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ヘルブレス  作者: htsan
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市民登録その1

 「じゃ、さっさとレベル上げるわよ」


 ゆっくり休んだ俺達はレイさんの掛け声とともに訓練所へと再び向かった。


 俺達はセルシをはじめ、エルバインの襲撃を警戒しながら以前と同じように狩りをしていたが、特にエルバインの襲撃はなく、俺達は順調にレベルを上げ、あっさりレベル60になった。


 「なんか拍子抜けね」


 レイはつまらなさそうにする。


 「俺達はまだレベル低いんですから、何もないのが一番じゃないですか・・・」


 「なんにしろ、これで俺達も訓練所卒業って事だな」


 ミヨシさんはそう言って満足そうに微笑む。


 「そうですね。とりあえずまずはハヤトさん達が言ってたように、市民登録ってのをしに行きますか」


 そして俺達は、俺達が最初にこの村に飛ばされた場所へと向かった。


 「ここから新しい町に行けるんだな」


 ミヨシさんが近くにあるポータルを指差す。


 「ハヤトさん達の話だとそうみたいですね」


 「ほんとにちゃんと飛ばされるのかな。怖いからアキラ先に見てきてよ」


 レイさんは本気で不安そうな顔をする。


 「別にいいですけど・・・。俺が飛んだ後、俺が安全だったかどうか確かめる術がないと思うんですけど・・・」


 「あたし達の記憶からアキラが消えてなかったら大丈夫って事でしょ?」


 レイさんは普通の表情に戻り、とんでもない事を平然と言う。


 (死ぬ可能性まで考えて先に行かせようとしてるのかよ!)


 俺は無意識にレイさんを睨む。


 「あはは。冗談だってば。あたし達にとって大事な一歩だしね。みんなで一緒に行こう」


 無邪気にはしゃぐレイさんを見て、少し本気で怒っていた俺は恥ずかしくなる。


 「じゃあ。せーので行きますか」


 「くくっ。いい年してせーのってなんだよ」


 キリトが茶化す。


 「いいじゃない。せーので行こう。あんたもよ」


 そう言ってレイさんはキリトの手を引く。


 「せーの!」


 と、掛け声と共にポータルに踏み込んだ俺達の目の前には、大量の隕石が降り注いでいた。


 「は、え?なにこれ?」


 意味不明な光景を前に俺達は呆気に取られる。


 「ちょっと!これ何よ!やっぱりアキラ先に行かせとくんだったーーー!!」


 この人・・・。


 「まあ落ち着け。どうやら俺達にダメージはないらしい」


 ミヨシさんが急に頼りになる。チュートリアルの時の頼もしいミヨシさんが帰ってきて俺はほっとする。


 俺が感動していると、隕石は降り止み、システムコマンドに突然テロップが出てくる。


 『あなた達の国はクルセードに敗北しました。アレスデンの国民のEKCが全員-1されます』


 「は?ちょ、嘘でしょ!?このタイミングで戦争してたの?しかも負けてるし!あたし達の門出どうしてくれるのよ!」


 再び呆気に取られる男達をよそに、レイさんは1人でキレる。


 「まぁ・・・週に1回戦争してるって言ってたし、今日がその日だったとしてもおかしくはないですけど・・・」


 「そ・れ・に・してもよ!空気読めって感じよね。EKも減るし、大事な一歩とか言ってたあたしの立場どうなんのよ~。あーむかつく」


 そんな事言ってもあの神様達からしたら俺達の都合なんてどうでもいい事だろう。


 「まぁ、とにかく今そんな事ぐだぐだ言っててもしょうがねえし、さっさと市民登録ってのしに行こうぜ」


 キリトが冷静に場を収める。場とは言っても荒れていたのはレイさんだけだったが。


 (あれ?こいつこんなまともな奴だったっけ。)


 あたりを見回してみると、たくさんの建物が並んでいたが、雰囲気はさっきまでいた村と同じ、いかにも中世西洋って感じの町並みだった。


 さっきまで降り注いでいた隕石の影響か、ところどころの建物から火が上がったりしているが、あれだけの事が起きていた割には大した被害は出ていない。さすがゲームの世界だと言う事か。


 「あれ、そう言えばどこで市民登録するんだっけ?」


 「あっ」


 俺は、とりあえずこの町に来たらなんとかなるだろうと甘い考えでいた。


 「『あっ』じゃないわよ。どうすんのよ!」


 レイさんは腰に手をあてて俺を睨み、いかにも怒ったと言うポーズを取る。


 この人は感情がコロコロ変わったり、思ってもない事を本当に思っているように見せてきたりするから、こんな風にわざとらしく感情をあらわにされると、本当に怒っているのかなとか疑問に思ったりする。ようは心の底では何を考えているのか正直よくわからない。

 

 「いや、どう考えてもあの目の前のクソでかい建物じゃね?」


 キリトの言葉でどうでもいい事を考えていた俺は我に帰る。


 キリトが指差す方向には確かに。いかにもと言った、白くてでかい建物が広い入り口をこちらに向けてそびえ立っていた。


 「うむ・・・俺はこう言う外国の建物とかはよくわからんが、これはいかにも市役所って感じだな」


 ミヨシさんは感心するように、腕を組みながらその建物を見上げる。


 「何よ。ちゃんとわかりやすいとこにあるんじゃない」


 レイさんはニコニコ笑いながら、うれしそうに建物のほうに歩き出す。


 「待ってください。戦争が終わったばかりなら、エルバインが侵入してきていてもおかしくありません。慎重に行きましょう」


 そう言うと俺とキリトは4人にインビジブルをかける。


 「それじゃ行きましょうか」

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