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9.皇帝一家との面会

リリアベルが久しぶりに、ベッドから起き上がり改めて周りを見渡すと・・

ものすごく豪華で可愛らしいお部屋にいた。


「リリア?起きたの?」

「・・・ジェル君?」

そこには、あの時瘴気で苦しんでいたジェラールが、学園の制服をきて部屋に入ってきた。

「やっと目を覚したんだね。心配した・・このまま目覚めないんじゃないかって・・エマに聞いたら、サラヴィア王妃と一緒で、身体は強くないって聞いたから本当に心配した。だめだよ?イグネイシャスがちゃんと伝え切ってないのに、光魔法使って俺を助けようなんて・・目を覚してくれてよかった」

「あっ・・・えーっと・・ごめんなさい」

リリアベルは、あったかい温もりに安心を覚える。

「それでいいよ。俺はこれから学園に行くけど、また帰ってきたら、様子見に来るからね?それと部屋から出るなら、そのメガネはかけてね」

ジェラールはそう言い残し、部屋から出ていった。


リリアベルは、エマからもらったメガネを手に持って握ると「お母さんに会いたいね」と呟いた。

リリアベルはなぜかイグネイシャスが、同じ部屋にいたから安心していた。

朝ごはんは、胃に優しい薬草スープとパンだった。

パンは一口しか無理だと残していたら、イグネイシャスに「わん」『しっかり食べろ』と怒られた。


夕方になり扉が開くと、ジェラールが入ってきた。

「リリアベル・・朝も昼も薬草スープしか飲んでないって報告受けたよ。だから学校帰りに、買ってきたこれ食べて」

ジェラールから渡されたものは、エマの作ったパンだった。

「お母さんのパン?」

「そう。エマさんも心配していたよ。あっ、そうそう俺に剣術教えていたアイザック・・凄腕の剣客だってことがわかって、皇城の騎士団に勧誘したんだ。アイザックなら、明日にでも会わせてあげることができるけど、リリアベル・・君はまず自分のことを知ろうか。ね?」

ジェラールは笑顔で有無を言わせず、扉を開けて出て行った。

リリアベルの少食ぶりは、シルヴィアもサラヴィア通してよくわかっていた。そのため夕食時に、ベッドから降りる許可があるならと、ジェラールに連れてくるように頼んだ。

シルヴィアの侍女アイリスに初めて着る赤色の可愛らしいドレスに、身を包むとジェラールが迎えに来てくれた。

ジェラールによる初めてのエスコートで、リリアベルはイグネイシャスとともに初めて部屋を出る。


初めてみる皇室の食堂へと通された。

すでにジェラールとリリアベル以外は、揃っている。

「遅れてすみません」

「いや。いい・・リリアベル、まだ体調が万全じゃないなか、呼び出してすまないね」

エドワードは、ワインをグラスに注いでもらいながら、リリアベルを初めてみる。

(はぁ・・これはジェラールが好きになるのも、止められないな。命を救ってもらった上に、シルヴィアの結婚式で見たサラヴィア王妃まさに彼女の美貌を受け継いだ。美少女だ)


「初めまして、リリアベルです」リリアベルは、ソプラノのような可愛らしい声で挨拶をする。

「いいのよ。リリアちゃん。初めてしっかり起きてる時に、会えて嬉しいわ。ジェルったら、起きてる時はだめだって言ってこちらの意見は、聞いてくれなかったのよ」

シルヴィアは雰囲気から何から何までサラヴィアに似ているリリアベルが、気に入ってしまった。

(マリアはちっとも、ドレスで着飾ってくれないんだもの。それに比べてリリアちゃんは、きっと可愛らしいものが好き。そんな感じがするわ)

シルヴィアは、ジェラールとがリリアベルを構い倒す姿を見て、そんなことを考えていた。


「それで?お父様?そろそろ話してもらってもいいですか?」

1人話がわからないマリアベルが、エドワードを話の催促をする。

「ああ・・そうなんだが・・リリアベルちゃんの心がしん・・・」

わん『もし、コイツが思い悩むようなら、俺がいる』

ジェラールはエドワードに、イグネイシャスの言葉を伝えると、給仕しているものを全員外に出した。


エドワードは、一家の父として優しく語りかける。

「リリアベル。君は、ここにいるシルヴィアの実の妹サラヴィア王妃の忘形見だ。君は、今は亡き国ガーランド王国の王女だった」

「王女だった?」

リリアベルは、しっかりと聞いてこなかった話に緊張が走り、思わず隣いるジェラールの手を握る。

「そう・・君は内乱に巻き込まれて、サラヴィア王妃がエマに頼んで、亡命を決意させたんだ。その時に一緒に我が皇国に逃げてきたのがガーランド王国の騎士団長を務めていたアイザックだ。アイザックは、イグネイシャスをヴァレリオ国王から、託されたそうだ。そこからの話は、君でもわかるはずだ」

それを聞いてリリアベルは、エマとアイザック、イグネイシャスとノアとマシューと一緒に暮らしてきた日々を思い浮かべる。


「そのガーランド王国は、ただ唯一の同盟国だったアイゼンフィールドと内政を立て直しているという噂がある。すまないな、ガーランド王国は閉鎖的だったために、何もわからないのが現状だ」


「いえ話してくださってありがとうございます。私、シルヴィア皇妃様を見た時にお母さんより自分に似てるって思ってしまったんです。そのような理由が隠されてたんですね・・イグネイシャスありがとう。ずっとそばにいてくれて・・『何も考えずにありのままの愛情を受け入れろ』って言ってくれてありがとう」

リリアベルはずっとそばについててくれたイグネイシャスの首に、抱きついた。

「リリアベル?大丈夫?」

ジェラールが、リリアベルの顔を覗き込む。

「うん・・ずっとイグネイシャスがいてくれたから・・きっとこういうことだったのね」

リリアベルの穏やかに、現状を受け入れる姿は誰しもが好感を持てた。

「お兄様が、お優しい・・まさかとは思いますけど、こんな子どもとの結婚を考えてらしてるんではないでしょうね?」

直感で動くマリアベルは、思っていたことが全て口に出てしまう。

「う〜ん・・マリア・・子どもと言ってるがな?ジェラールだってまだ12歳もうすぐ13歳になる子どもだ」

「こんな大人びた兄を子どもだなんて、思ったことないわ」

「確かに思えないわね・・」シルヴィアがポツッと出た一言で、給仕の者たちの出入を解禁させた。

「マリアベル様は?いいのですか?」

「いいも何も。貴女別に、傲慢でもないし、高飛車でもないから、反対はないわよ。私の嫌いなタイプは、傲慢、高飛車、いい子ぶってる子。それにあっちにいい顔したり、こっちにいい顔したりする人ですわ。あと1番嫌いなのは、嘘ですわ。騎士道に嘘はあり得ませんわ」

マリアベルが並べた女の子の特徴は、いつもジェラールに寄ってくる子達だとリリアベルとイグネイシャス以外思っていた。

一変にいろんなことがあったリリアベルが、席を立とうとするとジェラールにもたれかかる。

「その回復しきっていない小さな身体には、いろいろ重たかったよね。俺が抱き上げて連れて行くね」

ジェラールに抱っこされたリリアベルは、驚いてジェラールの首にしがみつく。肉をたっぷりもらったイグネイシャスも、ジェラールの横に並んで、部屋に戻る。

その様子に、エドワードとシルヴィアは、微笑ましく眺めていた。

「お兄様って・・よくわからないわね」マリアベルだけが、1人冷静に兄の分析をしていた。

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