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黄色い肉屋さん

掲載日:2024/10/10

※この小説はホラーです。

 ラジオネーム『ピンクの首切りバニー』より


 こんにちは。初めて投稿させていただきます。

 私は小説を書くときに、SNSの友達と一緒に作業通話をしています。

 ビデオ通話ではなく、アイコンだけが表示されていて相手の顔が見えないものを使っていました。自分の顔を見られるの嫌なので。

 私のネット上の友達はいろんな年齢層の人がいます。下は中学生から上は三十から四十代くらいまで。

 通話ルームを開くと時間の空いている人たちが入れ替わり立ち替わり入ってきて、多いときには十人以上でおしゃべりに興じることもありました。


 その日は私を含めて五人ほどでいつも通り作業通話をしていました。

 私と同じく小説を書いていたり、イラストを描いていたり、ただおしゃべりをするためだけに来る人など、様々です。

 通話をしていた中学生の女の子が「人肉食べたいけどなかなか手に入らないんだよね~」と言い出したのです。

 その子は中二病というのか、「自分は魔族で、魔界からネットしている」みたいな設定でSNSや通話でごっこ遊びをしていました。

 そこに、私と同年代くらいの女性が「わかる、人肉は犯罪になっちゃうもんね」と調子を合わせたのです。

 その女性はいつ頃から仲良くなったのかよく覚えていないのですが、年齢が近いこともあり、SNSで繋がったときにすぐ意気投合して、通話などでもたびたび遊びに来てくれておしゃべりするようになった人でした。


 しかし、その女性が妙なことを口走り始めたのです。


「人肉は自分で狩ると足がついちゃうから、専門の肉屋さんで買うといいよ」


 そして、オススメの肉屋さんとその住所、人肉を購入する手続きなどを詳細に教え始めたのです。

 私たちは最初は「中学生の女の子に話を合わせてるのかな」と思い笑って見守っていたのですが、あまりにも具体的すぎてだんだんみんな苦笑い、最終的に困惑してしまいました。

 例の中学生もまさかそんなアドバイスをもらうとは思っていなかったようで、ドン引きして黙り込んでしまったのです。

 女性はみんなの沈黙に気付いたのか、「あ、ごめん! 設定に合わせなきゃと思って即興で話を合わせたんだけど……」と申し訳無さそうに謝って、その場はすぐに他の話題に移りました。


 でも、私がそのあと女性が言っていた住所をネットで検索すると、そのお肉屋さんが実際にあったんです。

 即興で言ったわりには、本当に肉屋さんの住所を知っていた……もしかしたら女性の近所の肉屋さんを適当に口走ったのかもしれませんが、怖い話が好きな私はちょっと興味を持ってしまいました。

 それで、実際にそのお肉屋さんに行ってみることにしたんです。

 そのお店の住所は書きませんが、私の住んでいるところから電車で行ける範囲の場所で、緑の多い住宅街の中にありました。

 黄色い看板のお肉屋さん……って書くと特徴的ですぐにバレるかもしれませんが、とにかくその黄色が目を奪うお店だったのです。


 私はドキドキしながらそのお肉屋さんに近寄りました。

 見た目は普通のお肉屋さんだったと思います。ガラスケースに豚バラとか牛ロースとか肉が陳列されていて、その向こうに気の良さそうなおばあちゃんが店番をしていました。

 私はおばあちゃんに「こんにちは! おつかいで来たんですけど」と、あの女性の言った通りの手順で人肉が買えるか試してみることにしました。

 あらかじめ用意しておいたメモに「黄色いお肉をください」という合言葉を書いて、おばあちゃんに渡したのです。

 そのメモを見たおばあちゃんの目が弧を描いたのが今でも忘れられません。


「はいはい、お肉ならありますよ」


 そう言って、店の奥から出されたのは、脂身が黄色いお肉でした。

 私には、それが本当に人肉だったのかはわかりません。だって、本物の人肉なんて見たことないから。


「百グラム二千円だよ」


 これを買ったらまずい、どうしよう、と頭の中が警鐘を鳴らしていました。

 私は財布を覗いて、「あ、ごめんなさい。思ってたより高くて、手持ちが足りないので、また今度」と咄嗟に言い訳をして、店を去ったのです。


 その後、通話ルームにあの女性が来ることはありませんでした。

 気になって聞きたかったのでSNSのアカウントも見に行ったのですが、ちょうど凍結祭りがあって、彼女も巻き込まれたようだったのです。

 他にSNSもやってないみたいだし、新しくアカウントを作ったり、凍結に対して異議申し立てもしてないみたいで、そのまま彼女と会うことはもうありませんでした。


 また妙なことに、作業通話で他の友だちに彼女のことを聞いてみると、みんな覚えていないようだったのです。

 あの中学生の女の子も「そんな人いたかな? 人肉の話も覚えてない、そんな話されたら忘れようがないでしょ」といった具合。

 よく考えてみたら、私は何がきっかけであの女性と仲良くなったのでしょう? あの女性はそもそも誰だったのでしょうか? 今はもうアカウント名も何も思い出せません。多分このまま記憶の海から消えていくのだと思います。

 ちなみにお肉屋さんは今も営業しているみたいですが、もう行くことはないでしょう。

ここまで読んでくださり、誠にありがとうございました。

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