我が校の王子2
俺より頭一つ分デカイあいつはいっつも女に囲まれてる。
あいつは陸部で俺は弓道。
接点と言えば教室が同じA組ってこと。
それでも、あいつの周りにはいろんな人が集まる。
いつも誰かに笑っている。
その笑顔を自分だけに向けて欲しいなんて言えない。
友人でも、ましてや恋人でも無い俺にそんなことが言えるか。
コツコツと苛立ったようにシャーペンを鳴らしていると隣から煩いと声が掛かる。
いいじゃないか、ちょっとぐらい。
さらに不貞腐れて机に突っ伏す。
「おい、優!何数学で寝てんだよ!?城島がタコになるぞ!」
A組の数学教師は怒りっぽく、授業中に寝てるとすぐに怒られる。
取りあえず教科書で隠すと隣の女子がクスクスと笑いだす。
「どうした?佐伯。ってコラ!佐伯の横!寝るな!!」
皆一斉にこちらを見るととクスクスと笑い出す。前の席の友人など大笑いだ。
俺が笑って欲しいのはお前らじゃねぇよ!
チラリとあいつを見るがやはりダルそうに黒板を見ているだけだった。
「すいませーん。頑張りまーす!」
クスクス笑だったのが幾つか笑いに変わる。
先生も呆れたように笑うと前を向いて授業を再開した。
「ごめんね、鬼頭くん?」
微かに震える口で言われても、、、
いいよ、と答えると上目遣いで話しかけてくる。
可愛い子がやるのにはイイがこちらから見れば必死に白目を剥いているだけだぞ、、、
「ねぇ?聞いてる?」
「あ、ゴメン、、、そろそろ授業聞きたいからさ。また城島に怒られちまう。」
そっか、、、と言うと佐伯はすごすごと前を向いた。