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縁【エニシ】

おはようございます。

更新致しますが、ギリギリラインばかりです。

苦手な方はお気をつけ下さい。

里に入ると同時に荊軻(ケイカツ)背後(ハイゴ)隊士達(タイシタチ)(ネギラ)いながら()って良いとだけ伝えた。待ちかねたように散っていくのは隊士達(タイシタチ)だけでなく枉駕(オウガイ)荊軻(ケイカツ)も同じだった。(ハル)か先を()けて行く(シン)の背中を見送りながら(オノレ)(ヤシキ)に戻って行く。荊軻(ケイカツ)枉駕(オウガイ)も居なくなり宮に戻る途中(トチュウ)弟妹(テイマイ)達も散って行くのを軽く手を振って見送りながら媟雅(セツガ)住処(スミカ)である宮へと()けた。弟妹(テイマイ)達の気持ちは分かりすぎるほどに分かった。身体の(シン)から(シビ)れて()き立ってくる(タギ)る思いが頭の中までも支配(シハイ)しているようだ。まだ(モヤ)のかかったような頭を小突(コヅ)きながら、今なら(ダレ)とでも(ジョウ)()わせそうな気がした。けれどまだ心の整理(セイリ)がついていない。このまま本能(ホンノウ)のまま(ダレ)とも知らぬ者と(ジョウ)()わしてしまえば、冷静になった時に後悔(コウカイ)するのは目に見えていた。


元から弟妹(テイマイ)達のように只(タノ)しむだけの相手を持っていたならばそう思いはしなかっただろうが、媟雅(セツガ)舜啓(シュンケイ)しか知らない。(サイワイ)にも三日(ミッカ)休息(キュウソク)はもらえたし、その間に熱も冷めるだろう。出立(シュッタツ)前に宮の外に(ツド)った者たちの中にちらりと舜啓(シュンケイ)の姿が見えて、(シン)(ゾウ)()ね上がったのを思い出す。(タダ)ほんの少し姿が見えただけで()()なのであれば顔を合わせることも言葉を()わす事も今はまだ(ムズカ)しい。その気持ちを(トトノ)えるためにも(アタ)えられた三日(ミッカ)有難(アリガタ)かった。


厄介(ヤッカイ)(オモ)いだ、と大きく嘆息(タンソク)してしまう。舜啓(シュンケイ)だけが男であるわけでもなし。(マワ)りを見渡(ミワタ)せばどれだけでも男はいるではないか。(アマ)りにも長い(ジカン)を共にし過ぎている分、想いを整えるにはまだまだかかりそうだ。本当に心が整ったら弟妹(テイマイ)達のように(ジョウ)()わすだけの相手でも見つけてみよう。やれやれ、と思いながら宮への道を急いでいると急に後ろから腕を(ツカ)まれて(イキオ)いが殺される。がくん、と急激(キュウゲキ)に止まるしかなかった身体をどうにか(ササ)えて落ちないように足を止める。何?、と思いながらも(タギ)る身体で腕を(ツカ)まれて背中に(フル)えが走った。一緒(イッショ)に行った隊士達(タイシタチ)の誰かだろうか、と(ツカ)まれた腕に熱が集まるのを感じながら媟雅(セツガ)は振り向いた。そこで息が止まるかと思ってしまう。


腕を(ツカ)んでいたのは舜啓(シュンケイ)だ。何故(ナゼ)か肩で呼吸をするほどに息が上がっている。(ウッス)らと(ヒタイ)(ニジ)んだ汗もそのままに切れる息の中から、(サガ)した、という声がする。は?、と言われている意味が分からなくてとりあえず(ツカ)まれた(ウデ)(ハズ)そうとするがますます力強く(ツカ)まれてしまう。(ハナ)して、と()うがそれも聞き入れられず息を切らしたままの舜啓(シュンケイ)(キビス)を返して()けだした。(ナカ)は引きずられるようにして宮と離れて行くのを見やりながら幾度(イクド)も離せと言ってみるが聞いているのかいないのか舜啓(シュンケイ)からの(コタ)えがない。どうにか(アラガ)おうとするのだが引かれる強さと()ける速さで上手くいかないまま見慣(ミナ)れた舜啓(シュンケイ)(ヤシキ)に連れ込まれた。ちよっと!、と(ワケ)の分からない媟雅(セツガ)がどうにか足を止めたがふわりと(カカ)え上げられてそのまま寝所(シンジョ)に連れていかれる。


「ちょっと、待っ…!」


(カカ)え上げられた腕の中で舜啓(シュンケイ)の身体を離そうとしたが言葉は(フカ)い口付けで行く先を(ウバ)われた。(タオ)れ込むように寝所(シンジョ)に横にされて両手で押し戻そうとするのだが、強く抱きしめられてそれも()されない。ただでさえ悧羅に当てられて(タギ)っているのにこんなことをされては(タマ)らなくなる。かといって舜啓(シュンケイ)を只、(ジョウ)()わす相手として見れるかと問われれば今はまだ(イナ)だ。幾度(イクド)(クチビル)(ハナ)された(スキ)に、やめて、と伝えてみるが言い終わらない内にまた口を(フサ)がれる。長い(ジカン)乱暴(ランボウ)(モテアソ)ぶように(クチビル)(ウバ)われ続けて(タギ)らされていた身体の(シン)(シビ)れて押しのける力も無くなった頃にようやく本当に解放(カイホウ)された。荒れた息を整えながら自分を(オサ)え込む。舜啓(シュンケイ)を見るとこちらもまた息を荒らしている。


ああそうか、と媟雅(セツガ)は小さく嘆息(タンソク)した。悧羅に当てられてどうしようも無かったから媟雅(セツガ)を探したのだろう。(ジョウ)()わす相手を(サガ)(ジカン)()しい(ホド)に当てられてしまっているのだろう。そう思うと何とも(カナ)しくて(ミジ)めになる。


どれだけ心を殺して忘れようと思っているのか。


そんな事も分からない者では無かったはずなのに、悧羅に当てられて鬼としての本能(ホンノウ)でしか動いていないのだ。(タギ)る身体とは裏腹(ウラハラ)()み上げてくる(ミジ)めさに涙が出そうになったが必死(ヒッシ)(コラ)えた。(ツブヤ)くように(ハナ)して、と言う声は自分にも届いたが思いの(ホカ)に冷たかった。真上にある舜啓(シュンケイ)の目が見開かれて一瞬(イッシュン)腕の力が弱まったがすぐにまた強く抱きしめられて口付けられた。手足(テアシ)(シビ)れるような官能(カンノウ)に身を(ヨジ)りながら、このまま流されたい思いを頭から追い出す。


「…(ジョウ)()わすだけの者ならすぐに見つけられるでしょう?お願いだから離して」


(タギ)って(ウル)んだ声で言っても()とは言わないだろうが、このままでは本当に媟雅(セツガ)も自分を(タモ)てなくなってしまう。(シビ)れた手で舜啓(シュンケイ)を押し戻そうとすると、(イヤ)だ、と首を振っていた。何が?、と思う。別れを切り出したのは舜啓(シュンケイ)であったし、媟雅(セツガ)も自分に()があると思えばこそ受け入れた。


媟雅(セツガ)が欲しい」


その一言に身体が(フル)えたけれどすぐに思い直した。今この状態(ジョウタイ)で言われても信じる(スベ)などない。冷静でいられないことは媟雅(セツガ)も分かりすぎるほどに分かっているからだ。もう一度小さく息をついて押し戻そうとするが舜啓(シュンケイ)は動かない。


「…(タダ)(ジョウ)の相手には()()なれない。そういう気持ちになれたら言うから、今は離して。熱を冷ましたい気持ちは分かるけど(ホカ)を当たってくれる?」


懸命(ケンメイ)冷静(レイセイ)(ヨソオ)って言ってみたがやはり真上の舜啓(シュンケイ)は首を振っている。


媟雅(セツガ)が良いんだ。媟雅(セツガ)しか欲しくない」


「…それは母様(カアサマ)に当てられたからでしょう?良いから(ホカ)を当たってってば」


身体を(ヨジ)ってどうにか横を向くと舜啓(シュンケイ)の腕の中から()げだそうと媟雅(セツガ)(ユカ)(ツメ)を立てた。この数日一番聞きたかった言葉だったけれどまさかこの状況(ジョウキョウ)で聞かされるとは思ってもいなかった。媟雅(セツガ)の気持ちがまだ舜啓(シュンケイ)(ウバ)われていることを分かっていて()()を言うのか、と(クヤ)しくなってくる。身体半分舜啓(シュンケイ)から逃げ出せて身体を起こそうとすると突然(ウナジ)に吸いつかれて思わず甘い声が漏れてしまった。びくりと(フル)えた身体がまた引き戻されてようやく逃げ出せた舜啓(シュンケイ)の腕の中に(オサ)まってしまう。そのまま首筋(クビスジ)(ホオ)に口付けられて(オボ)れそうになってしまうがどうにか()えてもう一度腕の中から()い出した。(ミダ)れた息と(カミ)を整えてから立ちあがろうとする媟雅(セツガ)の腕がまた(ツカ)まれる。


「…媟雅…、お願い…」


呼ばれ慣れた声に動きを止めてしまいそうになるけれど、振り向かずに頭だけを振って応える。


「…言ったでしょう?今はまだ(タダ)(ジョウ)の相手として舜啓(シュンケイ)を見れないって。もう少し(ジカン)頂戴(チョウダイ)。落ち着いて心が整ったらきっと(コタ)えることもできるから」


今は(ホカ)に見つけて、と言いたくもない言葉をもう一度伝えると腕の力が(ユル)んだ。大きく嘆息(タンソク)してどうにかなった、と立ち上がろうとする。少しでも早く宮に帰って水でも()びないと媟雅(セツガ)の心も身体も限界(ゲンカイ)だ。(ユカ)に手を付いて立ち上がった媟雅(セツガ)の腕を(スベ)るように舜啓(シュンケイ)の手が()でながら落ちて手を(ニギ)られる。


「離してもらえないと…帰れないよ…」


振り向けずに言葉だけで伝えると背後で首を振られた様な気配(ケハイ)がする。もう一度大きく嘆息(タンソク)して()いた手で(ニギ)られた手を(ハズ)していると小さな声がした。


「…好きだよ、媟雅(セツガ)…」


思わず手を止めてしまったけれどそれ以上の言葉はない。聞き間違いか、(ジョウ)()わしたいだけでつい出てしまったのだろうと思い直してまた(ニギ)られた手を(ハズ)し始めると、もう一度小さな声で同じ言葉が聞こえた。


「…好きなんだって…」


は?、と思わず振り向くと(ウツム)いて座る舜啓(シュンケイ)の姿が目に入る。(イブカ)しんでいるがやはりそれ以上の言葉は無くて手を(ハズ)そうとするとその手が小さく(フル)えていることに気づいた。舜啓(シュンケイ)?、と(ツブヤ)くように呼ぶと(ウツム)いたままで、ごめん、と言う声がした。


身勝手(ミガッテ)でごめん…。媟雅(セツガ)恋仲(コイナカ)になる前は俺は()()()()()してたのに、媟雅(セツガ)には(ユル)してなかった。この間のも媟雅(セツガ)ばっかり()めて自分のことなんて棚上(タナア)げにしてた」


何が言いたいのか分からなくて媟雅(セツガ)は首を(カシ)げてしまう。


「この間のことは私が悪いんだから別に舜啓(シュンケイ)(アヤマ)ることはないでしょう?舜啓(シュンケイ)だと分からなかったとはいえ身体(カラダ)を開きそうになったんだから(オコ)って当たり前じゃない」


小さく息をついて伝えるが(ウツム)いたままの舜啓(シュンケイ)はまた頭を振っている。当たり前なんかじゃないよ、と大きく嘆息(タンソク)すると舜啓(シュンケイ)(ニギ)った手を強く引いた。思い切り腕を引かれてしまって(カタム)いて(タオ)れ込んだ媟雅(セツガ)の身体を舜啓(シュンケイ)は抱きとめる。瞬時(シュンジ)に離れようとする媟雅(セツガ)(トド)め置いて、聞いて、と願う。身体が密着(ミッチャク)しないように両手だけは舜啓(シュンケイ)との間に置いたままで媟雅(セツガ)が動きを止める。


(スゴ)く考えたんだ。媟雅(セツガ)が俺に(シアワセ)でいてくれって言ってくれたから。でもこの数日媟雅(セツガ)の姿も声さえも聞こえなくて落ち着かないんだよ」


「それは長く一緒(イッショ)にいすぎたからでしょう?(ジカン)()てば(ウス)くなって行くよ。…私も出来るだけ早く普通(フツウ)(セッ)するように(ツト)めるから。舜啓(シュンケイ)舜啓(シュンケイ)(シアワセ)を見つけてよ」


ね?、と(サト)すように言うが舜啓(シュンケイ)は腕を(ユル)めずに頭を振るばかりだ。お願いだから、と願うがやはり頭を振ってくる。


「本当に身勝手(ミガッテ)だって分かってるよ。こんな時に伝えたって信じてもらえないのも分かってる。悧羅に当てられた今じゃあね。答えが出た時にすぐにでも媟雅(セツガ)に伝えに行けばよかった。…まさかこんな大きな(ツト)めが待ってるなんて知らなかったから今度会えた時に伝えようって勝手(カッテ)に決めてたんだ」


まあ極秘裏(ゴクヒリ)だったしね、と嘆息(タンソク)する媟雅(セツガ)の身体がまた引き寄せられて(アワ)てて両手の力を込めてそれ以上近づかないようにする。腕一本分では大した効果(コウカ)は無いのだが、それでも(ジカ)に触れるよりは身体の火照(ホテ)りも幾分(イクブン)かは(マギ)らわせた。


媟雅(セツガ)が俺と恋仲(コイナカ)に戻りたくないならそれでもいいよ。(ホカ)(ジョウ)()わしたいって言うならそれも目を(ツブ)る。…元々俺に()()をどうこういう資格(シカク)なんて無かったんだし…。どれだけでも待つからもう一度俺との事を考えて欲しい」


抱きしめられる腕も伝えてくれる声音(コワネ)(フル)えていて媟雅(セツガ)は思わず腕の力を抜いてしまった。それが伝わったのか抱きしめる腕に(サラ)に力が込められた。さらりとした舜啓(シュンケイ)の髪が顔に触れて耳元で(ササヤ)くように、好きだよ、と伝えられた。(タギ)り過ぎた身体にはそれだけで十分すぎるほどの刺激(シゲキ)だった。びくりと(フル)える媟雅(セツガ)見逃(ミノガ)すことなく舜啓(シュンケイ)は続けて(ササヤ)くように幾度(イクド)も想いを伝えて行く。(ササヤ)きながら耳を()むともう長い間聞くことの出来なかった媟雅(セツガ)の甘い声が聞こえてきて、舜啓(シュンケイ)限界(ゲンカイ)だった。想いに対する答えはないけれど、媟雅(セツガ)(タギ)り切っているのは長く(ジカン)を共にしてきたからこそ分かる。この状態で身体を開かせるのは卑怯(ヒキョウ)だと分かっていたけれど元々(モトモト)自分は媟雅(セツガ)に対してずっと卑怯(ヒキョウ)だった。


「…ごめんな…」


(ツブヤ)くように言って廻していた腕を()いたが媟雅(セツガ)身体(カラダ)を離す事はない。告白(コクハク)に対する答えでない事は分かっているけれど()いた手で小さな顔を(ツツ)んで上向(ウワム)かせる。小さな刺激でも(ノボ)っている媟雅(セツガ)の目が(ウル)んでいるのが見えて舜啓(シュンケイ)の中で何かが(ハジ)けた。


「…本当にごめん…。媟雅(セツガ)(セイ)にばかりして()げてた。(ユル)してくれなくても良いよ。本当にどれだけでも待つし、どんな媟雅(セツガ)の答えでも受け入れるから…」


顔を近づけながら(ササヤ)くが媟雅(セツガ)は身体を動かさない。(イナ)、動かせなくなっているのだろう。深く口付けて(タオ)れ込むと自分の隊服(タイフク)媟雅(セツガ)隊服(タイフク)乱暴(ランボウ)()ぎとって(ハダ)(カサ)ねる。さすがに隊服(タイフク)を脱がされる時には、待って、と(アラガ)うような声がして媟雅(セツガ)舜啓(シュンケイ)を押し戻そうとしたが(ムサボ)るように(クチビル)(ウバ)い続けて聞こえない振りをした。幾日(イクニチ)振りかに(カサ)ねた肌の感触(カンショク)だけで(タマ)らなくなっていつもはゆっくりと開く媟雅(セツガ)の身体を急いで開かせる。(イツク)しむ手が速すぎるのか(アラガ)いたいのに意思とは(コト)なって(ノボ)る身体に(アラガ)いたいのか、待ってと媟雅(セツガ)は繰り返しながらどうにか舜啓(シュンケイ)の腕から逃げようとしている。それに何度も、ごめんと(アヤマ)っては(クチビル)(ウバ)う。見慣(ミナ)れたはずの身体と聞き慣れたはずの媟雅(セツガ)の甘い声なのにたった数日触れずにいただけで舜啓(シュンケイ)(タガ)(ハズ)すには十分過ぎた。


想いを受け入れてくれた訳ではないのに、こうしてはならないと分かっているのに止められない。身体の(イタ)る所に口付けて都度(ツド)聞こえる甘い声が舜啓(シュンケイ)(クル)わせるのだ。


「…待…って…っ!」


どうにか(アラガ)おうとしていた媟雅(セツガ)の身体が大きく()り返って(ノボ)りつめびくりと()ねた。それでも(イツク)しむ手を休めずに居るともう甘い声しか聞こえなくなる。何とか手を舜啓(シュンケイ)の胸に当てて押し戻そうとしているようだが全く力が入っていない。抱きしめる腕の中で何度も(ノボ)っては()てさせて一際(ヒトキワ)大きな声と身体が()ねたのを見やって舜啓(シュンケイ)は目を細めてしまう。(ナマメ)かし過ぎる肌はしっとりと汗で()れて胸に当てられていた手も力なく落ちた。細く白い内股(ウチマタ)をすっとなぞるのが舜啓(シュンケイ)媟雅(セツガ)の中に入る、といういつもの合図(アイズ)だった。それが分かって(アワ)てたように身を起こそうとした媟雅(セツガ)の脚を持ち上げると、(イヤ)だ、と涙目(ナミダメ)になりながら頭を振っている。それに少し戸惑(トマド)ったけれど(スデ)に当てがってしまっている。


舜啓(シュンケイ)、お願いだから待って」


願われたけれどもう(コラ)えきれなかった。


「…本当に卑怯(ヒキョウ)最低(サイテイ)だよな…。こんな時でも()しくて(タマ)らないんだから」


「だから!その相手だったら(ホカ)(サガ)してってば!」


腰をずらそうとする媟雅(セツガ)を引き寄せてまた当てがうと、本当にお願いだから!、と涙を流し始める媟雅(セツガ)に口付けて、(ユル)してくれなくて良いから、と舜啓(シュンケイ)は一気に媟雅(セツガ)の中に入り込んだ。急激(キュウゲキ)に入り込まれて息を呑む媟雅を(カカ)え上げて膝に乗せるとより深く入り込まれて甘い声の中から、(イヤ)だ、と泣き声が聞こえ始める。けれど一度中に入り込んでしまっては()めつけられてもう出ることなど出来ない。


「ごめんな、今は媟雅(セツガ)しか欲しくない。(ホカ)の女なんて代わりにもならないんだよ。また媟雅(セツガ)を傷つけるのは分かってるけど、この三日(ミッカ)は俺に媟雅(セツガ)頂戴(チョウダイ)。…その後はどれだけでも()えるし待つから」


上に乗った媟雅(セツガ)を深く押しつけてより深く入り込むとそれだけで(ナマメ)かしさが増していく。


「どれだけでも(アヤマ)るよ。だけど好きなんだ。どうしようもないくらい。触れられないだけで声が聞けないだけで(クル)いそうだった」


動かずに伝えるが媟雅(セツガ)は腰を浮かせて舜啓(シュンケイ)を外に出そうとしている。それをまた(オサ)えつけて深く入り込むと(コラ)えきれない様な甘い声が上がった。少し動くと(イヤ)だと声を上げながらも(コラ)えきれずに()てる身体を強く抱きとめて動きを速める。悧羅に当てられたからなのか、それとも媟雅(セツガ)自身から立ち(ノボ)(ナマメ)かしさがそうさせるのかは舜啓(シュンケイ)にも分からない。(イヤ)だ、と(ウッタ)えられるが聞いてやれない。どんどん(イキオ)いを増して()き上げ続けると(イヤ)だと言いながらも、媟雅(セツガ)の腕が舜啓(シュンケイ)の首に廻された。肌と肌が触れ合って媟雅(セツガ)の腕が首に(マワ)されたことでもう(アキラ)めてくれたのだろう、とほんの少しだけ安堵(アンド)してより早く突き立て続ける。しがみついたままの媟雅(セツガ)の身体が三回()ねると締め付けも都度(ツド)強くなる。突き立てながら布団(フトン)に倒れ込んで勢いを殺すことなく(サラ)に動きを速めると、媟雅(セツガ)の腕が落ちた。どうにか舜啓(シュンケイ)の腕を(ツカ)んで()えているが甘い声と(アエ)ぎの中で懸命(ケンメイ)に首を振って嫌だと(シメ)す。それでも止める事が出来ずに()めたて続けると、嫌ぁ、と甘い声の中で媟雅(セツガ)は大きく()り返って()てそうになっているのが伝わってきた。どんどんと締め付けられる舜啓(シュンケイ)もさすがに限界(ゲンカイ)()ねる媟雅(セツガ)の身体を引き止めて深く入り込むと最奥(サイオク)で一度(ヨク)をはきだすとその刺激でも媟雅(セツガ)(フル)えている。


ぐったりと横たわる媟雅(セツガ)の中にますます入り込んで泣き続けている媟雅(セツガ)にもう一度、ごめんと謝って(ヒタイ)に口付けると(ボウ)っとした目で見つめられる。


「…待ってって…嫌だって言ったのに…」


「うん、そうだね」


「どうして…?私じゃなくても良いはずでしょう?」


媟雅(セツガ)じゃなきゃ駄目(ダメ)なんだって」


流れ落ちる涙を()いてやりながら涙を流すその表情さえも(ナマメ)かしくて媟雅(セツガ)の中に入ったままの舜啓(シュンケイ)がまた(タギ)り始める。悧羅に当てられた後里に戻る帰路(キロ)媟雅(セツガ)(サガ)したが一向(イッコウ)に見つからなかった。何百もの隊士達(タイシタチ)一斉(イッセイ)()け出したのだ。雑踏(ザットウ)(マギ)れて気配(ケハイ)さえ辿(タド)れない。隊士達(タイシタチ)()き分けて先を急ぐがどうしても見つけられなかった。里に着いても荊軻(ケイカツ)の許しがなければ散ることも出来ない。視線だけで周りを見渡しても見つけられず、もしかしたらもう(ホカ)(ダレ)かが(ツカ)まえているのかも知れないと考えるとそれだけで(フル)えが走った。()って良いとの許しが出て待ちかねた様に隊士達(タイシタチ)彼方此方(アチラコチラ)()け出してその中を()う様にして里中(サトジュウ)()け廻った。それでも見つけられなくて一抹(イチマツ)の期待で宮に向かったのだ。


何処(ドコ)かに連れ込まれているなら見つけるのは絶望的(ゼツボウテキ)だ。けれどもしかしたら宮に戻っているのかもしれない。全力で()け続けて息も上がると考えたくもない事ばかり思い浮かんでしまった。宮が見え始めて(イク)つかの(カゲ)が里の中に降り立って行く中に白銀(ハクギン)の髪が風になびいているのが見えた時には先程(サキホド)とは違う(フル)えが身体を(オソ)った。


誰にも(ツカ)まえられていなかった、と安堵(アンド)もしたがその(カゲ)の下に手を伸ばそうとしている者達(モノタチ)も見えてまた全力で()けた。他の手が媟雅(セツガ)に触れる刹那(セツナ)舜啓(シュンケイ)が腕を(ツカ)めた。舜啓(シュンケイ)が間に合わなければどんなに媟雅(セツガ)が望んでいなかったとしても悧羅に当てられた男の力には(アラガ)えなかっただろう。腕を(ツカ)まれて振り向いた媟雅(セツガ)一瞬(イッシュン)で心を持っていかれた。


どうして手を離す事が出来たのだろう、と強く思った。もっと考えていれば(ナン)なく今頃(ジョウ)()わせていたはずなのだ。悧羅に当てられた熱を(タガ)いで(シズ)め合っていたはずなのに…。


本当に(オロ)かな事をしてしまった。


他の男になど(ユズ)れるわけがない。(ユズ)ってなるものか、とその思いだけで媟雅(セツガ)を引き込んだ。そんな思いなど知る(ヨシ)もないだろうが、許してもらえなくても想いだけは伝えたかった。三日の休息(キュウソク)の間に見えない所に媟雅(セツガ)が居て、もしかしたら、と思い(ナヤ)むよりは卑怯(ヒキョウ)でも(ノノシ)られても自分の腕の中から出したくない。今まさに(イヤ)だと涙を流されていても舜啓(シュンケイ)休息(キュウソク)の間媟雅(セツガ)の中から出る事はしないと決めている。数日触れていなかった上に悧羅に当てられてしまっていることもあり三日(ミッカ)()りるのかも(アヤ)しいところだ。


入られたままで舜啓(シュンケイ)(タギ)っていくのが分かったのだろう。出て、と泣きながら媟雅(セツガ)哀願(アイガン)してくる。媟雅(セツガ)とて当てられているのだからこれくらいで()りているはずもないのに必死(ヒッシ)舜啓(シュンケイ)を押し戻そうとしてくる。その腕を片手で布団(フトン)に押しつけて(サラ)に深く入り込むと泣きながら甘い声を出してくる。


「…お願いだから…。これ以上(ミジ)めにさせないで…」


()()かれたままで甘い声と泣き声の混ざった声で言われても、(イヤ)だ、としか言えない。


媟雅(セツガ)(ミジ)めに感じることなんてないよ?…俺の方がそうだから」


少し動くだけで(ノボ)っていく媟雅(セツガ)(ミズカ)らが脚を開いて舜啓(シュンケイ)を受け入れていることにも気づいていないようだった。(アラガ)いたいのに(アラガ)えず、(タギ)りたくもないのに(タギ)った身体はどうにかしてくれと言わんばかりに(ウゴメ)いている。その刺激がまた舜啓(シュンケイ)()としているのも気づいていない。()え切れずに動きだした舜啓(シュンケイ)の耳にまた泣き声と(アエ)ぎに混ざって(コバ)む言葉が聞こえてくる。言葉とは裏腹(ウラハラ)(ナヤ)ましく腰を動かしてこられては舜啓(シュンケイ)(タマ)らない。逃がさないように腕は(オサ)えつけて甘い声を出す唇を(フサ)ぐと、それだけで媟雅(セツガ)の身体が大きく()ねる。強く締め付けられて()え切れずに舜啓(シュンケイ)()ててしまう。(クチビル)を離すとぐったりとしながら荒れた息の中で媟雅(セツガ)が首を振っていた。


「こんなの(イヤ)だよ。(ワス)れようとしてるのに…、(ハナ)れなきゃって思ってるのに…」


()れた(クチビル)()めると媟雅(セツガ)は、はらはらと泣きながら頭を振っている。


「じゃあ忘れないでいいよ?離れなくてもいい。俺のところに戻ってきてよ、今すぐじゃなくても良いから」


身体の下でまた身を(ヨジ)り始めている媟雅(セツガ)に向けて舜啓(シュンケイ)は想いを伝え続ける。幾度(イクド)も好きだと伝えても信じ切れないような媟雅(セツガ)に苦笑しながら、これが一度手を離したことへの(バツ)なのだ、と受け入れた。


媟雅(セツガ)が信じてくれるまで毎日でも伝えるから。待つのは()れてるし。その間に他と(ジョウ)()わしても良いから最後は俺のところに戻って。…()えられなくなったらまたこうしちゃうかもしれないけどね」


()()かれたままでどうにか抜け出そうとする媟雅(セツガ)の動きでまた(タギ)らされながら、言っとくけど、と舜啓(シュンケイ)は微笑んだ。


()()()()()()()と俺が(タギ)るよ?ただでさえ優しくしてやれないのにいいの?」


その言葉に媟雅(セツガ)が動きを止めた。(イヤ)だ、と言うがもう聞いてやれないところまで(タギ)らされている。


「悪いけど三日(ミッカ)休息(キュウソク)の間、(ハナ)してもらえると思わないでね?()がさないし、絶対媟雅(セツガ)の中から出ないから」


微笑んで伝えた言葉が(オド)しのようで、本当に卑怯(ヒキョウ)だ、と舜啓(シュンケイ)は思ってしまう。身体の下で(フル)え上がった媟雅(セツガ)が泣きながらもう一度(イヤ)だ、と頭を振ったけれどそれにも苦笑してしまう。


「ごめんな。聞いてやれない」


言うなり乱暴(ランボウ)(クチビル)(ウバ)って舜啓(シュンケイ)はまた媟雅(セツガ)を泣かせ続けた。

もう18禁にした方が良さそうな…。

いや、まだいけるか?と思いながら書いてます。

しばらくギリギリラインが続きますが、お付き合いいただければ嬉しいです。


ありがとうございました。

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