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ヒーロー学園魔法少女科男子の場合  作者: シナモンクロック
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魔法少女学科の少年

第一章間違えて魔法少女

 あらゆる、モンスターが現れ始めた現代。その危機に立ち向かうべく世界は世界ヒーロー機構を設立、さまざまな地域にヒーロー育成施設を設け、今後現れるモンスターに対抗する作戦に出た。今やヒーローは夢物語ではなく現実的な職業へと変わっていったのだ。

「どうしてこうなった・・・・・・」

 自らのバカさ加減をのろいたくなるよ。ずっと憧れだったヒーローへの道を歩み始めたはずなのになぜ俺の周りは女子ばっかなんだよ。唯一つ入学所申請書のチェックを待ちがえただけで、ヒーローから魔法少女か。

「うわ! こんなとこにいたよ」

「げ!」

 突然、教室の外から俺を発見した女子が話しかけてくる。

「彼方さ・・・・・・な、なんんでこんなとこ、っぷ!」

「笑うな!」

「だって、あれだけヒーローになるって・・・・・・いってた、のに、魔法しょう、じょって・・・・・・」

 笑いをこらえながらしゃべり続けているのは、幼馴染の空野遥。

「ちょっとまって!」

 手を大きく開いて静止の合図だした遥は遠くに去っていく。

「小さいころヒーローを夢見てた、中野彼方君は魔法少女になってますうううううううううううううう」

 遠くから遥かの声でそんな言葉が聞こえてくる。まったく遠くに言った意味が無いんだが。

「ふぅ、穴に向かって大声で言いたくて仕方なかった」

「まったく穴に言った意味無かったわ!」

「聞こえてた?」

「俺どころか学校中にこだましたわ」

「ごめんごめん」

 まったく悪びれもせず謝るとこは小さなころから一切変わらないな。遥と話しをしていると入学して初めてのチャイムが鳴り響く。

「おっと、こんな時間かじゃあ私剣士学科だからじゃあね」

 遥かは先ほどと同様のスピードで自分の教室へと帰っていった。

「本当に俺を笑いに来ただけなのかよ」

そんな暇な幼馴染が帰ってすぐに教師らしき女性が入ってくる。

「はい、席について」

 今まで教室中で姦しく聞こえていた声が消え、周りの女子は全員自分の席へと着席していく。

「まずは合格おめでとう。あなた達は晴れて今日からこの世界を守るヒーローとヒロインよ」

 ヒーローは俺だけなんだけどな。

「私の名前は三上優奈あなたたちの担任です」

 三上先生か、結構若そうな先生だな。魔法少女科の先生なんだから彼女も変身したりするのだろうか?

「魔法少女っていうのは、魔法使いと違って変身しているときしか強くありません。そして魔法少女は若い時だけのものです」

 まぁそりゃ魔法少女っていうぐらいだし、少女だけのものだろうな。俺は男だから少年だけど。

「なのに、私はもう28なのにここの先生やらされて……元は剣士学科だったのに……」

 な、なんだか先生の様子がおかしいんだが……周りの女子たちも少しざわめいてきてるぞ。

「15から世界の平和を守りだして早13年……結婚もできず。教職について子どもを教育する毎日。出会いもありやしないよ!」

 少しずつ先生はヒートアップしていってるな……これはやばいんじゃないか?

「大体剣士学科の時は男子生徒居たけど、私のことは見向きもせず彼女作っちゃってさ! なんだよ、年上は嫌なのかよ! 禁断の恋愛しようよ!」

 先生のいうことじゃねえ!

「もう、この魔法少女科に転属してからは一生独り身で過ごしていくと思ってた。でもやっと希望が舞い降りたわ!」

 なんだか嫌な予感が……俺の予感通り、先生は俺の前まで来て。

「おつきあいを前提に結婚してください」

「順序が逆!」

「この際結婚という現実があればいいのよ! 結婚から始まる恋愛だってあるでしょ?」

「否定はしないけど、普通ないよ!」

「お願いだからさぁ……このまま、友達の子どもを受け持ちたくないのよぉ」

「う……」

 先生が泣きそうな顔で俺に追いすがってくる。周りの目が痛い……俺は何も悪いことしてないのに、なぜか俺が悪い人みたいになってるし。

「君が、女の子になりたい思考の人だってことはわかってるけど」

「なんでそうなる!?」

「だって、男の子なのにここにきてる時点でそうでしょ?」

「違うわ! 科目間違えただけだ!」

「ほんとー?」

「ほんとですよ!」

 さっきまで泣きそうだったのに何でこんなに普通にしてるんだよ。完全にさっきのやつ嘘なきだったのかよ。

「もうそういうのいいから、この紙に名前かくだけでいいから」

「婚約届じゃないか! 無理です!」

「なんだ! そんなに若い子がいいのか! 28は腐ってるとでもいうのかい!」

「違うっつの! あったばっかでそんなこと決めれるわけないだろ!」

「大丈夫。私尽くすタイプだし」

「信用できるわけない!」

「何で!?」

「あって数秒で結婚を迫ってくるやつが尽くすタイプなわけがない」

「偏見だああああ」

 もうしっちゃかめっちゃか、先生はいつまでも俺に婚約を迫り、それを交わそうとする俺。周りはどうすればいいのか、わからず唖然としているだけ。

「いい加減にしてください!」

 突然一番前の席に座っていた。ポニーテールの生徒が俺たち二人を静止する。

「先生も、そんなどうでもいいことで時間を使わないでください」

「どうでもよくないよ! 死活問題なのよ! アラサーなのよ!」

「先生は綺麗ですし。すぐにいい人が見つかりますよ」

「そうかな……」

「はい!」

 やさしく微笑む彼女の、言葉に安心しきったのか。小声でそうかと、つぶやいた先生は教卓にようやく戻っていった。

「私は、あなたみたいな破廉恥な人認めませんから」

「なぜおれが!?」

「破廉恥なことしたくてこの学科に入ったんでしょ!?」

「違うっつの! 間違えただけってさっき言っただろうが!」

「信用できるわけないでしょ!」

 ぐ、確かにその意見の方が正しいのだが本当に俺は変身ヒーローの欄に丸するところをすぐ下の魔法少女に丸しただけなのに。

「はい、二人とも落ち着いてー」

 今まで騒いでいた先生に言われたくないが……今はこれ以上被害を広げないためにも先生の話を聞くことがベストだろう。

「はい」

 俺が大人しく座ったのを見て、さっきの子は俺をにらみながらゆっくりと席に座っていく。

「それじゃぁ、本題に入るわね。今日の予定ですけど、今から入学生全員に適性検査を受けてもらいます。あなたたちも全員訓練施設に移動です」

 先生の号令と共に全員が訓練施設の方へと向かう。普通の学校でいう大きな体育館のようなところだが、そこには訓練するためだけに作られた最新の施設などがたくさん置いてあり、戦闘シュミレーションから組手、必殺技の特訓コーナーまでもうけられている。

「やっぱり多いなぁ」

 入学式で見たものの圧倒されるほどの人数の多さ。そして、先生に誘導されるまま俺たち魔法少女学科の人は、適正検査の場所につく。

「まずは、これを配布しまーす」

 三上先生から配布されてものは、小さい暖かいエネルギーを感じる石。

「簡単に言うと、地球の近くの中の方で抽出した魔力の塊みたいなものです。これを握りつぶすことで魔法の力を借りれるようになる、アイテムが出現するわけです」

 よくわからないけど、握りつぶしていけばいいらしい。

「一斉にやるのではなく、順番にやっていきましょう。魔力の高さや性質も調べないといけないので」

 先生のいう通りに、俺たちは出席番号順に並んで、一人づつ渡された石を握りつぶしていく。

「お、彼方ーみてみて、ほらー」

「うお! あぶねえ!」

 ぶんぶんと大鎌を振り回しながら遥が近づいてきた。

「格好いいでしょ!」

「だからって、俺に向かって振るな!」

「えぇー、振ってるとこが一番格好いいのに」

「危険なだけだから、振り回すなよ……」

「ちなみに、鎌に適性があった人って私が初めてなんだよ。すごいでしょ」

「すごいのか?」

「おかまの彼方にはわかんないかー」

「誰が、カマだ!」

「おおっとごめん。鎌は私の武器だったよ」

「お前、それがいいたいだけどろ……」

「にゃははは」

 こいつのペースに乗せられていると本当にすべてのことがどうでもよくなってくるな……

「それで、それを見せにきただけなのか?」

「うん。あとは彼方の変身アイテムがみたいなぁって」

「どうせ、あれだろ杖とかコンパクトとかだろ」

「以外にみんな別々だから、変わったものかもよ」

「ふーん」

 あんまり、かわいらしいものは嫌だから逆に変わってくれてるぐらいがちょうどいいのかもな。

「それでお前は、剣士学科の方に帰らなくていいのか?」

「剣士学科は武器さえ渡されればそれでいいからね」

「適当だなぁ」

「基本的に武器次第であとは自分たちで強くなっていくっていう学科みたいだよ」

「先生職務放棄だな」

「まぁね」

 結局俺のところも変な先生だったが、剣士学科の方の先生もなかなかに変な奴らしい。遥とそんな話をしていたら、いつの間にか俺の晩になっていた。

「それでは、中野彼方君その石を握ってみてください」

「はい」

 先生に言われた通り掌にある暖かい光を放つその石を手でやさしく握っていく。手の中で確かな暖かさを感じていると、手の中の石が少しずつ変化していくのがわかる。

「これは……」

 光輝く手の中を開く、さっきまで石だった、それは握り手が細めで先に槌が付いてる、いわゆるハンマーになっていた。

「なにこれ?」

「ハンマーよね……」

「先生はわかるんですか?」

「ハンマーだということはわかるわ!」

 そんなことを自身満々で言われても困るんだが……とりあえずハンマーを2~3振りしてみる。

「なにもおきないな」

 ハンマーの先端から少しだが光が輝いているのはわかるが。それ以上のことは一切起きない。むしろハンマーとしては弱い部類に入るんだが。

「ちょっと貸してよー」

「あ、こら! お前返せよ!」

「いいじゃん。私も見てみたいし」

「お前は、魔法少女興味あるのかよ?」

「女の子なら誰だって興味あるよ!」

「そんなもんか?」

「別にそういうもんじゃないと思うよ」

「俺の数秒を返せよ……」

 結局こいつとの会話は成立しないまま終わるんだよな……ハンマーを結局とられた俺は、もうあきらめた様子で遥をみてみた。

「これがかー」

 そういってハンマーを一振り二振りと遥振っていく。

「何にも起きないなぁ。あれかもしれない、打ち出の小槌みたいに誰かを殴ればいいんだ」

「おい、なぜ俺に近づく」

「じっとしててよー」

 じりじりと寄ってくるなよ。

「おい、やめろって」

「おらーーー」

「いってえええええええ」

 予想通り俺の頭を思いっきりそのハンマーで殴ってきた遥、さすがに剣士学科に行くだけのことはあり全くよけれなかったぞ。

「ったく……思いっきりたたくやつがいるか。俺が頑丈だったからよかったものを」

「うわぁ……」

「なんだよ。何か変か?」

 見られていたのは顔だったので、手で顔に触れてみる。

「ん?」

 顔の横に髪?いや俺の髪はこんなに長いわけないよな。

「あれ? 遥お前と俺ってこんなに身長近かったっけ?」

「いやー、そっちが近づいたというか」

「っへ?」

 わけのわからないことを言ってくる遥の視線に合わせて視線を落とす。

「うわ女子の制服だ! てか、身長低くなってる! てか女になってるのか!?」

「そうみたいだね。殴ったら変身するみたい」

「すげえ嫌な変身方法……」

 まぁどうせ、こうなるとは思っていたから別にそこまで驚くこともないんだが。

「それで、いい加減返してくれよ俺の武器」

「あ、うん」

 ようやく、遥から返してもらったその自分専用武器を振り回す。

「さっきと変わらないな。これじゃあ戦えないんじゃないのか?」

「どうだろ?」

 遥も不思議に思っているようだ。通常の魔法少女なら、専用の武器を使うことで強力な力を発揮することができる。しかし、俺のばあいはこのハンマーをいくら振り回してもこれといって特別な力を感じられない。

「あ、彼方みてこれ」

「ん?」

 遥が見せてきたのは小さな冊子だった。

「ほら、さっきは気づかなかったけど。説明書って書いてあるよ」

「なんで、魔法少女の武器に説明書があるんだよ……」

「細かいこと言っても仕方ないからさ、ほらどんな能力があるかっていうのがわからないとこの審査も終わらないんでしょ」

「まぁな」

 俺よりもノリノリな遥は、我先にと説明書をよんでいた。

「そのハンマーをね。床に振り下ろしてみて」

「こうか?」

 遥に言われた通り、ハンマーを床に振り下ろしてみる。すると体育館の床のはずなのにそこから花が生えてきた。

「おぉ!」

 正直驚いた。今ままで魔法自体使えなかった俺が、何もないところから花を出したのだから。

「それで?」

「それでって?」

「この後どうなるんだ?」

「それで終わりだよ」

「っは?」

 遥の言葉に耳を疑った。床にハンマーを振り下ろす、花が咲く、そこで終わりだというのだから。

「いやいや、これじゃあ戦えないって」

「ほら次必殺技だよ。ハンマーの中間地点を両手でもって」

「こ、こうか」

「うん。それでバトンのように回しながら走り回る」

「おう。任せろ」

 何を隠そうヒーローを目指していた俺だあ。武器の扱いはお手の物、棒術だってやってきたのだか回すことぐらい簡単だ。

「おらおらおら」

 思いっきり回しながら体育館を走り回る。

「どうだ?」

「花がいっぱい咲いたよ」

「いらねええええええええええええ」

 花が咲くだけの技ってなんだよ。いつ使うんだよ。花見か? 花見の時なのか?

「ほら、まだあるよ」

「今度は大丈夫なんだろうな?」

「うん。今度は攻撃」

「よし教えてくれ」

「まず、そのハンマーで殴られます」

「っは?」

「その勢いで敵にぶつかるっていう。フラワーボールって技。やっぱり通った道に花ができるみたいだね」

「それで俺は肉弾戦車でぶつかっていくと」

「やってみるよ」

「まてよ」

「はい貸してね」

 俺が静止するのを聞かずに遥はまた俺のハンマーを奪っていく。

「おい、話を……」

「とんでけえええええええええ」

 最後に俺が見たのは自分専用ハンマーの丸い部分だった……俺が目を覚ましたのは、保健室で、遥に説教をするのは言うまでもない。

「結局あの技を使うと戻るみたいだな」

「変身解除も殴らないとダメってことなのかな?」

「そうだろうな……」

 うんざりしてくるよ……この学校にきて初日で保健室に連れていかれ、しかも変身と変身解除が両方誰かに殴られなければいけないなんて。

「悪夢だ……」

「面白そうでいいじゃない?」

「お前は自分のことじゃないから言えるんだよ……」

「そうだね」

 わかってるなら、言うなよ……

「元気そうね」

 そういって、保健室の入り口から入ってきたのは、今朝俺と先生の喧嘩を止めたあいつだった。

「お前は、あの時のポニー」

「誰がポニーよ!」

「へぇ、ポニーさんっていうんだ。私は空野遥よろしく」

「違うわよ!」

「それで、何で来たんだポニー」

「あんた達、本気でそれで通す気なのね……」

 さすがにふざけすぎたか? ぷるぷると拳を握りながらポニーは怒りを露わにしてた。

「クラスメイトが吹き飛ばされたからお見舞いに来ただけよ! それじゃあ!」

「あ、うん……」

 怒りながら出ていくポニー。思ったよりいい奴じゃないか、名前位聞いとくんだったな。

「さて、私たちも帰りますか」

「あぁ。そうだな」

 こうして俺の記念すべき最初の魔法少女デビューの日は終わった。結局遥に振り回されていただけのような気がする……

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