訓練所へ
倉庫を出て少し南へ向かうと訓練所だ。俺達4人は倉庫を出るとまっすぐ訓練所を目指した。
「ところで2人はどんなステータスにするんですか?」
チュートリアルの事も聞きたかったが、とりあえず仲間として一番大事な情報を俺は聞く事にした。
「あたしは弓使いになるつもり。だから一番強い弓を持てるところまでSTR振ったら、後はDEX振りかなぁ。余ったらVITにも振っていくつもりだよ」
レイさんが慣れた様子でゲーム内の用語を使って答える。
「おお。なるほどそう言うのもありましたね」
「うんうん。あたしも結構現世ではネットゲームとかしてたから、いつも弓キャラばっかやってたんだ。だからこれしかないって思って」
「ほんとですか?それはめっちゃ心強いです。俺だけじゃさすがにしんどいなと思っていたので」
俺は思わず喜びを漏らす。
「悪かったな。役立たずで」
ミヨシさんが少しすねて言う。
「そんなに気になるのなら俺のステータスも教えてやろう」
聞いてもないのに突然キリトが話始める。
「俺はINTMAG極振りの純メイジだ。我が闇の究極魔法でエルバインを滅ぼす」
「最上位魔法に闇の魔法なんてなかったと思うけどね」
さらっとレイさんが突っ込む。
「メイジってなんだ?」
ミヨシさんが不思議そうに聞く。
「多分魔法使いの事だと思います」
「ふっ。ミヨシ。さては貴様素人だな?精精俺の足を引っ張らないようにしてくれよ。俺は仲間に足を引っ張られるのが何よりも嫌いなんだ」
「ぬぅ・・・」
またミヨシさんは黙ってしまう。
あ、でもこいつが純メイジにするって事は俺はメイジをしなくてもいいって事か。それは結構うれしいぞ。
「で、2人はどうするの?」
レイさんが聞き返す。
「ミヨシさんは純戦士で・・・俺はメイジにしようと思ってたんですけど、キリト君がいるならサポート系魔法も使える戦士で行こうかと」
「なるほどね。うん。いいんじゃない。バランスも良さそう」
レイさんはうれしそうにうなずく。
「ところで2人のチュートリアルはどんな感じだったんですか?」
俺達と同じように仲間が消えたとかだとさすがに暗い空気になりそうだが、俺は自分達の事を何か知る事ができるかもしれないと思い、勇気を出して聞いてみる。
「あーあたし達は余裕だったよ。圧勝。相手は何も知らない素人だったみたいだしね」
「ふっ。あれではさすがにチュートリアルにもならなかったがな。我が黒魔術をもってすれば致し方ない事よ・・・」
「いや、あんたあたしにバーサクとAMPかけてただけじゃない」
あっさりとした返答に俺は拍子抜けする。
「レイさん達はチュートリアルも弓とメイジで行ったんですか?」
「そうよ。あたしはさっき言った通り、DEX200のSTRは弓を最低限もてるまで、後はVITね。相手がDEX低かったから、バーサクとAMPもらってチュンチュン逃げ撃ちしてたら相手は何もできずに死んで行ったわ。消えた人はかわいそうだけどね。でも記憶にもないし、あたし達はあんまり絡んでなかっただろうから正直あんまり気にはならないわ」
レイさんは涼しげに言う。
俺達があれだけ苦しんだ事も、タクマ達からしたらこの程度の感覚なのか。
「バーサクってなんだ?」
ミヨシさんが聞く。
「おっさん純戦士なんだからそれくらい知っておきなさいよ。通常攻撃のダメージが2倍になるサポート魔法よ。キリトにいずれいやって程かけてもらえるわよ」
「ほほぅ・・・」
ミヨシさんは年下の女にここまで言われているのにも関わらず、素直に頷く。
「あー、そうか。キリト君だけで3人分バーサクかけるのはしんどいし、俺はバーサクまで取ろうかな」
「マジックポイントがきついからMAGにも多少振る必要が出てくるけど、その分STR低めにすればいいし、アキラが器用に立ち回る自信あるならそれもいいんじゃない?」
「俺もできれば闇の攻撃魔法で相手を嬲り殺したいものだからな・・・。サポートはなるべく最低限にとどめたいものだ。その方が助かるかもしれん」
キリトももっともらしく同意する。
今までは俺1人で何でも引っ張ってきたから、こんな風にゲーム内の事をちゃんと話し合える仲間がいるのはとても頼もしい。何より元々ゲームが好きな性質だから、ゲーム内の話をするのは楽しい。
「いやー。レイさん達に出会えてよかったな。正直もう不安しかなかったけど、なんかやっていけそうな気がしてくる」
俺は安堵からか、本心を思わずこぼす。
「何よいきなり改まって。まだあたし達レベル1なのよ?そんな事言ってないでさっさとレベル上げようよ」
レイさんがそう答えるとちょうど、俺達は訓練所の前に着いた。




