レベル上げその2
「結構狩ったわね」
レイさんはいい汗をかいたと言う風に涼しい顔をしながら言う。
「はい・・・」
スライムの返り血?と言うかスライムの一部が飛び散りまくってべちょべちょになった俺はげんなりしながら答える。
「ぷ、プスー。ぷっぷ」
キリトが俺を見て笑いを堪える。
「ぷっ。こら、あんた。笑わないのっぷ、プスゥー」
レイさんもキリトを諭しながら笑いを堪える。キレそうだ。
「わっはっは。これぞ男って奴だな!アキラ!男はこうでなくちゃ!」
ミヨシさんは俺と同じようにスライムでべちょべちょなのになぜかうれしそうだ。
何言ってんだこの人は・・・。
「俺も遠距離職にすればよかった」
「ほらほら。弱音吐かない。男でしょ」
レイさんはニヤニヤしながら言う。
「はい・・・」
そう言って俺はレイさんとキリトの方に近づく。
「ちょっと待って!」
レイさんは突然俺を制止する。
「これ以上近づかないで」
疲労のせいか、さすがに堪忍袋の緒が切れた俺は、べちょべちょのままレイさんに飛び掛る。
「うおおおお」
「ちょ、待って、いやぁああああ」
俺に押し倒されたレイさんは、悲鳴を上げながら倒れた。
「いやぁ・・・べちょべちょじゃない・・・。最悪・・・」
俺の下敷きになったレイさんは聞いたことのない色っぽい声を出す。
「え、は!ごめんなさい!」
レイさんの声で冷静になった俺はあわててレイさんから離れる。
一瞬理性がなくなったとは言え、女の人を自分から押し倒してしまった。なんて事をしたんだ俺は・・・。死にたい・・・。消えてしまいたい・・・。
「もう・・・。アキラのエッチ」
スライムでべちょべちょになったレイさんは、童貞の俺達を殺しかねないレベルのエロい姿でエロい事を言う。
「す、すすみません」
言いながら俺は唾を飲み込む。
ミヨシさんとキリトもレイさんを見て、目を見開き、口を真一文字に閉じて立ちすくんでる。
「ちょっと、童貞からかってるのに、おっさんまで何固まってんのよ」
レイさんはすぐにいつもの調子に戻って立ち上がる。
「あ、ああすまん。いや、男はいくつになっても男だからな・・・」
「何言ってんのよ」
レイさんはそう言ってミヨシさんのお尻を蹴る。
「よ、よぉおーし!ある程度レベル上がったし!次の狩場行くぞ!」
上ずった声でキリトが場を仕切ろうとする。
「あほ。まずは風呂よ。こんなんで狩りなんかできるかっつーの。あー気持ち悪い」
「すみません・・・」
俺はひたすら謝る。
「いいわよ別に。んな事気にしないっつーの」
そう言ってレイさんは笑う。
「いや、気にするわ。あたしをべちょべちょにした罪は重いわよ」
レイさんは急に真顔になる。
「はい・・・」
「早く行こうぜ。変態痴漢童貞」
キリトが俺への新しい悪口を思いついたのか、うれしそうに言ってくるが、俺は何も言い返せない。
何はともあれ、俺達は風呂に入ってきれいになってから、再び次の狩場を目指した。
次の狩場には2メートル程の首が2又に分かれた不気味な蛇がうじゃうじゃと沸いていた。
「なんでこの世界こんな気持ち悪い生物ばっかなの・・・」
俺は女みたいに嘆く。
「いいからさっさと狩る」
レイさんに言われると逆らえない俺は渋々勇気を出して蛇を切りつける。
蛇をある程度狩ると、次の装備をつけられるステータスになったので、武具屋で新しい装備を買う。モンスターからはお金も出るので、装備を買うお金には困らなかった。
新しい装備をつけ、俺達は次の狩場に行く。次は1メートル程のでかいサソリだ。これも十分気持ち悪かったが、さすがに慣れてきた俺は特に問題なくサソリを狩っていった。
サソリを1時間程狩ると、俺達はレベル40になっていた。
「ふぅー。案外早かったわね。楽勝じゃん」
そう言うとレイさんは額の汗をぬぐう。
「俺は20年分くらい精神すり減りましたけどね・・・」
俺は座り込む。
「はっは。情けないな童貞変態痴漢。俺は楽すぎて寝るところだったぞ」
順番適当かよ。つかそれだと語呂悪すぎないか?
「あんたはバーサク覚えてからあたし達にバーサクかけて座ってるだけだったからね。そりゃ楽でしょうよ」
「はは。まぁMPきつそうだし、仕方ないですよ」
実際バーサク3人分の消費MPは馬鹿にならない。
「そう言う事だ」
キリトは偉そうに言う。
「それにしてもすごいな。このバーサクと言う魔法は。まるで攻撃力が2倍になったみたいだ。さくさく敵が死んでいくぞ」
ミヨシさんが感動して言う。
「まぁ・・・そう言う魔法だから・・・」
レイさんは呆れる。
「それじゃ装備整えて、行きますか。訓練所」
俺はそう言うと気合を入れて立ち上がる。
「えぇ・・・。今日このまま行くのかよ。だりい」
キリトが文句を言う。
「当たり前でしょ。さっさとしないと、他の奴がセルシやっちゃうかもしれないじゃない」
「それはそれでいいのでは・・・」
「よくない!」
「はい!」
ぼそっと言った俺の独り言をレイさんは聞き逃さなかった。
ともあれ、俺達は装備を整え、再び訓練所へと向かった。




