独立戦争1
「これは・・・本当なのか?」
「はい!間違いありません。上層部はエイリアンと接触しています。」
「・・・そしてこれが密約か・・・」
しばらく考えていたが、やはり行動に移すべきだろう。でなければ、俺達いや地球人すべてが奴隷にされる。」
私の名はアルディオダス。統合軍で中将をしている。
私の目の前には、私の意志に賛同してくれた同胞達が私の言葉を待っている。
「おはよう諸君!聞いているかもしれないが、今、我々は窮地に立たされている。そう、エイリアンの存在だ。残念なことに我が国は戦わず恭順の道を選んだ!しかし、皆がそうであるように私はそれを否定する!戦いもせず、ただ奴隷にはならない!我々は勝ち取るのだ真の自由を!そう、これは宇宙からの支配に対する独立なのだ!皆で独立を勝ち取ろうではないか!」
うぉぉぉぉぉぉぉ!
大歓声が上がる!
くしくも独立記念日の名を冠したこの艦で独立を宣言するとは皮肉かな・・・
空母インデペンデンス2のブリッジから見ているとそう感慨深い気持ちになった。
空母インデペンデンス2は、遺跡から発見されたエンジンを初めて搭載された艦である。
原子炉より安全で高出力な新しいエンジンの名はSH-4という味気ないものだ。
このエンジンの恩恵でこの艦には、プラズマカノンを中心とする武装面も充実している。
「将軍!もうすぐで目的の場所に着きます。」
「艦長、よくやってくれた。ここまでの安全な航海を感謝する。」
「ありがとうございます。」
敬礼をする艦長を背にして歩き出す。艦内どこを歩いていても敬礼の道は終わらない。
艦を降りた場所は、かつて海面上昇で陸地を奪われた東南アジアに新しく建造されたフロート都市だ。
この都市の建設にも遺跡で発見された技術が使われているという。
この都市の海面下にはいくつもの攪拌装置が付いており、この都市が移動しながら海水を攪拌することで異常気象を防ぐことが出来ているとの話だった。
当然、この都市は国連によって保護されており、攻撃したら無条件で国際的に攻撃されるだろう。
「将軍、お迎えに上がりました。この都市の代表をしていますイルガです。どうぞよろしくお願いいたします。」
この男は現在この都市を管理しているが、元々研究者だったそうだ。我々の考えに賛同し、受け入れてくれた。
大規模海上移動型フロート都市ユグドラシル。
オーストラリア大陸の4分の1にもなる巨大な建造物で、全部で50の区画で構成されている。
インデペンデンス2に搭載されたエンジンシステムをさらに発展させたSH-6をメインに、太陽光、風力、水力を使った発電で都市の電気を賄っている。
この都市を建造する際に大規模な反対運動が起こったが、建造を強行した。実際に稼働してみると、反対の声は小さくなり受け入れられていった。目に見えて地球規模で気温が下がったのだ。
この都市にはある秘密があった。それはオーストラリアで発見された現物の遺跡がある区画に保管されているのだ。一般公開されていないが各国上層部は知っている公然の秘密だ。
そこに案内されると目を張った。
「すさまじいな。これほど物が数万年もの間、残っていたのか・・・」
「技術を残し、過去から未来へ運んだこの遺跡を|方舟〈アーク〉と呼ぶ者もいます。」
「動くのか?」
「今の技術では、まだとしか・・・」
「そうか・・・」
それから遺跡内部を特別に見学させて貰った。実に興奮するひと時だった。
遺跡から戻ると、慌ただしく走る通信士の姿が見えた。彼は私の姿を見つけると、こちらに向かってきた。
「将軍、本国より通信です。24時間以内にインデペンデンス2を返還しなければ武力行使も辞さないとの事です。」
「そうか、予想より早かったな・・・デフコンレベルを上げろ!戦闘になるぞ!」