chapt 4 ナンクルナイサー
こんにちはkzfactryです。今回は沖縄を題材にしてみました。日本の方言の中でも屈指というくらい難しい沖縄弁なので、変な表現は多々あると思いますが笑って流してください(懇願)。やたら大きいお弁当が衝撃的だったので思いついたお話です。楽しんでいただけたら嬉しいです。
kzfactry
キラキラキラキラ ザザ〜
眩いばかりに輝く太陽と、波の音、潮の香り。マゴッタとWooちゃん、サーメNYANのタマゴ達はデッキチェアーで日光浴の真っ最中。ちょっと気取って三人ともサングラスをしている。たまごの妖精だけあって卵を二つ向かい合わせた様なデザインのサングラス。マゴッタのサングラスとパールホワイトのボディが陽光を反射してキラキラ光っている。なんて素敵。三人のデッキチェアーの側には折りたたみのテーブル、その上に南国フルーツも入っている冷たいジュース。日除けのパラソルまで置いてあってまさにバカンスといった風情だ。…タマゴの妖精達には勿体無いんじゃないか?などと言ってはいけない。マゴッタ達は新世界花月で会ったKB佐藤さん達にすっかり気に入られ、お誘いを受けたのだ。シーサーキングダムに遊びにおいでと。そして今、彼等が居るのは
パイナフェリー
大きなパイナップルの妖精さんだ。縦に半分に切ったような姿でそれを横にして船のような姿になっている。表面が広いデッキの様になっており、ちゃんとハウスマゴッタまで乗せてもらっている。デッキだけでサッカーのフィールドが二つくらい入りそうな大きさなのでハウスマゴッタがとても小さく見える。デッキの一番後部に半円状の人の良さそうな(妖精の良さそうな)大きな顔があり、目なんかもニッコニコしている。顔の後部には体の大きさに見合った大きなヘタがあり、それがクルクル回って、バシャバシャ音を立てている。とっても大きなスクリューになっているようだ。凄く快適なクルーズをマゴッタ達は楽しんでいた。
しばらくすると、正面からクッキー状の陸地が見えて来た。水にも負けないタフなクッキー(?)のようだ。
シーサーキングダム
南海のパラダイス…らしい。KB佐藤さん情報だが。そのKB佐藤さんと04ゴヤさん、PAIパヤさんの三人がやって来て、
『『めんそーれ!♡』』
三人揃ってとっても素敵な笑顔。パイナフェリーさんはそのまま砂浜に乗り上げた。流石妖精の国のフェリーだけあってとってもワイルド。美しい砂浜に大きなパイナフェリーさんが砂をかき分けながら乗り上げる姿はまさにスペクタクル!
『『わ〜〜〜〜!♡』』
マゴッタ達が転がる様な勢いで砂浜に走り出す。…タマゴだけに。珍しくサーメNYANもテンション高めではしゃいでいる。マゴッタ達が砂浜ではしゃぎ始めると、その後から
『はチャーチャチャチャチャ、アチャー!』
『CHAチャチャ、自分大丈夫なん、あチャチャチャチャ!』
『チャー!CHAチャイ、ワシもうダメかもしれんチャ…。CHAウーヤン後は任せた…』
『自分まだ元気やないか〜〜〜い!』
…何やらどこかで聞いたような会話が聞こえてきた。ソースキングダムの新世界花月で会ったチャウチャウの妖精さん達だ。彼らもパイナフェリーに乗ってシーサーキングダムまで来たらしい。ただ、チャウチャウの妖精さんだけあって物凄く毛深い。ただでさえ暑いシーサーキングダム。それにダウンジャケットを着ている様なものなのかも知れない。ぐったりしている。そこへKB佐藤さん、PAIパヤさん、04ゴヤさんの三人が来て、
『はちゃ〜〜!シーサーキングダムてぃーだかんかん、しにうかーさんさー!
やーに来な〜』
KB佐藤さんはそう言うとみんなを手招きしてすぐ近くの自宅へと案内する。途中周りを見ると確かにシーサーキングダムの妖精さんは皆木陰にいるか、家の中でコロコロしてい る。のんびり屋さんなのね。
*
KB佐藤さんの家は大きな石垣に囲まれた平家の家。素敵な佇まいだ。庭も広いのでハウスマゴッタを置かせてもらう。…シーサーキングダムの平家とハウスマゴッタが並んでいる絵はなかなかシュール。マゴッタ達が家に入り込むとKB佐藤さんがお茶とお菓子の様なものを持ってきた。
『かめーかめー、サンピンチャーとサタンダギさー。しにまーさんさー』
…なんかよく分からないがご馳走してくれるらしい。PAIパヤさんが
『KB佐藤さんサタンダギじょーぐーだからひっちー食べてるさー。わらびんちゃーしにまーさん、かめーかめー♡』
出されたお菓子は茶色くて丸っこい拳よりちょっと小さいドーナツの様なもの。大皿にたくさん並べてあって、甘いいい香りがする。マゴッタの顔もパッと明るくなって
『いただきま〜…、は!』
サタンダギに手を出しかけたマゴッタは殺気を感じた。予感的中。マゴッタの背後よりジョーズの様な歯が…。危ない!マゴッタがひらりと身をかわすと
ばくんっっっ!
一瞬にして大皿の上にあったサタンダギが綺麗に捕食された。すごく綺麗に。お菓子のカケラどころか砂糖一粒残っていない。
『『あぎじぁびよ〜〜〜!!』』
KB佐藤さん達の阿鼻叫喚の悲鳴が。新世界花月で一度見ているはずだが、それでもこの破壊力。
もっふもっふもっふ
周りの反応はどこへやら、Wooちゃんはとっても嬉しそう。
『う〜〜〜〜〜!♡』
Wooちゃんは触覚でハートマークを作ってクルクル回り出す。
ほわわわわ
『ひゃー、ほんと凄いねこの子。ご馳走しがいがあるねぇ♡』
『でもKB佐藤さんほんと大丈夫?ソースキングダムでもだいぶ食べてたし、今たっぷんたっぷんに太ってるよ』
『大丈夫、大丈夫♡またPハブーンさんのエステに行けばスッキリ痩せられるから♡PAIパヤさんも一緒にどう?』
『そうねぇ、私も久しぶりに行こうかしら。ちょっとふっくらしてきたし…』
『え〜、私あの先生好きじゃないのよねぇ。私にはちっともエステしてくれないし』
04ゴヤさんが眉を曇らせて言う。
『大丈夫大丈夫、私達もお願いしてあげるから一緒に行こ♡』
*
姦しいという言葉がある。女性が三人集まるととっても賑やかということらしい。ここシーサーキングダムでもその法則は当てはまるようで…
『Yドリンちゃんその青いRQギヤマンしにうじらーさん♡』
『Yカリンちゃんこそその赤いRQギヤマンちびらーさんうじらーさん♡』
……よく分からないが二人キャッキャとはしゃいでいる。すると、もう一つのちょっと大きな影が
『うぬつけてるRQギヤマンちゅらかーぎー、…わーにんRQギヤマンの服ちゃーふさん…』
先の二人に比べて不満そうな妖精さんの声。
『Pハブーンしんしーでーじいちゅなさん、エステしてくれないさー』
『西ケ谷さんひーじー、わんが頼んであげるさー♡』
*
すっかりご馳走になったお礼にとマゴッタが、ハウスマゴッタに乗せてみんなで移動することにした。フライトモードに最初びっくりしていた三人だが、すっかり気に入ったみたいで透明窓から下を見下ろしながらフライトを楽しんでくれている。
『いつも歩いている街がちっちゃく見える、素敵♡』
『あれはいつもそーきソバー食べるお店だね』
『あっちは大盛り弁当買っている弁当屋さんだ』
…この三人からはひたすら食べ物の話しか出てこないようだ。なるほど三人ともラグビーボールの様な体型をしているわけだ。しばらく移動すると、
『あった、エステハブーン♡』
言われて見てみると、金色に光る建物にエステハブーンとの文字が。これも金色。お金持ちなんだろうか?建物の横にハウスマゴッタを着地させる。みんなで金ピカのお店に入って行くと
『いらっしゃいませ』
出てきたのはハブの妖精さん。ゴールド色の帽子?じゃないな、被り物を被っている。そう、ツタンカーメンそっくり。額にゴールド色の蛇のオブジェまである。ちゃんとハブになっている。それにゴールド色の杖。全身金ピカ。目はハブの妖精さんらしく縦長の瞳がキラリと光っている。
…総じてどうにも胡散臭い。怪しげな匂いがぷんぷんしている。KB佐藤さんとPAIパヤさんを見てニヤリと笑う。しかし、04ゴヤさんの姿を見た時には目を細めて渋い表情になった。しかし純真で人を疑うと言うことを知らないタマゴ達とシーサーキングダムトリオはこの店主が怪しいと言うことに気付いていない様だ。
*
Pハブーンは先程まで無茶を言う客に当たって不機嫌だったが、KB佐藤さんとPAIパヤさんの来店で機嫌がすぐに治った。
(ふふふ、オイシイ上客が来てくれたわい。……全くさっきの客ときたらでっかい体をちっちゃくしろだなんて無茶いいおって…ブツブツ。しかしツキが回ってきたな。しっかりオイシイ思いをさせてもらおう、ふふふ)
…これでは悪い顔になるわけだ。Pハブーンは含み笑いをしながらKB佐藤さんを施術室に誘う。そこには施術用のベッドが置いてある。そこにKB佐藤さんを座らせると、
『はい、それでは落ち着いた気分でこの杖を見てくださいね〜』
そう言って金ピカの杖を前にかざすと、それをグルグルと回し出す。その動きにちょっと遅れた動きで顔もグルグルと回し出した。…どこかで見たことあるような動きだが。
ポワワワワーーン
それを見ていたKB佐藤さんだったが、やがてコトリと眠ってしまった。
ニヤリ
Pハブーンは悪そうな顔で笑顔を見せると、
カパァ
物凄い大口を開けた。
パクン
そのままKB佐藤さんの頭を咥える。KB佐藤さんピンチ!
ずちゅ〜〜〜〜〜ちゅるちゅるちゅるちゅる、じゅ、じゅるじゅる
…とてつも無い音を立ててKB佐藤さんを吸い出す。凄い勢いで吸う。すると見る間にラグビーボールの様だったKB佐藤さんが細くなっていく。
しおしおしおしおぉ ポンっ
PハブーンはKB佐藤さんを吸い尽くすと口を離した。すっかり満足そうに口の周りをゴールド色のハンカチ(!)で拭う。
『ふ〜〜、やっぱりサトウキビの妖精であるKB佐藤さんはオイシイですねぇ♡PAIパヤさんも楽しみです、ふふふ』
*
その妙な音に気付いたのはサーメNYANだった。
『?』
渦巻き状の頭を捻ってちょっと考えている。仕草が可愛らしい。その後すっかり痩せ細ったKB佐藤さんが施術室から出てきた。PAIパヤさんが
『あら〜、すっかりスリムになって♡やっぱりPハブーンさんは凄腕だねぇ』
PAIパヤさんはすっかり感心しきりであるが、KB佐藤さんはヨレヨレのショボショボ、今にも倒れそうである。しかしPAIパヤさんは軽い足取りで施術室に入っていった。
ちょこちょこちょこ
何故かサーメNYANもあとをついて行く。その後施術室では…
ずちゅちゅちゅちゅちゅ〜〜、じゅじゅ、じゅる キラーン
…なんか色々な音が響いてきた。しばらくすると目を光らせたサーメNYAN、すっかりしおしおのしわしわになったPAIパヤさん、それに何故かお腹をぷっくり膨らませて顔が
ツヤツヤしているPハブーンの順番で出て来た。
『ふ〜〜〜、さてと次は…』
Pハブーンは次のお客を、と見回して04ゴヤさんに目が止まる。
(げっ!そう言えばコイツが居た)
露骨に嫌そうな顔になる。何せ04ゴヤさんはゴーヤの妖精。半端じゃなくニガい。それで今まで避けていたのだ。
(…まずいな…)
そう思ってどうやって断ろうか策を巡らせていると、足元をちょんちょんとつつく者がいる。
『?』
Pハブーンが見下ろすと、サーメNYANが立っていた。マゴッタの手を引いて連れてきている。そのままひゅっとマゴッタをPハブーンによこす。
『?』
『???』
最初はPハブーンの反応。次はマゴッタの反応。マゴッタはそれこそ何が何だか…だが、Pハブーンはこれをチャンスと捉えた。
(タマゴの妖精ですか…初めてですがタマゴは大好きですし、これをいただけばゴーヤの妖精はやらずに済みそうですねぇ。ふふふ)
ニヤリと笑ってマゴッタを施術室に連れて行く。マゴッタピンチ!かるーく持ち上げられて施術ベッドに座らせられる。
『??』
ここに至っても、マゴッタは状況がわかっていない。すぐにPハブーンが目の前で金の杖をクルクル回し出す。その後自分の顔もクルクル。
ポワワワワーーン
純真なマゴッタは一瞬で落ちた。それを見てPハブーンはニヤリ。
(ふふふ、それではいただきまーす♡)
かぱぁ パクンッ!
マゴッタを頭から咥えた。マゴッタ絶体絶命!主人公はサーメNYANに交代か?
(ん?)
Pハブーンの動きが止まる。縦長の瞳孔がクルクル回って体全体から大量の汗が。
『から〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!』
Pハブーンが金色の火を吹いた。オレンジ色だったか?マゴッタを慌てて口から離し、転げ回る。
『辛い辛い辛い辛い辛い!!』
そう叫んで転げ回った後、施術ベッドの上で気絶してしまった。…とりあえずマゴッタの一命は取り留めたらしい。マゴッタは吐き出された衝撃で起きたようだ。
『???』
混乱しているマゴッタをサーメNYANが手を取って外に連れ出す。そこにはすっかりスリム(痩せ衰えた?)になったKB佐藤さんとPAIパヤさんが休んでいる。それを04ゴヤさんがウチワであおいであげている。サーメNYANはそこへ行くと
『Pハブーンはおねんねしてしまったにゃん♡』
そう伝えてニコッと笑う。…なかなかの役者さんだ。
『ありゃりゃ、じゃあ今日も私はやってもらえないね、エステ』
04ゴヤさんは残念そう。…二人の惨状を見てもエステには前向きらしい。凄い。
『これでまたしばらく体型気にしないでたくさん食べられる♡』
『そうね、今日は大盛り弁当食べましょう♡』
KB佐藤さんもPAIパヤさんもふらふらの体でそうおっしゃっている。…シーサーキングダムの妖精さんはとってもタフなようだ。
*
タマゴ達三人と04ゴヤさんでKB佐藤さんとPAIパヤさんを支えるように店の外に出ると、二人の妖精さんが現れた。ちっちゃくて可愛い…ヤドカリの妖精さんのようだ。一人は透明でレッド色にキラキラ輝くグラスのような服(家?)を付けている。もう一人はブルー色にキラキラ輝くグラスの様な服。色違いでコーディネートしているのかな?とってもオシャレ。RQギヤマンと言うグラスらしい。なかなか綺麗なものだ。そのヤドカリの妖精さんがちょこちょこちょこちょこと可愛らしい足取りでマゴッタ達の方に寄ってくる。
『あの〜、ここがPハブーンさんのエステですか?』
レッド色のグラスをつけた方のヤドカリの妖精さんが遠慮がちに聞いてくる。目がくりくり動く感じがとっても可愛い。もう一人のヤドカリの妖精さんはその後ろに居て隠れる様にしている。引っ込み思案なのかな?名前はYカリンちゃんとYドリンちゃんと言うらしい。引っ込み思案のYドリンちゃんはRQギヤマンの服の他に三味線のような楽器を背負っている。三線と言うらしい。
さっき来た友達がPハブーンにエステを断られてしまったので、二人でもう一度頼んでみようと言う事で来たらしい。とってもいい子達。
『友達の西ケ谷さんがどうしても私達みたいな可愛い服(?)が着たいから痩せたいんだって、言うんだけど…あれれ?どこ行っちゃったろう?』
キョロキョロ周りを見回す。それっぽい妖精さんは見当たらない。どうしようかな?などと思っていると、KB佐藤さんが
『取り敢えずご飯にしないかい?お腹減ったよ〜』
…しおしおに激痩せしているのでいっそう身につまされる。ヤドカリの妖精さんも誘ってみんなで行きがけに見た弁当屋さんに入る。お弁当屋さんのいい匂い。すると、
ぐきゅるるるるる〜〜
Wooちゃんのお腹から歌うような腹の虫の音が。あらら、可哀想。すると途端に、
『わらびんちゃーひっちーやーさんさー♡』
何を言っているかはわからないが、KB佐藤さんは嬉しそう。
*
お弁当屋さんで買い込んでハウスマゴッタで食事をすることになった。ハウスマゴッタは入り口のゲート部分を上に開くようにあげ、ちょっとしたサンバイザーのようにしている。ホントにこのお家は器用。そしてテーブルに皆で買って来たお弁当を広げているのだが、とにかくデカい。とてつも無くデカい。お弁当が。一つ一つが座布団くらい大きい。…これではシーサーキングダムトリオがふくよかになるわけだ。おかずも豊富で色々入っている。
『『くわっちぃーさびら♡』』
シーサーキングダムトリオが猛烈な勢いで食べ出した。見惚れてしまうくらいの食べっぷり。しかし
きゅるきゅるきゅ〜
歌う様な腹の虫を鳴かせているWooちゃんは困った顔をしている。マゴッタはピンときて
『Wooちゃんは甘くないと食べられないからね〜♡』
と言ってさっきのお弁当屋さんで買っておいたRQだんごを出してあげる。ちっちゃい串の先に団子が二つ。みたらし団子に似ている。とっても甘くて美味しそう。途端にWooちゃんはニッコリ。マゴッタはダッシュで離れる。
アンガー パクッッッ!
十本あった団子は綺麗に消えた。皿の上も甘だれの一滴も残っていない。…なのに何故か新品の様に綺麗な串が十本転がっている。Wooちゃんマジックか?
もっちゃもっちゃもっちゃ
『う〜〜〜〜♡』 キラキラ
『本当にこの子は凄いね〜、綺麗に食べるわ。ガツガツ』
PAIパヤさんが巨大な弁当を猛烈な勢いで食べながらWooちゃんの食事の感想を言う。…そこを褒めるか?PAIパヤさんもKB佐藤さんも口の周りに食べ物を付けながら凄い勢いで食べている。…しかも二人ともげっそりしていたのが普通の顔くらいまでは戻っている。やはりシーサーキングダムトリオはスーパータフなようだ。マゴッタはそんなに物凄いドカ弁は食べられないのでスパームニギーリと言うおにぎりを。ヤドカリの妖精さん二人とお揃い。サーメNYANは赤い豆腐?のようなものを食べようとしている。ちらっとサーメNYANと目が会う。サーメNYANの目がキラリ。流石に純真なマゴッタでもサーメNYANの食べ物は危険と感じ出していたので、慌てて目を逸らす。さあゆっくりスパームニギーリを食べようかと正面を向いたら、他のものと目が合った。
『?』
マゴッタと目が合ったのはオープンしたハウスマゴッタのゲートの向こう。そこにはヤドカリ(?)の妖精さんがいた。でっかい。とてつも無くでっかい。ハウスマゴッタと同じくらい…いやもっと大きいか?マゴッタは目が合ったような気がしたが、正確に言うと巨大ヤドカリ(?)の妖精さんはマゴッタの方向を見ているがマゴッタを見ているわけではなかった。妖精さんが見ていたのは…
『わ〜〜〜♡やっと私にもピッタリの服が見つかったわ。しかもおあつらえ向きに白。サイコー♡!』
…?何か場違いなことを言っているような気がするが。Yカリンちゃんがその巨大ヤドカリ(?)の妖精さんを見て、
『あ、やっと来た、西ケ谷さん♡』
と笑顔になったが、肝心の巨大ヤドカリ(?)の妖精さんはそのままドスドスと音を立ててその場で後ろを向く。そして…
どず〜〜〜んんん!!
何か大きなものがハウスマゴッタに侵入してきた。
『『『わ〜〜〜〜〜〜!!!』』』
シーサーキングダムトリオとヤドカリの妖精二人、それにマゴッタ達三人みんな吹っ飛ばされた。
コロンコロンコロン
『何?なになになに??!!』
マゴッタはパニック。
『ク、クルシイ!タスケテマゴッタ!!』
さらにはハウスマゴッタの苦しそうな悲鳴が。どうやら巨大ヤドカリ(?)の妖精さんにお尻を突っ込まれたようだ。…部屋一杯ぎゅうぎゅうになってしまうような大きなお尻を。どうもハウスマゴッタを服(家)として認識してロックオンしたようだ。これではハウスマゴッタは堪らない。口いっぱいに巨大ヤドカリ(?)のお尻を突っ込まれて身動きが出来ないようだ。大汗をかいて(家なのに)苦しんでいる。二人のヤドカリの妖精さんも部屋の隅っこに押し込まれながら
『大変!西ケ谷さんヤドカリの本能で周りが見えなくなっているみたい!』
Yカリンちゃんが部屋の隅っこに押し込められながら叫んでいる。ハウスマゴッタもパニックなら中のみんなもパニック。
キラーン!
サーメNYANが目を光らせながらクルクルっと回転して僅かに残っているスペースに着地する。かっこいい!そしてさっき食べようとしていた赤く四角い…ヨートーフとか言う食べ物を大きな塊のままマゴッタのお口にポン。続いて自分のお口にもポン。マゴッタは西ケ谷さんのお尻とハウスマゴッタの部屋の壁に挟まれながらもちゃもちゃと噛む…と言うより体を揉みしだかれているので口の中の物も噛んでしまうと言う感じ。すると
『『しょっぱ〜〜〜〜!!きつ〜〜〜〜〜!!!(お酒は二十歳になってから)』』
『う〜まにゃん♡』
世にも不思議な叫び声とサーメNYANの場違いに嬉しそうな声が余計場を混乱させている。
クルクル ピカー!
サーメNYANの頭の渦巻きが回り一つのツブが大きく光る。するとサーメNYANの頭の上にはライオンが。…と言っても可愛らしい絵で顔だけだが。それでも百獣の王。どんなに凄い能力が顕現するのか。
ぴょん もふふ
サーメNYANのちっちゃな両手に三本の爪が。それにもふもふのマフラーの様なたてがみが出来た。
『にゃおぉぉぉぉ〜ん!』
サーメNYANが両手を振り上げて遠吠えを。カッコイイ。
対してマゴッタはキリキリ舞した後にバッタリと倒れ、体が赤?桃色?両方混ぜた様な色に変化してきた。それに身体中から上に向かって緑の葉っぱの様なものが生えだす。さらにはマゴッタの顔の部分は白いままなのだが、小さくて黒い点の様なホクロがたくさんできた。
Fドラガン
マゴッタはドラゴンフルーツの妖精に変身してしまった。
まずはサーメNYANが西ケ谷さんのお尻に飛び掛かる。三本の爪で。西ケ谷さんピンチ!
かりかり かりかり か〜りかり
…?これは?サーメNYANは攻撃していると言うより、爪を研いでいる?ちょっと嬉しそうに西ケ谷さんの巨大なお尻で爪を研いでいるようだ。すると
『ん…?きゃははははは、くすぐったい』
そう言って西ケ谷さんはお尻を引っ込めた。つまりはハウスマゴッタから一旦お尻を出した。しかし西ケ谷さんは諦めない。再びハウスマゴッタにお尻を突っ込もうとする。そこへ
『はちょーーー!!』
Fドラガンは空手のような構えでハウスマゴッタの前で西ケ谷さんの巨大なお尻に立ちはだかる。とっても厳しい真剣な表情…の様にも見える。
パシッ ひょい パシッ ひょい
Fドラガンはハウスマゴッタを守るため西ケ谷さんの巨大なお尻を右に、左にと弾く。…Fドラガンはパリィ専門のようだ。何回かその動きを続けているうちにリズムに乗って調子付いてきた。
『ヨッ、ハッ、ヨッ、ハッ!』
Fドラガンの声も合いの手っぽく聞こえ出す。するとそれを見ていたYドリンちゃんが急にニコーッと笑顔になって背中の三線を弾き出した。
ぺんぺぺんぺぺん、ぺぺんぺぺん、ぺぺんぺぺん♬
Yドリンちゃんの演奏が周りに響き渡る。とっても上手だ。すると
シャキーン!
シーサーキングダムトリオの目つきが変わった。両手を上に掲げると、手首を曲げてクネクネさせながら満面の笑顔でダンスを始める。その場でクルクル回ったり左右に手を振ったり。
『アーイーヤ、イーヤサッサー♬』
Yカリンちゃんが音楽に合いの手を入れる。Yカリンちゃん自身も楽しそうにダンス。そして…
いつの間にやら西ケ谷さんもダンスを初めている。とっても楽しそうにダンスをしている。…取り敢えずハウスマゴッタの事は忘れてくれたか?それにしてもこの曲にはシーサーキングダムの民をダンスに誘う魔法でもかかっているのか?Fドラガンもダンスを初めている。少し空手の動きが混ざっている様なダンスだ。ライオン化(?)したサーメNYANも立て髪と爪をふりふりダンス。Wooちゃんも触覚ふりふりダンスダンス。みんなとっても楽しそうにダンス。
*
『ごめんなさいぃ〜、中に皆んな居るって気付かなかったの…』
西ケ谷さんがとてもしおらしく謝っている。大きな体を一生懸命小さくして。可愛い。…が、ハウスマゴッタはフライトモードで空中に逃れている。いつもは縦長の目が横長になって疑心暗鬼の表情だ。冷や汗までかいている。ハウスマゴッタはとっても人間臭いお家。Yドリンちゃんが西ケ谷さんを庇うように
『ごめんなさい、私たち(?)ヤドカリの妖精は服のこととなると夢中になっちゃうから…。三人で赤、青、白で揃えられたらトリオでトリコロールだね♡なんて話もしたばっかりだったし…』
…三人ともオシャレさんの上にダジャレまで好きなようだ。色々あったが一軒の家(?)を除いてみんな楽しそうな笑顔で良かった良かった。三人は頭をペコペコ下げて帰って行ったがハウスマゴッタは最後まで下に降りてこなかった…。
三人を見送っていた04ゴヤさんがポツリと
『西ケ谷さんはヤドカリじゃなくてヤシガニの妖精さんじゃないのかねぇ?…おっきいし…』
独り言をつぶやいたが他のみんなには聞こえなかったようだ。
*
楽しかったシーサーキングダムでのバカンス?も終わりタマサンフリーダムに戻る時がやってきた。
『もう直ぐバーンチユナイテッドのタリーナからピーナツLineさんが来るよ。タマサンフリーダムならそれに乗って帰れば早いよ。あの妖精さんなら大きいからハウスマゴッタも余裕で乗っけてくれるよ』
04ゴヤさんが丁寧に教えてくれる。ほんとシーサーキングダムトリオはみんな優しい。
きーん…
言っている側から遠くの方にそれらしき機影(?)が。飛んでくるのはおっきな殻付きのピーナツ。前後の膨らみの両側に羽が二枚ずつ、合計八枚。トンボの羽に似ているかな?それに一番前には蔦のように細長い目が真っ直ぐ飛び出ている。その長い目が近づくにつれ上の方に上がっていった。…が、どんどんどんどん近づいてくる。近い近い!というか危ない!
『『きゃー!』』
タマゴ達三人とシーサーキングダムトリオがその場から逃げようとした時ピーナツLineさんがピタッと止まった。近くで見ると大汗をかいている。慌てた口調で
『大変大変!マゴッタ!バーンチユナイテッドが大変なんだ!!』
風雲急を告げる!…?次の冒険も大変なことが待ってそうだ。
*
読んでいただけました?沖縄は方言、文化等残していただきたいものの宝庫だと思っています。いつかは沖縄に行ってあの大きなお弁当に挑戦してみたいと思っているのですが…。
kzfactry