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プロローグ
「相変わらず固いなあ」
スパイクでマウンドの土を削りながら俺は笑ってしまった。富山の片田舎の野球少年が今やWBCの決勝、野球世界1を決める舞台の決勝でマウンドに立ったのだ。俺は特別、足が速かったり、ボールを遠くに飛ばす才能があるわけじゃない。ただ、他のピッチャーとは違う投げ方をしている。アンダースロー、野球の投手は上から投げる選手が多いが、俺は違う。下から投げる珍獣だ。今こそ球界を代表する選手になった自覚はあるが、俺はただの野球が好きな少年だった。今でも忘れない、親父に言われたこの言葉を
「雄太、アンダースローやってみないか?」
中2の7月に始まった俺の下手投げ人生が、大きな転換期になるとは当時の自分は思っていなかった。
初投稿です。
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