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プロローグ
違う……、ありえない。
私はゆっくりと跪く。尖った小石で膝が傷ついた。
私は、彼の手をそっと握った。冷たい。
私の口元に付いた生クリームを、やさしく拭ってくれた彼の暖かな手が、冷えてゆく。
眩暈がする。息が苦しい。私は、衝動的に落ちていたガラス片を拾った。
やだ……いやだ……こんな世界なんて……嘘だ……
ガラス片を逆手に持った手の平から、生ぬるい液体が流れ出る。
構わず、私は鋭利な刃を、首に突き立てた。
出来ない……消せないよ……。
あなたとの幸せな思い出を、この世界から消すことなんて、私に出来ないよ。
誰か……誰か助けて。
お願い………………