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7.再会とそして新たな場所へ

翌日リリアベルは、高い熱を出しベッドでうなされていた。

リリアベルの状況を知るイグネイシャスは、どこからともなく薬草を持ってきてはリリアベルのおでこに乗せていた。


リリアベルが心配で、店が開けられないエマは『臨時休業』を表にかけた。


「熱が下がりませんね・・元から体調崩しやすいですから、本当に気をつけて欲しいのですが・・」

エマはずっとサラヴィアの侍女をしていただけあって、どうしたら体調を崩しやすくなるのかよくわかっていた。

リリアベルが体調不良にならずに済んだのは、エマのおかげでもある。

さすがにこの状況だけは、エマも初見だと言うこともあり、手探りだった。


突然イグネイシャスが「わんわん」と吠えると、お店の玄関へと向かった。

「イグネイシャスは、ここをでたいのかしら?リリアベル様が寂しがりますから、すぐ戻ってきてくださいね」

エマが扉を開けると、そこにはサラヴィアの姉シルヴィアとエドワード皇帝が、立っていた。


「やっぱり・・思っていた通りだったわ・・エマ?エマなのね??どうして、何も言わなかったのよ」

「シルヴィア様・・どうして?」

シルヴィアは、エマに抱きつくと再会を泣き出した。

そして、エマは悟った。(このかたは・・ずっとサラヴィア様との再会を待ち望まれていたんだわ)

「わん」『シルヴィア。久しぶりだな。お前の息子なかなか、見どころがあるじゃねーか』

「イグネイシャス?どうしてこの国に?」

「わん」『あの国には、いたくなかったからな。イーサンに頼んで俺の言葉がわからないガーランドへサラヴィアの元に一緒に連れて行けと頼んだ』

「わん」『まさかあの国が内乱起きるなんて、思わなかったけどな。ずっとサラヴィアの忘形見と一緒にいた』

イグネイシャスとシルヴィアは、ヒソヒソと話している。


その姿を見たエマは、「積もる話もあるようですから」と店の中にある飲食スペースを案内した。

お茶とパンを用意したエマは、イグネイシャスとシルヴィアの深刻なはなしのお邪魔になると思い・・リリアベルの様子も気になり、席を外そうとすると、「俺も一緒に行く」とエドワードもエマと一緒にリリアベルが寝ているところへ連れ立っていく。


「そうか・・この子がサラヴィア嬢・・いやサラヴィア王妃のお子さんだな?」

「はい・・リリアベル様でこざいます。本名を名乗らせるわけにはいきませんから、ここでは『リリア』と名乗っていただきました」

「そういえば、シルヴィアは『サラとね。お互い女の子が生まれたら、語尾に『ベル』をつけようね』って約束したのを聞いた事がある。そうか・・この子は・・聖獣イグネイシャスとともに皇城で預かろう。民衆の間では、大きな犬を飼っているパン屋があるとしか聞いていなかった。アイゼンフィールドの聖獣は、アイゼン王家に連なるものしか見たことがないと言われている。お前がわからなくて、当然だ」

エドワードは、エマがやってきたことは、間違いではないと諭した。

「それにいきなりお前が皇城に来て、シルヴィアに会いたいと言われたところで、多分検査は厳しい。会えない確率の方が高い。だからアイザックとエマの判断は、決して間違いではなかった。こうして巡り会える事ができたタイミングが、お互い1番ベストなタイミングだったと言えよう」


エドワードは、気をうしなっているリリアベルを抱き抱えると、シルヴィアとイグネイシャスのところへ戻った。

「エマと言ったか?リリアベルは、今日から王城で預かる。これはお前の身分証にもなる。リリアベルに会いたかったら、いつでもきたらいい」

「ええそうよ。それに、侍女としてまたお城で勤めてもらっても大丈夫よ」

シルヴィアは、イグネイシャスと話したことで少し、元気が出たらしい。

シルヴィアは、「サラヴィアの忘形見は、大切に育てるわ」とエマと約束を果たし、パン屋を後にした。

(仲良かった2人の姉妹・・リリアベル様にきっと良い導きがありますように・・)

エマはそう思いながら、後続の馬車を見送った。


馬車が見えなくなってから、アイザックが息子2人を連れて帰ってきた。

「リリア姉ちゃんに、花持ってきたんだ。喜ぶかな?」

無邪気なノアの肩に手を置いて、エマは綺麗な夕日を見つめる。

アイザックと息子たちに「時が来たのです。リリアお嬢様は、帰られるべき場所に帰られたのです。嬉しいことではありませんか?私は、やっとサラヴィア王妃殿下からの遺言を守れたような気がします。あの方なら・・シルヴィア皇妃様なら、リリアベル様を大切に育ててくれるとそう信じています」

エマは、泣き笑いながら、自分の使命を果たしたこと・・これで良かったと心からの想いを家族に伝えた。

「寂しいけど・・リリア姉さんは、僕たち家族と似てなかったら、なんとなく訳ありなんだろうなとは思っていたよ。でも誰も何も言わないか聞かなかったけど、帰る場所があるならその方がいいよね」

ノアより大人びているマシューは、アイザックとエマは何かしらの使命があったことに気づいていた。

「それもそうだね?イグネイシャスは、僕たちにはよってもこなかったよね・・剣術習いにきてたお兄ちゃんには、寄っていったのにな・・」

「それも・・きっと何かのご縁があったのでしょう。さぁさぁ・・またリリアベルお嬢様にお会いした時に、大きくなった姿を見てもらいしょうね」

「うん。そうする。お花は、またその時に渡す」

マシューとノアは、いつものようにお家に入っていく。

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