ジェイド
王の執務室にて、クラウスは隣国ナダーシャから戻ってきた息子、ヨシュアからの報告書を読み上げている。
「ーーー以上が、ナダーシャの報告です」
報告を聞いた竜王はこめかみに指を当て、至極面倒くさそうに溜め息を吐いた。
「どうやら戦争は避けられないか……。
全く面倒な事だ。フィンには迎え撃つ為の準備を進めるように言っておいてくれ」
「かしこまりました」
「それで、ヨシュアはどうした?」
「報告書を渡したら直ぐにアゲット殿からの命令の、例の女性を探しに出掛けましたよ。
しかし、王都でそれらしき女性は見つけられなかったと報告がありました。
破落戸は見つけたようですが、その者達も翌日に再び女性と偶然遭遇し追い掛けたが見失ったと言っていたようです。
その後の消息は不明です」
「ヨシュアでも見つけられていないのか?」
少し驚くように竜王は問いかける。
特別風の精霊に好かれる魔力の波長を持つヨシュアには、王都程の広さを見渡せる広い目を持っていた。
風の力を使い、ヨシュアには王都のどこで猫が何匹子供を産んだとか、八百屋の夫婦が喧嘩していた内容も知ることが出来る。
だが、そのヨシュアが見つけられない。
「不思議な事に王都を出た様子もなく、精霊を使い王都中を探しても王都には見当たらないとのことです」
僅かに思案した後、竜王の瞳に鋭い光が宿る。
「連れ去られたか」
「その可能性が高いかと」
王都は世界的にも大規模な港町としても知られている。
王都には取引の為には多くの商船が訪れ、また霊王国や帝国へ向かう船の補給地ともなっている。
竜王国では奴隷の禁止及び、奴隷商船の停泊も禁止しているが、それでも目が届かないこともある。
奴隷商人に連れ去られるという事件が絶えない。
勿論国として対策を講じるが、奴隷商人も手を変え品を変え連れ去り、その対策をまたする。といういたちごっこが繰り返されているのが現状だ。
奴隷商人には亜人もおり、亜人と違い非力な人間、しかも女性となれば容易く誘拐されるだろう。
「ヨシュアは捜索範囲を王都の外に広げているようです。
見つかるかどうかは……」
「そうか、誘拐されたなら見つけてやりたいが、他国に連れて行かれたなら難しいかもしれんな」
クラウスは竜王の顔色を窺うように見るが、眉を寄せているもののいたって普通の反応だ。
これには拍子抜けする。
珍しく………いや、初めて好意を見せた相手が誘拐されたかもしれないにしては非常に淡白な反応だ。
クラウスとしてはもう少し過剰に動揺するかと思ったが、竜王の反応は王として民を案じているだけにしか見えない。
「ヨシュアには暫くそちらの調査をしてもらおう。
他にも誘拐されたものがいるかもしれないからな」
「はい」
話が終わると、竜王は机の引き出しからある物を取り出し立ち上がった。
「少し休憩してくる」
「………ごゆっくりどうぞ」
何処に行くのかなどと聞くような事はしない。
その手に持つ物を見れば、竜王が何処に行こうとしているかは一目瞭然だった。
竜王が退出した執務室では、クラウスが一人頭を抱えていた。
漸く異性に興味を示したかと臣下一同安堵したが、今日ヨシュアの報告があるまでに竜王から例の女性についての話が出たことはない。
それというのも、現在竜王は別のものにご執心というのが理由だろう。
よほど波長が合っているのか、暇を見つけては会いに行っている。
魔力の強い竜族故、魔力の波長が合う者への影響も強く出るので、仕方が無いのかもしれないが、確実に竜王の婚期は遠ざかったなとクラウスは思った。
今アゲットが必死になって例の女性を探させているようだが、無駄に終わりそうだ。
***
瑠璃が城で暮らすようになって、これまでの自給自足の生活から一変した生活を送っている。
小さな部屋を一つ貸して貰えれば僥倖かと思っていた瑠璃だが、与えられたのは竜王の自室から目と鼻の先の広く豪華な部屋。
人間の姿でも広すぎる部屋を、猫一匹が無償で借りるのは大いに気が引けたが、元々その部屋は愛し子の為に用意されている部屋だとかで、瑠璃の警護の為にも竜王の近くの部屋を使ってもらう方が良いと説得された。
その上侍女も付けられ至れり尽くせり。
そんな瑠璃は急ぎアゲットから常識を学んでいるところだ。
それというのも、瑠璃が暮らし始めて僅かしか経っていないのに、既に瑠璃に突っかかる馬鹿が現れ、精霊達の制裁を受けてしまったのだ。
そして今日瑠璃は、アゲットから愛し子について話を聞いている。
ちなみに髭を結ぶ今日のリボンは黄色のチェックだ。
「愛し子は現在、ルリを入れて五人の愛し子が存在しており、全員どこかの国に保護されておる」
『思ったより多いんですね』
「おおやけにされているのはその内、霊王国と獣王国の二人の愛し子だけだ。
何せ愛し子はどの国も欲しがる人材なので、愛し子を守りきる自信が無い国は、おおやけには出さず秘匿しようとするのだ」
『でも愛し子には手が出せないでしょう?』
瑠璃に危険が及ぶと、わらわらと集まってきて守ろうとする精霊達を知る瑠璃は疑問に思った。
「それが分からない愚か者達もおる。
顕著なのが人間の治める国でな、精霊が見えない者が多く、危険性を今一分かっておらんのだ」
ここでもまた、人間へと不快感を顕わにする者の存在に、瑠璃は居たたまれなくなる。
ここは思い切って聞いてみる。
『アゲットさんは人間が嫌いなんですか?』
「そんなことはないぞ、人間の多くは無害で平和を望む者達だ。
だが、人間は亜人に比べると力に溺れやすい傾向にある。
寿命の短い人間と違い竜族は寿命が長く、人間には歴史の中の話となってしまった事も私は実体験として覚えておるから、少々とげのある言い方になってしまっているかもしれんが」
そう言ってアゲットは過去の愛し子について話をした。
「他の者達が精霊には逆らえない事を良いことに傲岸不遜な振る舞い。
それでも愛し子なので逆らえず、言うとおりにしていたら更に増長するとか。
己の力を過信し、他国に戦争を仕掛けるとか。
まあ、その時は相手国にその者以上の愛し子がいたので、愚かな愛し子諸共国が消されたがの」
全ての人間の愛し子がそうであったわけではなく、亜人の中にも我が儘放題の愛し子もいた事もあるが、人間の方が明らかに多いらしい。
それはそもそも人間が精霊を見える者が少なく、精霊の力ではなくその愛し子自身の力だと見えてしまい、必要以上に持ち上げてしまうことも理由にあるようだ。
「それらはほんの一部だという事も知っておる。
だから、嫌いとかではなく、警戒していると言う方が正しいかもしれん」
なるほどと、瑠璃は納得した。
そういう過去があれば、クラウスの「人間でなくて良かった」という言葉も肯ける。
ただ、まだ人間であるとは言い出せないが……。
「我が儘放題の愛し子もいるが、それとは逆に愛し子としての責任感を強く持つ者もおる。
責任を感じるあまり我慢をし続け、ある日突然爆発して、国を潰しかけた例とかな」
『それ怖っ』
「主張してくれれば対処のしようがあるが、隠されると対処のしようが無い。
自己主張が激しいのも困りものだが、無いのもまた困る。
だから何か不満があれば直ぐに言ってくれ。
ルリは分別があるから、どちらかというと後者の懸念の方が大きそうだ」
『分かりました』
今日の授業はそこで終わり、瑠璃は城内にある庭園に来ていた。
天高くそびえる岩山に、いくつもの建物が螺旋階段のように点在している。
一般的にはそれらを総じて城と呼ばれるが、竜王が住まうのはその岩山の頂上にある雲より高い場所に立つ建物で、城で働く者にとっての王城とはその竜王が住まう建物のことを言う。
その王城にある庭園は瑠璃のお気に入りの場所だ。
柵の向こうは断崖絶壁で、覗けばくらりとしてしまうほどの高さがあるが、空を飛べる瑠璃に恐怖は無い。
城で働く人の休憩場所はここより下の建物にあるので、王の住まう場所で暇を潰すような者は無く、愛し子と言う事で何処へ行くにも注目を集めてしまう瑠璃だが、ここでは人目を気にせずゆっくり出来る。
雲より高い庭園で日なたぼっこをしていると、そこへ竜王が現れた。
その手に持っている物を目にした瑠璃の目は自然と冷たいものになる。
『最初に言っておきますけど、遊びませんからね』
「何故だ、折角作ったのに」
作られたかのような美しい顔に悲愴感を浮かべ、ショックを隠しきれない竜王。
その手には竜王お手製の猫じゃらし。
竜王の努力は買おう。
だが生憎瑠璃は猫の姿をしているだけで猫ではない。
竜王が諦めきれず瑠璃の目の前で猫じゃらしを左右に振ろうと、瑠璃の本能が刺激されるようなことは全く無い。
反応を示さずふいっと顔を背ける瑠璃に、竜王は眉を寄せる。
「猫は猫じゃらしが好きなものだろう?」
『私普通の猫じゃないので』
「…………」
訴え掛けるようにひたすら瑠璃をじいーっと見つめる竜王だが、何と言われようと猫じゃらしにじゃれつく気はない。
とは言えさすがに可哀想かと思い直した瑠璃は打開策を提示する。
『…………猫じゃらしでは遊びませんけど、代わりに肉球触っても良いですよ』
「何っ!」
肉球は触られるとくすぐったいので、あまり触られたくはなかったがこの際仕方が無いと、瑠璃は竜王に向かって片方の前足を上げ肉球を見せる。
中々触らせてくれない肉球を触らせてくれるとあって、竜王の機嫌も持ち直した。
「猫じゃらしが嫌なら他に欲しい物はないか?」
瑠璃の肉球をふにふにと触りながら問う竜王に、くすぐったいのを我慢しながら瑠璃は即答する。
『生活するのに十分な物は揃えて貰っていますから特にありませんよ』
「ルリは欲が無いな。
私はそれなりに資産があるから遠慮しなくても良いのだぞ」
『お気持ちだけ貰っときます』
残念そうにする竜王。
余程もふもふとの触れ合いに餓えていたのだろう。
日に何度も瑠璃の元を訪れては瑠璃をかまい倒し、初孫を喜ぶ祖父のように瑠璃に貢ごうとするので、困ったものだ。
暫く肉球を堪能した後、竜王はおもむろに立ち上がった。
『もう行くんですか?』
「もう少し一緒にいたいが、そろそろ仕事に戻らなければな」
瑠璃の頭を一撫でして執務室へ戻っていく竜王を、瑠璃は名残惜しげに見送った。
瑠璃は、最近竜王と一緒に居る時の違和感に首を傾げる。
最初竜王に会った時は緊張からなのか気付かなかったが、竜王の側はとても居心地が良い。
例えて言うなら、春の陽射しの中の日なたぼっこのような、あるいは冬場のこたつのような、なんとも離れがたい空間が存在しているのだ。
そしてそう感じる思いは、まるで中毒症状のように日に日に強くなっているような気がする。
今も、竜王が去って瑠璃の中には寂しさと喪失感を感じていた。
それは恋慕によって離れたくないという感情とは少し違う、体の中の何かの感覚のようなそれ。
良く分からない感覚の答えをくれたのは、いつも側に居る精霊達だった。
『それは竜王の魔力の波長がルリの好みどんぴしゃだからだよー』
『私達もルリの魔力の波動はとっても居心地が良いの』
『魔力の波長が合う人と一緒に居ると幸せな気持ちになるの』
精霊達の話を聞いて瑠璃の脳裏に浮かんだのはあさひだった。
あさひが瑠璃に付きまとうのは瑠璃の魔力の波長に惹かれているからだとチェルシーが言っていたのを思い出す。
病的なほど瑠璃に付きまとうあさひ。
こういう感覚だったのかと、あさひが何を言っても瑠璃に付きまとって来た理由に、竜王への感覚を知った瑠璃は納得したが、同時に恐れ戦いた。
魔力の波長はこちらが惹かれているからといって、向こうも惹かれているとは限らないのだ。
あさひと瑠璃のように、片方だけが好意的という場合がある。
自分もストーカーあさひのように竜王に付きまとってしまうのではないかと瑠璃は心配した。
。
幼い頃からあさひの迷惑行為に頭を悩ませてきた瑠璃は、同じ愚行は犯すまいと、その日を境に竜王から逃げるようになった。
***
会いたいのをぐっと堪え、竜王から逃げるようになって数日、瑠璃の前にある者が立ちはだかった。
「見つけたわよ、小娘!」
『ユークレースさん?』
ユークレースは竜王国の宰相で、長い青銀の髪と青い瞳の知性的な印象を受ける美女。
……が、それはあくまで見た目の話であり、本人も女だと強く主張しているが、その胸に膨らみは無い。
そして男よりは高いが女からすれば低い声。
それでも、華奢でそこらの女性より身嗜みに気を使っているユークレースは、よおく観察しても分からない美女で、これまで涙を流すまいと天を仰いだ男は数知れない。
真実を知った瑠璃は、その女子力に女として敗北感を感じたものだ。
そのユークレースが怒りの形相で瑠璃の前に立ちはだかったかと思うと、瑠璃の首根っこを捕まえた。
『にょわっ、突然何するんです!?』
「何じゃないわ、あんたどうして最近陛下から逃げているのよ。
陛下が落ち込んで仕事になりゃしないったら」
『そ、それは色々と事情がありまして………』
「問答無用!あの麗しい陛下のご尊顔を曇らせるなんて万死に値するわ」
『はあ!?いや、ちょっと待って下さい~』
瑠璃の叫びは黙殺され、ユークレースによって竜王の執務室へと連行されて行く。
側にいた精霊達はユークレースから敵意は感じなかったのか、瑠璃が叫んでいても助けず二人の後に続いた。
執務室に入ると、瑠璃を目にするなりクラウスとアゲットがほっとしたような顔になり、竜王は眉を下げた。
ユークレースは首根っこを掴んで体がぶらーんとした瑠璃を竜王の机の上へと乗せる。
自然と竜王と視線が合う高さになり、瑠璃は数日ぶりの竜王の側で居心地の良さを感じたが、これでは駄目だと視線を逸らす。
だが、ちらりと竜王の様子を窺った時に、悲しそうにする竜王の表情が目に入った。
『えっと……何かありましたか、竜王様?』
「ああ、大ありだ、癒しが足りない。最近瑠璃との触れ合いが無くなったせいで仕事が手に付かない」
そこまで!?っと驚いたが、クラウスに視線を向けると、肯定するように無言で頷いた。
「私は何かルリの嫌がる事をしただろうか?
猫じゃらしか、それとも肉球を触られるのが嫌だったか?
それほど嫌なら我慢するぞ」
真剣な顔で自分のどこが悪かったのかと問う竜王。
本人は真剣そのものだが、周囲は呆れ顔だ。
「理由があるなら早く話して解決して頂戴。
突然避けられたら陛下だって可哀想でしょうが」
ユークレースが言う事ももっともだ。
自分とて理由も分からず突然避けられたら悲しいと瑠璃は反省し、理解を示してくれるか分からないが理由を説明してみる。
『そうですよね、ごめんなさい。
えっと精霊達によると、どうも私は竜王様の魔力の波長がどんぴしゃのようなんです。
こう、一緒に居るともの凄ーく居心地が良くてですね』
「だったら何故避ける」
訳が分からないといった様子の竜王と側近達。
『私が良くても竜王様が私と波長が合うわけではないのでしょう?
以前、私の波長が合うけど、私はそうでも無いって人が居たんですよ。
何処に行くにも付いて来て、拒否しても会話にならないし。
隙を突いて逃げても、何かを察知したように後ろから追い掛けてくるのを見た時は恐怖でしたよ』
しみじみと昔を思い出しながら語る瑠璃に、ユークレースは不憫な子を見るような目を向ける。
「強く波長に惹かれる相手が現れた場合、相手も同じように感じていると勘違いする奴は時々いるからね」
私も前にいたわというユークレース。
「私は感じた事はありませんけど、強い執着心を見せる者もいるらしいですね」
ユークレースとクラウスが言う例は、まさにあさひそのものだ。
『追い回されて嫌な思いを知っているのに、私も同じような事をして竜王様に迷惑掛けたくなかったんですよ。
でも、竜王様に会うともっと一緒に居たいという衝動に駆られるので距離を取ってました』
竜王の側に居たいが、あさひのように付きまとって嫌がられたくはない。
だが、このまま竜王の側に居ては、その居心地の良さから離れられなくなりそうで、今の内に距離を取ったのだ。
瑠璃の話を聞いた竜王は、迷惑そうでも嫌そうでもなく、安堵したような嬉しそうな表情だった。
「そうか、それが理由なら問題ない」
『どうして?付きまとわれるのは鬱陶しいでしょう?』
自分は鬱陶しかったぞと、瑠璃は心の中であさひを思い浮かべる。
「ルリの気掛かりは、私がルリと同じように思っていれば全て解決だろう?
だから問題ないと言ったのだ」
『竜王様も?』
瑠璃がびっくりするように目を丸める。
「ああ、私もルリの側を居心地良く感じていたが、あまり構い過ぎて嫌われては元も子もないと、出来るだけ会うのを控えていたぐらいだ。
だが、ルリも同じように思っているなら私も我慢する必要はないようだな」
あれで控えていたの?っというユークレースの呆れるような呟きにクラウスとアゲットは苦笑を浮かべるが、竜王には聞こえていないようだ。
「これからは鬱陶しがられるなどと考えず、会いに来れば良い。むしろ私が行く」
『ありがとうございます。竜王様』
本人からお許しが出たので、ここ数日の悩みは何だったのかと思うほどあっさりと解決。
あさひに対しても同じように波長が合っていれば関係は少し変わったのではないだろうか。
そんな事を瑠璃が考えている前で、竜王は瑠璃の顔をじっと見ながら何かを考え込み、そして口を開いた。
「…………前々から思っていたが、竜王と言うのも他人行儀だな。これからは私の事はジェイドと名で呼んでくれ」
『……ジェイド様?』
「ああ」
確認するように瑠璃に名を呼ばれたジェイドはふわりと優しく笑む。
超絶美形が笑うとその破壊力も尋常ではない。
瑠璃は呆然と見とれながら、激しい動悸を感じていた。
「陛下、そういう顔は好いたおなごの前でして下され」
「ルリも女だろう」
「そういう事では御座いません」
アゲットが情けない声で苦言を呈するがジェイドはというと、瑠璃を抱き上げて自らの膝の上に乗せ、数日ぶりの真っ白なふわふわな毛を堪能して幸せそうだ。
瑠璃も自分を撫でる優しく大きなジェイドの手に、気持ち良さそうに目を細める。
王に早く嫁をと考える臣下の焦りも意に介さない竜王に、アゲットはがっくりと項垂れた。




