レベル上げその1
雑貨屋を出た俺達は狩場へと向かう。
「ここから北東に少し行くと、スライムがいるみたいです。まずはこいつですね」
地図を見ながら俺は3人を案内する。
「スライムか。それなら俺も知ってるぞ」
ミヨシさんはうれしそうに言う。
「なんかいかにもRPGの最初って感じだな」
そう言ってキリトは欠伸をする。
「甘く見てたらスライムでもあんた死ぬわよ。雑魚なんだから」
「さすがにスライム程度で死なねえよ。馬鹿にすんなおば・・・」
「ん?」
レイさんがキリトを睨み付ける。
「お姉・・・さん」
「うんうん」
レイさんは満足気にうなずく。
「着きましたよ」
そうこうしているうちに俺達は狩場に着いた。
狩場には直径1メートル程の透明なジェルのような生物が大量にいて、それぞれがうようよと地面をゆっくりと這っていた。
「うわ、気持ちわる・・・」
レイさんがすぐに声をあげた。
確かにスライムと聞いて、某RPGのようなかわいい物を想像していたが・・・。まあ実際のスライムって言葉的にはこっちのほうが近いのだろう。
「ちょっとどれくらいの強さかわからないので、遠隔のレイさんとキリトから攻撃してもらっていいですか?」
「はいはいっと」
そう言うとレイさんはスライムに向かって矢を放つ。
「マジックミサイル」
続いてやる気なさそうにキリトも魔法を撃つ。
「あれ、あんたいつもみたいに派手なセリフつけたりしないの?」
「こんなクソ雑魚魔法じゃテンションあがんねーよ。さっさと強い魔法覚えてぇ」
2人が2回ずつ程攻撃すると、スライムはシュウゥ・・・と言った音を出して小さくなって消えた。
その瞬間、レイさんとキリトからぱっと光が出る。
「お、レベル上がった。祝!2レベル!」
レイさんはガッツポーズをする。
「はは・・・。2レベルでそんな喜ばないでくださいよ」
「馬鹿ね。記念すべきはじめの一歩よ」
「まぁ確かに。そう言えば俺とミヨシさんには経験値入らないんですね」
「だってパーティー組んでないし」
レイさんは当たり前の事のように言う。
「あれ、パーティーとかあるんですか?」
「そりゃあるわよ。ゲームだし。コマンド出したらここに」
「あ、ほんとだ」
レイさんが指すところを見ると、装備コマンドの横にパーティーと書かれたコマンドがあった。
何でこんな事確かめなかったんだろう・・・。注意力足りねえな俺。
「パーティー作成を押して、近くのメンバーからアキラとキリトとミヨシを選んでっと」
レイさんがそう言うと自分の頭に矢印が浮かんだ。矢印はレイさんを指している。
ミヨシさんとキリトの頭にも矢印が出ており、それぞれレイさんを指していた。
「どうやらその矢印はパーティーリーダーの方向を指すみたいね」
レイさんの頭には王冠のマークが浮いている。
「マークの横にある棒線はなんだ?」
ミヨシさんが自分の頭の上の線を指して言う。
「多分HPバーとMPバーじゃないかしら。パーティーを組んだら味方のHPとMPが可視化されるみたいね」
「可視化・・・」
キリトが呟く。
「見えるようになるって事」
レイさんが可視化の意味を説明してやる。
「わ、わかってるよ」
「じゃあこの状態でもう1匹狩ってもらっていいですか?」
「はいよ」
そう言ってレイさんが1匹狩ると、俺とミヨシさんもレベルが上がった。
「おお!上がった。じゃあこの調子でどんどん頼みます!」
「何言ってるのよ。あんた達も狩りなさいよ」
「あ、はい」
そして俺は勇気を出してスライムに近づく。
正直近くで見ると、遠くで見るよりずっと気持ち悪い・・・。切った衝撃で飛んできたりしたらどうしよう。
「何もじもじしてんのよ。おっさんを見てみなさい」
ミヨシさんは何も気にせずスライムをひたすら切りまくっていた。と言うか、スライムは高さがほとんどないため、剣を叩きつけていると言った方が正しい表現かもしれない。
「よ、よし。行くぞ!」
「せぇい!」
掛け声をあげると、俺はミヨシさんと同じようにスライムに剣を叩きつけた。
当たり前のようにスライムは飛び散って俺の顔に飛散した。




