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8.皇女リリアベル!?には、反対です

リリアベルが、しっかりと覚醒したのは、それから3週間後のことだった。

リリアベルがベッドから、起き上がるのは許されたのはさらに1週間後のことだった。


「希少価値の高い光魔法の持ち主で、瘴気を払うことができます。ですが、無意識下に置いて魔法が発動されているので、体調に変化が起きやすい」

そのように医師から判断された時には、シルヴィアは驚いた。

(ガーランド王国は魔法を持たない国だったはず。だとするならよ?希少価値の高い光魔法は、サラヴィアが持っていた魔法になるのではないかしら)とシルヴィアは、考えた。


この国との交流を持ちたいと思っていたサラヴィアの願いは、まさかの『瘴気』と関係してたのではないかという事実に気づいた。

なぜか、9年か10年前からこの国ではあちこちで『瘴気』が生まれるようになっていた。

サラヴィアとやりとりした最後の手紙には、<瘴気で苦しむ民たちのために、どうにかしたいと思っているけれど、やはり限界があって、まるでイタチごっこ・・アイゼン王国にいるって言われてる光魔法の魔法師がいるといいんだけど、難しいわね>と書いた記憶があった。


「きっとサラヴィアは、私がジェラールの瘴気について話してたから覚えてたのね・・私たちのいたアイゼンフィールド王国では、18歳の成人を迎えないと、どんな魔法が使えるかわからない。サラヴィアは、結婚してからそれがわかったのね」


シルヴィアは誰もいない王妃の私室で、イグネイシャスに抱きつき泣いていた。


「すまない。シルヴィア・・内乱が起こったのは・・」

その様子に胸を痛めた、エドワードは心痛な面持ちで部屋に入ってきた。

イグネイシャスは、エドワードと引き換えに静かに部屋を出てリリアベルがいる部屋へと移動する。


シルヴィアは涙を拭うとエドワードの腕に、抱かれる。

「いえ。あなたたちのせいでは、ないわ・・私が思うに、イグネイシャスが祖国に居たくないと思わせた出来事・・それと関係している気がするの。ガーランド王国とは直接やりとりすることは、控えた方がいいと議会で判断されて最初は、お兄様を経由して2人で手紙のやり取りをしていたわ。

けれどあるときから、手紙をもらってないと兄から言われたの。ここの書簡にも何度も確認してもらったけれど、私は確かに、サラヴィア宛に手紙を出していたわ・・それ以来兄のことが、信頼できなくて、連絡取り合っていなかった。だからサラヴィアは焦ったのかもしれないわね」


シルヴィアの呟きに、エドワードは力強く抱きしめた。


そのことをイグネイシャスに問いかけると『まだ時期ではない』と言って、アイゼンフィールドで何が起きたのかは話してもらえなかった。今はまだ、シルヴィアの憶測でしかない。


「私、決めたわ。リリアベルを大切に育てるわ。サラヴィアの分も・・きっとあの子は、サラヴィアの魔法を受け継いでいる気がするの」


「ああ。大切に育てていこう」

エドワードも、シルヴィアの答えに賛成した。


夕食時に家族だけで集まり、リリアベルの今後について話し合ってる時だった。

兄弟として育つことに反対しているものが、1人ここにいる。

それがジェラールだ。

「父上・・リリアと兄弟ですか?」

「ジェラールあなた・・まさか?」

「そのまさかですよ。俺はリリアを・・リリアベルが気に入っています」

「勝手にしたら?私まだ、体調がよくないと言われ、リリアベルに会っていないんですもの」

マリアベルには、ジェラールを助けてもらったお礼として、皇城に連れてきたとしか伝えていない。

マリアベルは、よくわからないからこそ、リリアベルを預かることには賛成も反対もしなかった。

とりあえず。家族ではなしあった結果しばらくは、イグネイシャスとともに王家で預かることになり、リリアベルの籍は、未定となった。


「わん」『お前。王家で育ったくせに、マナーないな』

「何よ?このやたらと生意気なでかい犬。しかも喋るじゃない」

マリアベルは、突如横にきた白い犬を睨みつける。

「わん」『俺は、誇り高きフェンリルだ。当たり前のことを言ったまでだ』

「クスクス。イグネイシャスは、面白いね。リリアベルには、知識を与えといて。マリアには、ここにいる誰もが諦めたマナーの講義?」

「わん」『平民で育ったリリアでも。王家と変わらないマナーだぞ』

イグネイシャスからの言葉を聞いたシルヴィアは「それは、エマの教育の賜物だわね」と笑顔で2人と一匹の会話を見守っていた。それは、いつかの自分を思い重ねていた。

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