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"元"魔王軍近衛兵長は平和な世界でスローライフを過ごしたいのに!?~王女から新たな勇者パーティーに勧誘されました~  作者: mf_鯖の塩焼き


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“元”近衛兵長 村を救う

 「右からくるぞ……」「左からも……ぐわぁ!」「一歩たりとも攻めさせるな!」

人界歴XXXX年、魔界大戦の勃発により過去200年間続いた魔王軍と人類の戦争は勇者の犠牲のもと魔王が討たれ幕を閉じた。

 それから約3年という短い年月で人間界は復興を遂げ、この世は平穏を取り戻した。


 そして現在……


「さてと、店に行くか」


 私、基魔王軍“元”近衛兵長であるルシウスは魔界大戦時には碧眼の悪魔と名高い魔族だった。しかし、魔界大戦に敗れ魔族領から命からがら逃げ、辺境の地であるターナー村にたどり着いたのだ。

 村について間もないころは魔族であることを隠すために偽名を使ったり、近衛兵長であることを隠すために見た目を子供に変えたり慣れないことばかりだった。だが、村の人々の温かい支えがあり、今ではこの町の魔道具店の店主として生活している。

 いつしかこの平穏な日常を魔族ながら気に入ってしまったらしい。


 「ルーシー今日も悪いねぇ~」

 「いえいえ、このくらい安いものですよ」

 「最近は若いもんが王国に行くものだから人手が足りなくて、わしらじゃどうしようもなく困っておったから本当に助かるよ」


  どうやら人間界では15を過ぎると王国最大の教育機関であるアリエスト学園とやらに行くらしい。その教育機関では自分に特化した魔法や剣術だけでなく、算術や読み書きなど基礎教育も行われているとかなんとか。


 (魔族領にはないものだった故、いつしか見に行きたいものだ)


 「そういえばルーシーも15ぐらいに見えるが年齢は____」


 その時村長の話声を遮るかのようにカーンカーンカーンと村の奥から鐘の音が鳴り響く。この鐘は侵入者や魔物が村に近づいている合図だ。どちらにせよいい予感はしない……。俺と村長は急いで鐘の鳴る方へ急いだ。

 

 鐘のほうに走ると何人もの村の人が鍬や鎌などを持って村の門に集結していた。


 「これはいったい何事じゃ?」


 「ファイヤーサラマンダーです……今、村の若い衆が何とか止めに行ってますが如何せんこんな小さな村じゃ武器も人手も足りてないからいつまでもつか、、、。王国にも救助の要請をしましたがいつ来るかも____」


 「そんなまさか……」


 村長が青ざめるのも無理はない。ファイヤーサラマンダーは通常のサラマンダーより気性が荒く、ランクもC級に分類されるモンスターだ。Cランク冒険者5人パーティーでようやく討伐できるレベルの魔物。そんな魔物相手に戦闘経験が全くと言っていいほどない村人たちがろくな武器も持たずして勝てるわけもない。


 「あぁ、いったいどうしたら……」

 「ファイヤーサラマンダーがいるのはあっちの方向ですか?」

 「貴方まさか行く気じゃ!?」


 「……」


 「無茶だ!冒険者でもない子供が行ったところで無駄死にするだけだ!」


 「心配してくれてありがとうございます、でも俺は大丈夫だから。それに……

  俺の使える氷結魔法は足止めにぴったりだから!」


 そういって住民の言葉を振り切り森へ駆け出した。


 (あんなにみんな心配してくれるなんて、やっぱり俺……)


 自然と笑みがこぼれる。


 

 森の奥に進むとドンドーンという轟音と共に、地響きを感じる。

 揺れの正体は見るに明らかだった。体長約8メートルにも及ぶ体を鋼よりも硬い鱗で覆っている。それにさらに厄介なのが、あの巨体から発される熱気。十数メートル離れている場所ですら熱を感じるほどだ。


 「っく、ここはいったん引くぞ!」

 「引いてどうするってんだよ!俺たちが1秒でも長くここを死守しないと村が滅ぶんだぞ!」

 「だからって打つ手がなきゃ……」


 「お、おれは死んでもこいつを食い止めるんだあぁぁぁぁぁ!!!」


 「お、おいバカ!?」

 

 「アイシクル・ランス!」


 氷塊のような鋭利な槍がサラマンダーに直撃し、あたり一面が凍り付く。サラマンダーの片腕が氷塊の中に封じ込められ、動きが止まる。


 「な、なんだこの魔法は……」

 「よかった、間に合った!」


 「ルーシーがやったのか?」

 「いや、まぁ……」


 ギャオォォォン

 

 受け答えに困っているうちに氷を解かされサラマンダーが動き出す


 (っち、思ったっより熱量が多くて想定より早く溶けた、これじゃあみんなの避難が間に合わない。)


 「そんなことより皆さん、俺が魔法を放ったらすぐに村に逃げてください」


 「だ、大丈夫なのかルーシー?」

 「任せてください」


 (はぁ、本当は人前であまり魔法は使いたくなかったが村のみんなのためだ、仕方ない……)


 サラマンダーの氷の拘束が解け切り、怒り狂ったかのようにこちらに突進してくる。


 「じゃあいきますよ!ダイヤモンドダスト!」


 爆発音とともに辺り一面に白銀の霧が立ち込める。これは俺の魔法ダイヤモンドダストの効果だ。ダイヤモンドダストはアイシクルランスとは違い物理的なダメージを負わせることはできない。しかし、魔力で満ちた氷のフィールドは自分の身体能力を底上げし、敵からは視界を奪ったり様々なデバフを持つ便利な魔法だ。


 (まぁ、今回は村の人達にばれないようにするための目くらましなんだけどね)


 「ほら来い、せいぜい俺を楽しませてくれよ!」


 8メートルを超える巨体で一直線にこちらに突進を仕掛けてくる。避けることは容易いが後ろには村がある。こいつがどこまで突進し続けるかもわかったものじゃない。じゃあどうするか?決まっている。


 ドゴン!という轟音と共に砂埃が舞い散る


 「トカゲ風情がその程度か?」


 サラマンダーの突進を片手で受け止め、そのまま掴んだ鼻を握り潰す。鋼鉄をもしのぐ鱗のせいかそこまでの致命傷にはなりえなかったが、奴の怒りはピークに達した


 ギャォォォォン!周りの大気を震わすほどの怒号と共に炎を身に纏う。熱気がさらに強まり息をするのも辛いほどだ。


 (これじゃあ討伐後も村に影響が出てしまう)


 「仕方ない、そろそろ終わらせるか」


 サラマンダーは一点にこちらを見つめる。その刹那、体内で増幅させた熱を光線のようにこちらに放ってきた。


 (これはブレス!?)


 ブレスは高密度の魔力で練られた炎を体外に放出するというドラゴン系統の奥義のような技だ。奥義の名に恥じない威力を誇る。


 「だが、魔力量を上回ればこんなこともできるんだよ!」


 ブレスの熱量を上回る冷気でブレス自体を凍らせる。なんせこんなものが村の方面に放たれたら村どころか、この森の一部が焼失してしまう。


 「じゃあな、なかなか楽しめたぜ。アイシクル・ランス!」


 上空からの氷の槍はファイヤーサラマンダーの核を潰し周りの炎も鎮火させていった。ダイヤモンドダストも少しずつ晴れていった。


 「ん~ぷはぁ、意外と子供の姿でも戦えるもんだな」


 安心して体を伸ばしているのもつかの間、ダイヤモンドダストが晴れあたり一帯に村の人々。


 (ん……?隣にはファイヤーサラマンダーの死体と無数の氷塊、そして身体を伸ばしている自分、戦っていた村人を逃がすために見せた氷結魔法...あれ?これ詰んでね?)


 「あ、あの~見なかったことにって____」


 (((((無理があるだろ……)))))


 皆が首を横に振る

 

 「これはルーシーがやったのかのぉ?」

 「村長、これはえっと...はい」


 (あ、終わったわ。そりゃ冒険者でもない子供が一人でファイヤーサラマンダーなんか倒せるわけないもん!てか適当な理由つけてサラマンダーを追い返したとかいうつもりだったのに、言い訳もできなくなったしいったいどうすればいいんだぁぁぁあ!!あぁ、もうきっとこの村にはいられなくなるんだ。)


 「皆の者!ルーシーがファイヤーサラマンダーを撃退してくれた!ルーシーのおかげでこの村が救われたんじゃ!」

 「ルーシー!万歳!」

 「ありがとう!ルーシー!」


 「え?」


 「なぁにきょとんとしてんだ!村の英雄がそんな顔すんなよ!」

 「そーだそーだ!今宵は宴だぞ!」


 想像の斜め上の光景に少し困惑しつつも村のみんなに連れられターナー村に帰ってきた。村に帰ってからというもの村人全員から感謝を伝えられた。困惑の中、胸の奥の確かな温かみに笑みがこぼれる。

 

 村では着々と宴の準備が進められていた。そんな時、白銀の鎧を身に纏った騎士が数名村に訪れた。村長が何やらこちらを見ながら話している。本当に嫌な予感しかしない。


 「おい、そろそろ宴が始まるぞ!」


 後ろから声を掛けられ、村のみんなと一緒に宴を楽しんだ。その後意識が薄れるまで騒いでいたみたいだ。


 人々のざわめきに、ふと目を覚ました。周りを見渡すと昨日、一緒になって騒いでいた村人たちが眠っている。だが、ざわめきの原因はここじゃない。

 家を出ると門に多くの人が集まっていた。人込みをかき分け前に出ると昨日、村に訪れていた王国の騎士が毅然とした態度で並んでいた。すると、騎士達の間から黒髪をなびかせた凛とした顔つきの男が現れ、言葉を放った。


 「我らは王国直属の白刃の騎士団である。そして私がこの騎士団率いるフレイだ」


 唐突な王国の騎士団の登場に困惑を隠せない村の住民たちはしどろもどろになりつつも騎士団長の言葉に耳を傾けていた。

 

 「フレイ様これは何事ですかな?」

 「昨日ファイヤーサラマンダが出現したとして王国に救援依頼がターナー村から要請された。しかし騎士団が到着した時には討伐されていたとの報告を受けた。それも15歳ほどの子供が討伐したと。」


 (昨日こっちを見ながら話していたことってこれだったのか!?)


 「そこで王女アズリエル様からのファイヤーサラマンダーを倒した少年を王国に連れ、新勇者パーティーの一員に任命するという命が下りた!」


 (は、はぁぁぁぁあ!?新勇者パーティー!?)



 こうして俺はフレイ率いる白刃の騎士団に連れられ王都アルセリオンに向かったのだった。


 これから一体どんなことが俺を待ち受けているのか?そして新勇者パーティーとは?


 (てか平和なスローライフはどこにいったんだよぉ!!!!!)

あとがきではこの物語のキャラ設定などを補足していこうと思います。


まず本作の主人公ルーシーことルシウスは人間界に馴染むために禁術であるよみがえりの術を使って子供になっており、身体だけでなく、筋力や魔力量、精神年齢まで子供になってしまっています。

(なお、精神年齢に関してはルシウスは認めていない模様)

また、大人の姿に戻る方法はなく、この点を考慮して魔族領では禁術として扱われています。

(魔族の中でも限られたものにしか会得できないため、そこまで重要な術じゃないとか)

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