お披露目式典
8月某日
ここエドワード連合基地に軍関係者が一堂に会していた。
目的は新兵器のお披露目という事しか伝えられていない。
あの遺跡が発掘された時から、新発見が相次いだが、それでも兵器転用がこれまでなされなかったので、技術的に不可能と思われていたが、ようやくという事だろう。
「これより公開しますのは、新技術を搭載した次世代戦闘機 XFー98です。コードネームはサンダーファルコン。」
司会の男がそこで言葉を切り、上空を見上げた。
我々も釣られて上空を見上げる。
すると音速を超えた証であるソニックブームを出しながら上空を旋回する戦闘機が見えた。ここまでなら旧来の戦闘機でも出来る。しかし、冷静でいられたのはそこまでだった。
急な旋回や軌道をソニックブームを出しながら行う。その事は戦闘機乗りなら誰しも不可能と言うだろう。だがその不可能を目にしている。
「ご覧の通り、音速を超えて複雑な軌道を飛ぶ事が出来ます。それには、通常パイロットが急なGに耐えきれないという問題点がありました。しかしかの遺跡で見つかったテクノロジーはそれをクリアにする事が出来たのです。Gをほぼ1G状態に維持するシステム。我々は反重力と言ってますが、その再現に成功した事を、今ここで宣言いたします。この技術は他の物にも転用可能です。例えば・・・」
その時だった。基地の施設だと思っていた建物が動き出したのは・・・
「この様に戦闘艦船を飛ばす事も可能です。」
一旦の静寂が訪れた。そして、時間にして数分の後に大歓声が上がった。
まさに衝撃だった。
技術的に不可能な事が塗り替わる瞬間、ブレイクスルーが起きたのだと後に語られるお披露目だった。
上空を飛んでいた戦闘機が静かに着陸する。
よく見ると、ライティングギアにタイヤが付いていない。
ヘリの様に垂直に降りるのだからタイヤが必要ないのだろう。
タラップが置かれ、パイロットが降りてきた。
背は低いな。
東洋人か?
我々に近づきヘルメットを脱ぐと、そこにはまだ幼い子供の姿があった。
当然、現場は騒然となった。
「彼はナンバーチルドレン。人類の先を行く存在だ。」