た記憶を元に立てた仮説でしかないんだけどね。セイキがさっき最初にメデューサソードを発動させたのはエルバインの戦士だと言ったよね?とすればこの世界の始まりの神は彼だと思うのが普通なんだけど、彼はただの普通のプレイヤーだったんだ。彼は特に神になる事もなく僕達によって倒されて普通にメデューサソードごと消えてしまった」


 「この剣を持った人でも負けるんですね・・・」


 「ぶっちゃけその武器はこの世界の戦争においてアキラ君が過信できるほど強くはない。発動時間1分に対してクールタイム30分のリスクは大きい。更に言えばそんな武器を持っていたらどうしても仲間に戦争に駆り出される。つまり死ぬリスクも増えるって事だね」


 「確かにそうですね」


 「それで話を戻そうか。彼が始まりでないのだとしたら最初の神様は誰だったのか、そもそもこの世界の始まりは、この世界のルールを作ったのは誰なのか。結論から言うと、この世界以前にも同じような世界があって、その世界の記憶は丸ごと全部メデューサソードから消されてしまったのではないかと僕は考えている」


 「なるほど。既に何度も同じように別の世界で戦争が起きていて、負けた国の人は消され、勝った国の人は現世に戻る。そしてメデューサソードからはその戦争の記憶が全て消え、リセットされた状態で今この俺達が今いる世界に再び発現したと言う事ですね」


 「そう言う事。とは言ってもそれがメデューサソード自身が意思を持っている事によるものか、神様よりも更に上、そもそものこのシステムを作った創造主がいて、そいつによるものなのかはわからない」


 「そもそもこの宇宙がそう言うシステムの下で成り立っているのかもしれないわね。メデューサソードはそれを遂行するための概念って事」


 「確かにそれなら一定数の情報を処理し続ける事は可能ですね。俺達からしたらたまったもんじゃないですけど」


 「宇宙が消えるよりはいいんじゃない?それにそれを繰り返していけばある程度優秀な人間だけが残っていくわけだし」


 「そうですが・・・。それで3つ目はどうなんでしょう」


 「それはさっきも言ったけど僕達にも理由はわからない。そもそも本当にこの世界にまた発現するのかどうかも全くわからなかったしね。神様に情報を全て渡した時点で神様にとってはメデューサソードなんて不要だから、カルマはもう所持していないのかもしれない。それならメデューサソードが1本しか存在しないとしてもアキラ君に発現するのは不思議ではないんだけど」


 「これは2つ目の仮説が正しかった場合の更なる仮説にすぎないのだけれど、何らかの理由でメデューサソードはカルマに代わる神様を必要としたか、この世界もリセットされる日が近いのか。こんなところなんだけど、正直これ自体も答えになってないわね」


 「ではなぜセイキさんは俺を特別視し、俺に錆びた剣を渡したんですか?メデューサソードが再び発現するなんて事全く予想していなかったのならば少し不自然な気がします」


 「もうそろそろこの戦争が終わってしまうからよ。しかもアレスデンの負けって言う最悪の結果で」


 「ええぇ、俺達まだ始めたばっかりなのにそんな・・・」


 「仕方ないさ。この世界には戦争が終わるまでひたすら人が送り込まれてくる。アキラ君達が終わりの方に来る事があってもおかしくはない」


 「それに前にも話したけれど、この世界に送られてくる人はアレスデンもエルバインも常に2人ずつ。つまり一度ついた人数差はなかなか縮まらないのよ。そして既に人数差は圧倒的な程に開いていて、この人数差を覆す事はほぼ不可能に近いわ。エルバインからしたらずっと安全地帯に引きこもって、圧倒的に有利なクルセードだけ参加していればいずれ勝てるのよね」


 「クルセード・・・確か前のクルセードもアレスデンが負けていましたね」


 「そうよ。クルセードにおいて人数差は致命的。現状アレスデンがクルセードでエルバインに勝てる見込みはほぼないわ」


 「だから僕達は賭けたんだ。もうこの絶望的状況をひっくり返せるとしたらメデューサソードの存在くらいだ」


 「そう。だからアタシ達は探したの。メデューサソードを発現させられそうなプレイヤーを」


 「それが俺だったんですね」


 「まあ僕は絶対違うと思ったけどね。そもそもそんな都合のいい話なんて起きるわけないって思ってたし。完全に諦めてはいたけど、もう他にどうにもできないからセイキの勘を信じるしかなかったのさ」


 「それがビンゴだったってわけ。アタシも我ながら驚いているわ。まさか本当にアキラ君が、しかもこんなに早くメデューサソードを発現させるなんて」


 「なるほど・・・。まさか自分がこんなに早くこの戦争の核心に巻き込まれるとは思いませんでしたが・・・」


 「と言うわけでアキラ君達にはこれから僕達のギルドに入ってもらって、急いで力をつけてもらう。そしてクルセードにももちろん主力として参加して欲しい」


 「その状況じゃ従うしかないですね。俺達も勝たないと消えるわけですし。ただ1つ条件があります」


 「なぁに?」


 「タマさんはレイさんに謝ってください」


 「はぁ?」


 「さっきのやり取りでレイさんに落ち度はないです。突然あんな態度で割って入ってこられたら誰でも怒りますよ。それであんな仕打ちをする人間と俺は一緒に組む事なんてできません」


 「そうね。さっきのは全面的にタマが悪いわ」


 「くそ~むかつくなぁなんか。俺自分よりも弱い奴に調子乗られるの一番むかつくんだよね」


 タマさんは無表情で俺を睨む。


 「今は俺にもタマさんに負けない力があります」


 俺は汗が少しにじんだ手で無意識にメデューサソードを強く握る。


 「わかったわかった。後がないのは僕も一緒だ。謝るよ」


 「よかったよかった。これでアタシ達仲間ね。一緒にがんばりましょ」


 セイキさんがニコっと笑う。


 案外すんなりとタマさんが引いてくれた事でほっとした俺は、一気に力が抜け椅子から崩れ落ちる。


 「ちょっと大丈夫?」


 「はい。すみません少し力が抜けてしまって・・・。もう戻っても大丈夫ですか?みんなにも説明しないと」


 「そうね。ほら立てる?」


 俺はセイキさんの手をつかんで立ち上がり、2人と部屋を出た。

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